事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「小耳にはさもう」 ナンシー関

2007-09-16 | 本と雑誌

62b2cd900a161882  彼女(あ・知らない人もいるかもしれないが、この人は世界で唯一の消しゴム版画家にしてコラムニスト。1962年青森生まれ。巨漢。)にあらためて解説されなければ、薄々感じていたにすぎない山田邦子の現状の無残さや、薬丸裕英の底意地の悪さなど、認識しないでいたのかもしれない。つまり私にとって、彼らにとどめをさしたのはナンシー関だったわけだ。感謝しなければ。(何で?)

 他に彼女が意識させたことのひとつに《田中邦衛のズボンは何で短いか》がある。例によって「あ・そういえばそーだよなー」と気づかされたのだったが、私の友人はもっと賢い。そんなことはとうに気づいていた彼(町役場勤務)は、地元に講演にやってきた田中邦衛と一泊二日の間、密着して町を案内するというチャンスを活かし(しかしこれもすごいな。青大将と一泊二日。……ん?まさか青大将が意味不明な人はいないよな。加山雄三の若大将シリーズの情けないライバル役だったのだけれど)、本人に直接訊いて見たという。いい根性をしている。

「あれはねー、青大将やってる頃からだけど、とにかく他人と違った格好しないと目立たないと思ってさー」

Kt なるほど、彼もやっぱり芸能人だったのだ。そうだよな、四六時中唇をとがらせてゴローさんでいるわけないしなぁ。でも友人の言によれば、田中邦衛は一緒について来た奥さんも含めて、ひたすらいい人だったらしい。思ったよりずっと“オジイチャン”でもあったらしいが。

「耳部長」は、週刊朝日に連載されている「小耳にはさもう」の単行本化第4弾。想定されるオヤジ読者層にも、貧しき日本の芸能ジャーナリズムを楽しむ方法を提供し続けてくれている。ワイドショーがいくら下らなくとも、おかげでこのコラムで笑うことができるのである。

 いやしかしそれにしたって何とかならないか?芸能レポーター……。

訃報や、リリー・フランキーなどとのからみも後日特集します。

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「耳部長」 ナンシー関

2007-09-16 | 本と雑誌

Mimibutyou ナンシー関が亡くなってからもう何年だ。
彼女の正当な評価はまだ確立されていないような気がする。
定点観測を行う、その定点自体がどこかへ吹っ飛んでしまったような。失って初めてわかる彼女の真っ当さ。昔のネタを仕込んでみます。

 前から思っていたのだが、日本の芸能ジャーナリズムの貧困さは我慢できるものではない。極端な例を出すようだが、あの野村沙知代と浅香光代のバトルの頃は、他にいくらでもやるネタあるだろが!とほとほと呆れていた。いい年したババアをつかまえてなーにがミッチー、サッチーだよ、けっ!という具合。

 シネコン拡大路線を突っ走るマイカルグループのリストラは映画界にどう影響するかとか、今度の東宝ゴジラの監督にガメラ三部作の金子修介が遂に選ばれたとか(ちょっとマイナー過ぎるか)、喜多郎のグラミー受賞とか(確か山口組の先代の娘と結婚したりしたからまずいのかなあ)、どうしてもっととり上げないのだろう。

 スキャンダルを追いかけるな、と言っているのではない。私生活を晒すことで生きている(他に生きる術を持たない)タレントはいくらでもいるし(見るだけでも不快な美川某とか神田某とか)、用もないのにやたらにパーティ会場へ現れては愚にもつかないコメントを発していく彼らを取材することは、ゴシップの需要がこの国には確実に存在するらしいから、全部やめてしまえと言っているわけではないのだ(近頃唯一笑ったのは、篠原ともえの台湾泥酔乱痴気前歯ポロリ事件だった。がんばれよーシノハラ、酒はともかくクスリはやめとけよー)。ただ、バーニングだのジャニーズといった大プロダクションに守られていないタレントばかり喰いモノにしたり、まるでタレントの取り巻きのようなリポーターの、ひたすら下衆なインタビューは何とかならないかと願っているのである。

 とりあえずビッグカップルと認めてやってもいい(何様だオレ)松嶋菜々子と反町隆史の結婚報道にしたって、スクープとは名ばかりで、実は二人の所属するプロダクション同士の暗闘の結果リークされたものだったらしいし、だいたい記者会見でのリポーターの質問が「その指輪、おいくらだったんですか?」はいくら何でもないだろう。恥ずかしくないのかなしかし。

Fun061202  芸能レポーターが芸能人の男女交際のネタを追及するのは、すなわち「やってるか、やってないか」を明らかにすることなのである。「いちばん大切な人ということですか」「結婚を前提としたおつきあいということなんですか」「ご両親へは紹介なさったんですか」などの体裁のいい決まり文句は、すべて「やったんですか」に直訳することができる。しかし、それに対する答は、そんな下品な直訳の存在などつゆも知らないという、これまた妙なツラの皮の厚さで、「ええ、いちばん大切な人です(いちばん大切な人つっただけで、やったとは言ってないからな)」と返される。下品な言葉はひとつも出てこないけど、たいへん下品なやりとりなわけである。

……これはナンシー関が池谷幸雄の不倫報道について書いた時のものだが、この突っ込みは鋭い。鋭すぎる。ブラウン管を通して見ることで(つまり何らかの演出、作為を嗅ぎ取ることで)、彼女は芸能界とそれを取り巻くメディアについてこれ以上はないくらいの卓見を吐く。鼻で笑ってみせる、というか。こちらの目からはウロコがバランバラン落ちるわけだ(次号につづく)

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