事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

古畑任三郎を全部観る Vol.30「灰色の村」

2009-03-01 | テレビ番組

Lady_vanishes 第29話「その男、多忙につき」はこちら

ある事件(サードシーズンは時系列がめちゃめちゃなので、その事件は後日判明)を解決した古畑、今泉、西園寺の三人は、古畑が風邪をひいたためにひなびた村に滞在することになる。その村は、東京の大手デパート経由で売り出そうとしている地酒に命運を賭けていた。仲介をしているはずの女性(あめくみちこ)に、村長(松村達雄)をはじめ村民は接待の限りをつくすが……

おどろおどろしい因習の村における殺人事件。こんな横溝正史的背景にごまかされてはいけない。骨格ははっきりとヒッチコックの「バルカン超特急」なのに気づく。なにしろ戦前の作品なので観ている人はあまりいないでしょうからちょっと紹介。

バルカンからロンドンに向かう列車の中で、同室となった婦人が消え失せたことに不審を抱いたヒロインは、乗客や乗員に行方をたずねる。でも「そんな婦人はいなかった」という答しか返ってこない。自分でも判然としなくなったヒロインだが、窓には婦人が名乗ったときの指文字の跡が残っていた……

近ごろそんな映画観たぞ!と気づいたあなたはかしこい。そうです、ジョディ・フォスターの「フライトプラン」はこの映画をいただいているわけ。知ったような口をきいていますが、わたしだってオリジナルはリバイバルで観たのだし、それ以前にエリオット・グールドとシビル・シェパードで再映画化した「レディ・バニッシュ~暗号を歌う女」(タイトルでネタバレじゃん!)を学生時代に新宿ローヤルだか新宿西口パレスで観たのが最初。

今回、村を右往左往するのは今泉。眠れない夜に出会った女性は幻だったのか。「バルカン~」に敬意を表しているシーンがいっぱい。ニセ者の女性が出てきたり、ちゃんと指文字も登場します。まあ、オリジナルが「FROY」と名前のスペルを書いたのにくらべ、こちらは温泉場でピンポンをしたときのスコアなのは笑えます。「」の字がいっぱい(^o^)。

第31話「古畑、歯医者へ行く」につづく。

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古畑任三郎を全部観る Vol.29「その男、多忙につき」

2009-03-01 | テレビ番組

Sanadahiroyuki02 第28話「若旦那の犯罪」はこちら

わたし、この回が大好きです。古畑の証明が、あまりにもスケールが大きく、そしてバカバカしいので。

舞台はホテル(その名前がラストで生きてくる)。同じフロアにいる政治家を、メディアプランナーなる虚業を営む多忙な男、由良一夫(真田広之)が殺害する。その時刻、彼は秘書に電話をかけ続けていた……。

動機の弱さはまず無視しよう。虚業に飽いた男が、採算を度外視した事業に乗り出したいという気持ちはわかる。だからといって資金源である政治家を殺さなければならないはずはない。

しかし、この回でまずすばらしいのは、携帯電話を真正面からミステリにとりこもうとした姿勢にある。

三谷の家電好き体質が今回も暴走。本来、ミステリの敵であるはずの携帯電話を、なんとかアリバイトリックに使おうという無謀さがうれしい。犯人が左手を使用しなかった事実を冷蔵庫の缶ビールで証明し、“手袋をはめていても、指紋は残らないが手袋の跡は残る”と説明するあたりの切れ味にゾクゾクする。

そして何といっても真田広之がいい。あまりの使用時間に携帯電話は常にチャージしなければならず、エレベーターの呼び出しボタンは連射、朝食のゆで卵を割るときはスプーンを速射砲のように叩きつけ……古畑に犯罪をあばかれてようやく「疲れた」とつぶやく男。所作のいたるところに真田の運動神経の良さがあらわれていてすばらしい。

古畑も絶好調。だってこの人は“忙しい人間にまとわりついていらつかせる”のが真骨頂なのだから、相手が忙しければ忙しいほど……。

ギャグも満載。真田が考える新ドラマのコンセプト↓

「十朱幸代と香取慎吾で……『奥様は48才』はどうでしょう

どうでしょう、って(笑)。観たいけど。
今泉と古畑の血圧も判明。

古畑:上が90で下が30。

今泉:ぼくは上が210で下が130!

とりあえずこの人たちは嘘つきか負けず嫌いですね。

第30話「灰色の村」につづく。

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