事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「キャタピラー」CATERPILLAR(2010 若松プロダクション=スコーレ)

2010-09-07 | 邦画

Caterpillar08 監督:若松孝二

脚本:黒沢久子、出口出

出演:寺島しのぶ 大西信満

主題歌:元ちとせ「死んだ女の子」(エピック)

 何がめでたいと言って、この映画を近くの(あんまり近くないけど)映画館で観ることができるなんて。去年まではおよそ考えられない事態。いいぞ鶴岡まちなかキネマ

 だってそうでしょう?三川にあるイオンシネマは、イオンの集客が第一だし、その客もファミリーが多いので上映作品はどうしてもそっち系になってしまう。

 ちなみに、いま上映しているのは、ロングランをのぞけば「BECK」(息子の情報によれば、初日は満員御礼だったそうだ)「ハナミズキ」「ベスト・キッド」「仮面ライダーW」「リアル鬼ごっこ」……中年男は最初から排除されている。

 対してまちキネは「東のエデンⅠ・Ⅱ」「牛の鈴音」「ヒックとドラゴン」、来週からは「チェイサー」「海角七号」をかますという狂いっぷり。だいじょうぶなんでしょうか(笑)。

 そして「キャタピラー」。平日の一回目なのに客は十数人はいっていてホッ。「(イオンシネマと)おんなじ映画やるんならあっちで観るもんねぇ」と話しているおばあちゃんたちもいたので、独自路線は支持されているみたい。大変だろうけど、がんばってほしい。わたしは“同じ映画をやるんならまちキネで観る”ことで応援します。

 寺島しのぶがベルリン国際映画祭最優秀女優賞をゲットしたことでいっきに興行価値が高まった「キャタピラー」だけれど、予告編などを観てもらえば、いかに“凶暴な”映画かがわかってもらえると思う。四肢をなくした夫が軍神として帰ってくる。彼に残っているのは食欲と性欲だけ。彼の求めに妻は応じるが……およそ、イオンの店内にそぐわないことは一目瞭然。

でも思い起こしてほしい。映画とは、そもそもが不良向けの存在ではなかったか。漂白されたようなぬるい映画ばっかり観てちゃダメなんじゃないの?!かつて“国辱”とまでさげすまれた監督若松孝二の魂の咆吼を聞け!

……と、気負うような作品でも実はなかったのである。意外に、端正な映画でもあったのだ。以下次号。

コメント (4)
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