奇跡への絆

図師ひろき

旅行について2

2013年07月02日 23時05分06秒 | Weblog
 ユニバーサルツーリズムで思い出される旅がもう1つあります。

 それは私が大学時代に、筋ジストロフィー症の方々の介護ボランティアをしていた時の話です。

 筋ジストロフィー症とは、いくつかの病型があり、その多くはデュシャンヌ型と言われるもので、首から下の筋力が年々低下していく、いわゆる“不治の病”です。

 小学低学年で歩行障がいが現れ、高学年には車イス生活となり、中学から高校にかけて、車イスを動かす筋力さえなくなり、指先だけで操作できる電動車イスになります…

 二十歳前後には、肺の機能も低下して、人工呼吸器を着けなければなりません…

 その方々の介護をさせてもらいながら数々の価値観を学びました。

 あるとき、療養所から自宅に帰省するときの付き添いを頼まれました。

 帰省先は福島県でした。

 宮城県仙台市から福島まで、電動車イスで移動が可能な交通機関を細かに調べ、療養所を出発しましたが、想像以上の困難が待ち構えていました。

 福祉タクシーを降りると、駅のホームにたどり着くまでにかなり遠回りしてエレベーターで乗降しなくてはならないため、電車に乗り遅れてシマウは、電車の中では通路を電動車イスが通らず、福島までデッキで過ごすなど、行ってみて初めて分かることの連続でした…

 なんとか実感に着き、今までにない笑顔を見せてもらいホッとしたのはつかの間で、入浴と排泄介助を任され、汗びっしょりになりながらの介護でした。

 特に排泄については、オムツ着用を嫌がられる方だったので、定期的に尿瓶をあてがい、朝には大便器を尻の下に据え、下の世話をさせてもらいました。

 まだ10代の私でしたが、その旅を終えたときには、社会の見方が変わるくらいの達成感を抱いたことを覚えています。

 確かに家族だけに介護を背負わせることは酷なことで、せめて旅行の時には、本人も家族も心身の負担が軽減されるようなハード・ソフト両面のサービス拡充がまだまだ必要です。

 ノーマライゼーションという言葉が、地域に根差すためにも、ユニバーサルツーリズムがさらに推進され、当事者も家族ももっともっと気軽に旅行を楽しめる環境整備のために消費税増税分が使われるべきです。

 県議会議員として何ができるのか、経験をもとに考え直してみます。