hiroshi hara: saxophoniste

日々の思考の断片

木の音色

2007-09-18 23:14:45 | 日常
今日はいつもお世話になっているピアニスト原田恭子さんの演奏会に出かけてきた。

坂口弦太郎(va) & 原田恭子(pf) デュオ・リサイタル
 ムジカーザ
 ・メンデルスゾーン:ヴィオラ・ソナタ ハ短調
 ・シューマン:「おとぎの絵本」Op.113
 ・ヴュータン:ヴィオラ・ソナタ 変ロ長調 Op.36
  (アンコール)シューマン:三つのロマンスよりⅡ、エルガー:夜の歌

ヴュータンなる作曲家は恥ずかしながら知らなかったので、先ほど調べた。
アンリ・ヴュータン (Henri Vieuxtemps, ベルギー、1820-1881)
フランスで活躍したベルギー人のヴァイオリニスト・作曲家。

同時代の作曲家を並べて、ロマン派一色の演目だった。
客層の何割かは楽器ケースを、しかもヴィオラやヴァイオリンだけでなく、私も含めサックスのケースを持った人が多かったのには驚いた。

おそらく藝大生を中心とした恭子さん関係者。
やはり恭子さんの恩恵に与っているサックス吹きは多いのだ。

私はこれまでヴィオラという楽器に対し、音程が定まり辛い不安定な楽器というイメージを抱いていたが、今日の演奏会はそんな悪しきイメージを払拭するものだった。
豊かな木の音色が、ピアノの響きを縁取るように演奏していた。

ちなみにヴィオラの最低音はヴァイオリンのそれの完全五度下、チェロの一オクターヴ上の「ド」。
もしくは、アルトサックスの半音下とも言える。
最近、ヒンデミットのヴィオラソナタをアルトサックスで演奏するのが流行だが、最初の小カデンツでは半音下の「ド」が出せないばかりに、カデンツ全部を一オクターヴ上げることとなる。

最高音はそれぞれの奏者の努力次第。
音域は優に3オクターヴ半はあると思う。

演奏を間近で拝見、拝聴した訳だが、弓はヴァイオリンより短く、また持ち方もやや短く持っているように見えた。
音色は、ときにはヴァイオリンのように、ときにはチェロのように、どちらも兼ね備えた響きというのが、すなわちヴィオラの魅力ということなのかもしれない。

私も来月にブラームスのクラリネットソナタ第一番を演奏するが、馴染み薄いロマン派作品ということに加え、この作品を表現する上で必要な木の音色、悲愴感というものが壁になっている。
何人かのクラリネット奏者にこの作品のことを訊ねてみたが「この作品は弦楽器的」、「第一番はクラリネット版よりヴィオラ版の方が作品の持ち味が出る」という風に、当の本人達がずいぶんと及び腰なのには驚いてしまう。
私はそうは思わないのだが。

とはいえ、クラリネットにしてみても、ベーム式とエーラー式の音色の違いがあるし、しかも被献呈者ミュールフェルトはヴィブラート奏法だったということもあり、物議を醸すものであると思う。

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