事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「テレビ作家たちの50年」 日本放送作家協会編

2010-09-11 | テレビ番組

41nrd6xcfjl_sx230_ 確かに70~80年代のテレビは脚本家の時代だった。倉本聰山田太一向田邦子早坂暁市川森一……きら星のごとく名脚本家が並び、作品(それぞれ「北の国から」「岸辺のアルバム」「阿修羅のごとく」「花へんろ」「港町純情シネマ」)の質もその期待に応えた。でも、バラエティの作家についてはどれだけ語られたか。

たとえば小山薫堂、そーたに、田中直人、おちまさと、都築浩、鮫肌文殊……この考えられないような作家陣がささえた「進め!電波少年」が、作家を評価するというスタンスで語られたことはほとんどないではないか。

ドラマにしても、日テレのエースだった石橋冠が

『私は2年間デスクごと局舎内の物置に入れられた。幸い「西遊記」で人気をあげた西田敏行のご指名で這い出せたが、彼を初主役にした「池中玄太80キロ」は必死だった』

こんなエピソードがもっと伝えられてもよかったと思う。あまりに今のテレビは作家主義でなさすぎる。

秋房子という名で作家でもあった萩本欽一は述懐する。

最近、日本語が乱れてるって言うけど、乱れてるんじゃないんですよ。国民がおかしくなってきたんですよ。つまり、笑いの方程式を学びだしたという。これは、国民性にとっては幸せなことなんでね。『欽ドン』のなかで、僕が一番好きなコント。

「お母ちゃん、お弁当のおかず、毎日梅干しばかりじゃないか。」

これに、ゴメンネと謝ると普通になるわけです。全然、私は悪いことをしてると思わないってオチにする。

「そうかい。それでも、私、位置だけは気をつけてるんだけどね」

ラジオの場合はこれで行けちゃう場合もあるんだけど、テレビの場合は落ちない。どうするかというと

「そうかね。それでも私、気をつけてるんだよ、梅干しの位置は」

位置、というオチを一番最後に持ってくる言い方をするんです。「イチ」で切りたいんだけど、「チ」で終わるとまた切れない。だからわざと「は」を入れるんです。

彼らはここまで考えていたのである。

社史とはおよそつまらないもののはずだが、日本放送作家協会の創立50周年事業として発刊されたこの本は、お勉強になることが多すぎて面白いったら。寺島アキ子など

「わたしは組合で脚本家の権利を守ることにつとめてきたし、今もそのことで頭がいっぱいだから、協会のことを考えることはないが」

「これからも文化団体として頑張ってくださいと申し上げたい」

と突き放しているあたりもふくめて面白くて面白くて。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする