本のタイトルもそうですが、帯封のキャッチコピーもかなりやばいのがあります…
大変失礼なのですが、田村優之さんという作家は知らなかったのですが、「青い約束」というタイトルが、宮本 輝さんの「青が散る」と少し重なって、手に取りました。
すると、帯封に
“ビジネスマンが泣いています”
“現役新聞記者が描いた 号泣必死!圧倒的感動の物語”
“あなたの青春がここにある”
買っていました。
ストーリーは、アナリストとして活躍する主人公が、20数年ぶりに高校時代の親友とばったり再開するところから展開していきます。
親友との間を引き裂くきっかけになったのは、一人の女性の存在でした。
決して安っぽい三角関係を描いている作品ではありません。
登場する3人の優しさは、若さゆえに凶器となり、互いを傷つけ、それをいやす術は時間しかなく、真実を知っていくにしたがい、取り返しのつかない時間が過ぎてしまったのだとそれぞれが気づいていく…
とても切ない純愛ストーリーです。
物語の途中に、ちょいちょい宮崎県の地名や風景らしき描写が出てきます。
もしかして、作者は宮崎県出身かも?と思い、田村さんのプロフィールを見てみると
“香川県出身 早稲田大学卒業”
でもおそらく宮崎にも住んでいた頃がある…それも小説に出てくる高校時代は宮崎におられたのではと推察します…
“もし、あの時に誤解していなければ…”
“もし、あの時に真実をちゃんと伝えていれば…”
“もし、あの時にもう一度やり直す勇気があれば…”
といった青春時代の友情と恋愛のアンビバレントな関係や、未成熟な人格がゆえに相手を優しさと厳しさをはき違えてしまうもどかしさなどが、リアルな文体で表現されています。
青春時代に実らなかった恋の思い出がある方におススメの作品です。