漫画を読む聖

　漫画に囲まれて暮らしていた村山聖だが、よもや自分が漫画の主人公になるとは夢にも思っていないだろう。当時はモノクロの写真に凝っていて、自分の風呂場で暗室代わりに焼いていたのだった。朝までかかっても十枚くらいしかできなかったのと、姿勢が悪く腰を痛めはじめてモノクロはやめた。カラー写真を撮り始めると楽だったので驚いた。（その分横着になる）
　村山聖は写真の素材で魅力的だったが、いかんせん本人が写真嫌いだった。でも今見てもどこをどう撮っても絵になる・・弟子は棋士になって何年か経つとたいていがっかりするほど生意気になってしまうが、（それがある面では成長の証でもあるが・・村山聖もそういう時期があった）可愛さは失ってほしくない。人間として遠くの何を見つめて生きていくかである。