第28話「若旦那の犯罪」はこちら。
わたし、この回が大好きです。古畑の証明が、あまりにもスケールが大きく、そしてバカバカしいので。
舞台はホテル(その名前がラストで生きてくる)。同じフロアにいる政治家を、メディアプランナーなる虚業を営む多忙な男、由良一夫(真田広之)が殺害する。その時刻、彼は秘書に電話をかけ続けていた……。
動機の弱さはまず無視しよう。虚業に飽いた男が、採算を度外視した事業に乗り出したいという気持ちはわかる。だからといって資金源である政治家を殺さなければならないはずはない。
しかし、この回でまずすばらしいのは、携帯電話を真正面からミステリにとりこもうとした姿勢にある。
三谷の家電好き体質が今回も暴走。本来、ミステリの敵であるはずの携帯電話を、なんとかアリバイトリックに使おうという無謀さがうれしい。犯人が左手を使用しなかった事実を冷蔵庫の缶ビールで証明し、“手袋をはめていても、指紋は残らないが手袋の跡は残る”と説明するあたりの切れ味にゾクゾクする。
そして何といっても真田広之がいい。あまりの使用時間に携帯電話は常にチャージしなければならず、エレベーターの呼び出しボタンは連射、朝食のゆで卵を割るときはスプーンを速射砲のように叩きつけ……古畑に犯罪をあばかれてようやく「疲れた」とつぶやく男。所作のいたるところに真田の運動神経の良さがあらわれていてすばらしい。
古畑も絶好調。だってこの人は“忙しい人間にまとわりついていらつかせる”のが真骨頂なのだから、相手が忙しければ忙しいほど……。
ギャグも満載。真田が考える新ドラマのコンセプト↓
「十朱幸代と香取慎吾で……『奥様は48才』はどうでしょう」
どうでしょう、って(笑)。観たいけど。
今泉と古畑の血圧も判明。
古畑:上が90で下が30。
今泉:ぼくは上が210で下が130!
とりあえずこの人たちは嘘つきか負けず嫌いですね。
第30話「灰色の村」につづく。
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