事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「暴論」PART2

2009-03-28 | 本と雑誌

050519_02 PART1はこちら

 福田和也と坪内祐三のもうひとつの共通点。それはふたりの博覧強記ぶりである。同世代でありながら、その時代認識や教養の豊かさに舌をまく。福田は慶応、坪内は早稲田で教鞭をとっているが(坪内はもう辞めたとか)、彼らに教わる学生はしあわせだ(一青窈は福田ゼミの出身者)。その狷介な性格さえ我慢すれば(笑)、あふれるほどの知識を伝授してもらえるのだから。

 こんなふたりを対談させて面白くないわけがない。しかも毎回必ず酒を飲ませて語らせる「SPA!」のやり口もうまい。行司役はライターの石丸元章(覚醒剤で逮捕されたこの人のジャンキー本「SPEED」や北朝鮮関係の著作も面白いのでぜひ)。
 以下、この本で笑える部分をいくつか紹介します。

【神宮球場にて】
坪内:そういえば、1978年の4月にフォリナーが後楽園ホールで(コンサートを)やってるよ。

福田:出ましたな。坪内アルヒーフ(アーカイブ)。

坪内:フォリナーが会場に近づいてきたら、ものすごい数の客。「俺たちは日本ですごい人気者だ」と思ったら、実は後楽園スタジアムでやるキャンディーズの解散コンサートの客だった(笑)。

9.11
福田:「ナイン・イレブン」と発音するあの感じっていうのは、アメリカ人にとって今までのメモリアルデイとは全然意味が違うんだよな。多分、それ以外の名前がまだつけられないんだよ、
きっと。

坪内:世界貿易センタービルというのは1973年にできたのね、1931年にできたエンパイアステートビルなんかと比べてずっと最近なんだよ。歴史なんか全くないの。しかも、ああいう形の超高層ビルというのは、できた時からすでにして廃墟みたいな感じがあったんだよね。それが、ああいう形でほんとに廃墟、というかなんにもなくなっちゃって、逆にテロという出来事によって世界貿易センタービルが歴史性を帯びちゃった。

【ちゃんこ料理屋にて】
福田:相撲取りは一般社会とまったく感覚が違うところがいいんだ。琴錦さんなんか、二重婚約騒動起こしたときに「え、結婚って2人としちゃいけないんですか?初めて知りました」みたいな。

坪内:若貴で言うと、若はそのタイプだね。

福田:それに比べて貴乃花というのは、明らかに違うでしょ。“近代的自我”を持ってる。

坪内:ああ!それなのに相撲的世界にさらされているから、かわいそうに見えるんだ。

……異論もあるけど(^o^)、次号につづきます。画像は2005年のわたしのベストワン「私の体を通り過ぎていった雑誌たち」(新潮社)必読。今は新潮文庫で読めるみたい。

コメント
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