喜♪きりん

人が苦手なのに何故か販売員をしてる人の日々あれこれ

昭和の父親

2014-03-14 23:08:01 | weblog 2012~2014
私はテレビっ子だった。

月曜から日曜まで見ない日はなかった。

今みたいに録画機能はなく、連続ドラマは一回見逃すといつやるか分からない再放送まで待たなければならなかった。

赤いシリーズが大好きで予想のつかないストーリー展開と濃いキャラクター、そしてヒロインを命がけで守ろうとする父親に心をわし掴みにされていた。百恵ちゃんが羨ましかった、宇津井健さんは私のヒーローだったのだ。

子供ながらに俳優の趣味が渋すぎたのか、それ以降私はヒーローの出演作品を見続けた。

彼は別作品では粋なトンカツ屋の亭主であり、病院の誠実な院長であり、謎の男でもあった。何かの本で料理人の役をやるために本格的に店に入り修行したというエピソードを読み、「さすが宇津井さんだ!」と賞賛したりもした。職人的気質を持った役者だったのだと思う。

近年では気のいいおじいちゃんや、警察のキャリアであったそうだ。最近の写真でも白髪ではあるものの昔と変わらぬダンディさと知的な雰囲気はそのままだった。

彼は【理想のお父さん】から【理想のお爺さん】へクールにスマートに駆け抜けて行った。

その内側にある葛藤と苦悩を見せることなく、最後まで【いい男】のままで。

乗馬が好きだったというから、今頃は天国へ向かって走っているのかな。


お茶の間で磯野家の団欒を見て共感し、同じ場所で非日常の赤いシリーズに心躍らせたあの日々が懐かしい。



ご冥福をお祈りします。
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