事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「デパートへ行こう!」 真保裕一著 講談社

2010-09-06 | ミステリ

2157211 驚愕の一夜
明かりの消えた深夜のデパートのあちこちに蠢く人の気配。不穏な空気が流れ出し、静かに騒ぎが始まった。

所持金143円、全てを失った男は、深夜のデパートにうずくまっていた。そこは男にとって、家族との幸せな記憶がいっぱい詰まった、大切な場所だった。が、その夜、誰もいないはずの店内の暗がりから、次々と人の気配が立ち上がってきて――。一条の光を求めてデパートに集まった人々が、一夜の騒動を巻き起こす。
名作『ホワイトアウト』を超える、緊張感あふれる大展開!

ミステリじゃない、とカテゴライズされているようだけど、どうしてどうして立派なミステリじゃないですか。最大の謎は、深夜のデパートに、なぜこんなに人が集まったのか、でしょうか。その夜でなければならない理由がそれぞれに設定され、それぞれがクロスするあたりは確かに「ホワイトアウト」を超えているかもしれません(笑)。

デパートという業界がなぜ衰退したのかという情報小説としても読めるし、デパートにあるものを利用したサバイバルゲームとしても楽しめる。トイレがロックアウトされたとき、忍びこんだ女性はどう“処理”するかなど、真保が例によって取材(誰に?)しまくったことがうかがえて笑える。まったく予想したように最後で泣かせます。ぜひ。

コメント
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