宮崎県から大分県にかけて、血液や血管に関する医療機器を製造する企業が集積している特長を生かし、産学官が連携し、医療機器産業のさらなる拡充を図り、地域経済を活性化させることはもちろんのこと、アジアの医療に貢献する拠点をなるべく県境を越えて新たな産業構造を創り上げようとしているのが、この東九州メディカルバレー構想です。
あまり知られていないかもしれませんが、宮崎県と大分県を医療産業を合わせると、人口腎臓をはじめとする血液回路や血管用カテーテルなどの製品シェアは日本一で、さらに血液浄化製品では世界一のシェアを誇っています。
さらに国の特区認定も受けており、国内では高齢化とアジアでは高度医療ニーズの高まりとが合い間って、今後ますます産業発展が期待できるのです。
今回のフォーラムでは、県からメディカルバレー構想の進捗状況が報告されたのちに、経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課 医療・福祉機器産業室の覚道室長と京都大学医学部付属病院 医療情報企画部の吉原教授の講演がありました。
覚道室長は、経済産業省における医療機器産業政策について話をされ、日本と世界の医療機器市場動向を分かりやすく解説していただきました。
日本における医療機器市場は、平成16年以降2兆円規模で推移しており、平成23年は約2.4兆円となり過去最大の市場規模となりました。
他産業と比較して、医療機器産業市場は安定してることを強調されました。
しかし、世界の医療機器市場を見てみると、2012年における各国シェアは、アメリカが39%、ヨーロッパが28%、日本はまだ10%しかありません。
医療機器の世界市場は、さらなる拡大が見込まれており、2017年までに約8%の成長が予想されています。
日本の主要医療機器は、まだまだ輸入に大きく依存しており、特に人口呼吸、人工血管、人工関節などは80~100%輸入している現状があります。
私は日本のものづくり技術をもってすれば、医療機器の国内自給率上昇はもちろんのこと、世界シェアも拡大できる潜在能力はあると考えます。
吉原教授は、広域的な電子カルテ(生涯カルテ)普及の必要性について、各国の例を挙げなら説明されました。
医療機器も生涯カルテも、それを使いこなすのは人間です。
つまり人材の育成の同時に行わなければ、世界シェアの拡大は実現できません。
そこでメディカルベレー構想では、血液や血管に関する高度な医療機器の操作方法を習得できるプログラム開発やトレーニング施設整備も行っていく予定です。
さらにアジアを中心に海外からの医療技術者のトレーニング受け入れを積極的に行い、海外技術者の技術習得に合わせて、医療機器を母国に輸出する戦略も持ち合わせています。
これらのビジョンが成就するよう、議会としても事業の推移をしっかりバックアップしていきます!