事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「占星術殺人事件」島田荘司著

2007-09-15 | ミステリ

P2280260111  現在はどうなっているか知らないけれど(今年も採用自体がないみたいだし)、山形県の市町村立小中学校事務職員の採用試験には、謎々かパズルのような問題が含まれていた気がする。この試験を突破してきているわけだから、我々にはパズラーとしての素養があるのかもしれない。

 「パズラー」はミステリの世界では「本格」と呼ばれる分野を指しています。意味なく殺人現場が密室であったり、犯行時刻に容疑者が他所で思いっきり派手な行動をとっていたりする、あの愛すべきジャンルのこと。

 日本においては、横溝正史鮎川哲也に代表される本格派は「人間が描かれていない」という至極真っ当であるが故になんともつまらない理屈で松本清張をトップにした社会派に殲滅させられた経緯があるのですが(外国ではとっくの昔に消え去っていた)、この絶滅したパズラーを「新本格」として復活させ、現在の隆盛に導いたのは、善くも悪しくも全てこの「占星術殺人事件」によるものです。これはもう文句の出ようがない。

 Senseijutusatuzinzikenkoudanshabunko とにかくこの作品には
・奇抜なトリック(ちょっと凄すぎて説明できない)
・魅力的な名探偵(御手洗潔⇒みたらいきよし。すんげぇ生意気)
・説得力のない動機(もう忘れた)
……の新本格三点セット(勝手に名付けた。あたっているはずだ)が既に揃っており、特にこのトリックときたらとてつもありません。

 現在はスタンスを変えている島田ですが(これはこれで面白い。徹底した日本人憎悪を基調にしたエッセイも必読)、このデビュー作と「異邦の騎士」「北の夕鶴2/3の殺人」の三作だけは、絶対に読んで損はしません。さあなぞなぞに挑戦だっ!

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

加藤の乱

2007-09-15 | 国際・政治

Kokkai 加藤紘一の選挙区にいながら加藤の乱を特集しないわけにはいかなかった7年前。まるで歴史上の人物みたいに過去の人あつかいされる加藤だけれど、その政治的主張自体は(現在の清和会支配の)自民党のなかではダントツに真っ当なのに……。

 週刊誌の見出し的には『腰砕け政変』と呼ばれる今回の抗争だが、多くのことを露わにしたという点で、ただの茶番ではなかった。

 まったく久しぶりに自民党内部から‘言葉’を使って“仕掛け”たのだから、加藤紘一に勇気がなかったわけではなく(ただ戦略と人徳がなかったわけだ)、これほど世間が騒いだことを考えれば、野中・青木・亀井・森(それに今度は古賀が加わった)の天下に選挙民が辟易していることがまず一番に表沙汰になったし、立つタイミングは当たっていたと思う。
 S_photo120652 なんであと少し待てなかったというのはあくまで結果論だ。

 しかし自民党は予想以上に腐っていて、大義云々で動く連中はもういないのだろう。好みではないが、梶山静六が生きていて、後藤田正晴が現役だったらどう動いただろうと考えるのは私だけではないはずだ。

 世論を味方につけることで押してきた政治家が、その世論を裏切る選択をしたのだから加藤の政治的自殺行為という見方は仕方のないところだろうか。逆にここをしのいだらたいした業師という評価を手に出来るだろうに。

 別に山形4区(当時)の人間だから言うわけではないが(もちろん私は加藤に票を投じたことなどない)、望みがないわけではないと見るのは、例えば野中広務(フジ「笑う犬の冒険」でネプチューンの名倉が演じるヒロムちゃんは必見)のようなタイプは、力で押すことには長けていても、正論で返されると意外に脆いのだろうと既に透けて見えている。

S_photo120651   社内政治に強い中間管理職が、消費者運動への対応にはほとんど無能であるのに似て。“上司が野中のようなヤツ”である状態に、我の強い政治家たちがそう我慢できるとも思えないし。

 第一、この会社(自民党)、トップに居るのがサメ頭野郎(森)なのである。社内・社外ともに敬遠されるのも無理はなく、おろしたての旗をもった見栄えのいいヤツ(どうか石原慎太郎なんかではありませんように)が現れれば、雪崩をうって支持がそちらに流れていくことは確実だろう。加藤のメは、まだ消えていない。ライバル会社(民主党)の旗も、随分と薄汚れてきたしなぁ……。

……ものすごく加藤に入れ込んでいるように見えるかもしれないけれど、上に書いたように、私は加藤紘一に票を入れたことはないし、後援会の連中(勝ち馬にのりたい奴ら)には何度もいやな思いをさせられてきた。夫人も含めて、人柄的にはネガティブな噂しか聞こえてこないし、リクルートのことも忘れてはいない。同級生が市長選に立った時も思いっきりいじめやがって。義務教育費国庫負担の陳情では議員会館の部屋にも入れてもらえなかったしな。いいんだけどさ(笑)。

 だが、加藤は近頃やっとまともなことをいうようになったのである。公明党との距離とか、財政改革とか。ここで加藤ぐるみ潰されてしまったのでは、日本に未来はないって。

Ykk  実は、私はいつも加藤が酒田に来たときに寄って行く割烹であの採決の日を迎えたのだが、女将の落胆は大きく、ここに書いたように慰めざるを得なかった。そのときにせっかく思いついたフォローなので、いっちょう語ってみました。しかしなぁ、万が一加藤が総理になった日には、ろくでもない連中が(うちの親父も含めて)提灯行列かなんかやるんだろうな。それだけは絶対にいやなんだけど。

……7年後、彼がテロの標的になるわ畏友であったはずの小泉純一郎が首相になるわ、まさかこんな(嫌な)時代になっているとは。その意味で、この乱の失敗は痛い。つくづく、痛い。それにしても、安倍後の騒ぎを観ていてつくづく思う。このころは、まだ自民党にも人物はいたんだねぇ。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする