森信雄の写真あれこれ

日々の生活や散歩、旅の写真を掲載しながら、あれこれ思いを語ります。

1通の手紙

2005-12-20 21:29:20 | 日々の写真
以前私は関西将棋会館の4Fで「土曜実戦教室」を開いていた。そのときYさんという高齢の方が来られて、3回目のときだったと思う。「森さん、ちょっと一緒に行きませんか」と喫茶店に誘われた。
 「あなたは面白い人だ。もっと自分が若かったら応援してあげられるのだが、時間がない」「今度Hビルで食事しましょう」何が何だかわからなかったが、厳しい顔つきと、とっても澄んだ目をされていたので、乗ってみることにした。
 どんな意図だったのか理解できていなかったが、お話を聞くうちに、病気であること、何か私に協力したいことがおぼろげながらわかった。それからしばらくして、教室も休まれるようになり、一通の手紙が来た。「有馬の方の息子の病院に入院することになり、残念ですが教室にいけません。あなたにせめて私の思いをわかっていただきたいと手紙を書きました」
 いろんな提案をされていたが、経済面と精神面の支えになる内容で、私はお断りしたのを悔いたが、お気持ちだけ受け取らせていただきますと返事したことは最善だったと思う。
 さっぱりわからなかったのは、何故Yさんが私に目をかけられたのだろうということだった。
 それから一年後、ご自宅に電話すると、Yさんは亡くなられていた。何かがよぎったが、そうだったのかという思いだった。
 Yさんのことを調べようかと思ったが、止めた。何かを訴えて、何かを伝えたかった心情を思うだけでいいいのだ・・・
人の思いはどこかに誰かに伝わっていくものだと信じたい、言葉や形でなく。
 
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