Asian Railway Plaza

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Caloocan工場訪問

2016年04月04日 00時16分56秒 | フィリピン
前回に続いてフィリピン特集ということでこれで最後になりますが、PNRのCaloocan工場訪問の話題を簡単に説明していきたいと思います。
Caloocan工場はPNR(フィリピン国鉄)の起点の駅であるTutuban駅の北方約5kmのところに位置し、TutubanからCaloocan工場の最寄駅に相当するCaloocan駅までは、現在でも列車は運行されておらず休止区間(工場への入出場列車の回送は可能)となっているため、Caloocan工場を訪問する際にはタクシーやジープ、またはLRT1号線のMonumnetoまで利用することになり、少々行きにくいところです。
昨年は5月下旬と9月中旬に訪問したのですが、9月訪問時は写真を多く撮影しておりませんので、5月撮影の写真とともに説明していきたいと思います。
Caloocan工場訪問前に見ておきたいのが、中国の援助で進められていたノースレールの建設現場ですが、2006年から開始された建設はその後工事の遅れや中断などがあり、最終的には事業が中断し、軌道が整備されたのは起点のCaloocan周辺のたった1kmでした。建設されたこの軌道が現在も残されているのかということで確かめるべく行ってみたのですが、下の写真のように現在も複線の軌道が残されていました。ゲージは巻尺のようなもので測っていませんが、確かに標準軌の1435mmはあるようで、昨年、決定した日本のODAによりTutuban~Malolos間約38kmが2021年を目標に完成させる予定ですので、せっかく整備されたこの軌道もゆくゆくは撤去されてしまい、高架レベルで鉄道が整備されるものと思われます。また、調達条件については日本タイドとなっているため車両は日本製であり、ゲージはPNRと同じ1067mm、電気方式は架線方式で直流1500Vもしくは交流25000Vが考えられるのではないかと思います。


続いて、PNRのCaloocan駅もついでに見ておきたいところですが、Caloocan工場の北側、Monumento駅に通じるSamson Roadの南側にその駅が位置しますが、そこには以前までTutuban~Biñan間に使用されていたCommexのボロボロ12系が5両ほど留置されており、その脇では高速道路のSLEXとNLEXを結ぶために南北連結高速道路の基礎工事が行われていました。


その後、Caloocan工場のゲートで警備員に許可証を見せて工場内に入場したのですが、まず目にしたのがDOST(科学技術省)のハイブリッドトレインで、Bicutanの研究所で見たハイブリッドバスにそっくりな車両です。この車両は各車両に電動機を取り付けて動かすとのことで、昨年5月の時点では取り付けている最中でしたが、9月訪問時においては工場内で起動試験が実施され、工場の脇にあるPNRの線路上でも試験が実施されていたようです。PNRの車両担当者はこの車両を使用して、Tutuban~Caloocan間で運行させ、その後、南方線のTutuban~Alabang間でも運行させるというようなことも述べていたかと思うのですが、果たして今後このような車両が活躍し、普及に至るのか気になるところです。


車内に入ってみると、やはりハイブリッドバスと同じような造りですが、こちらのほうが若干広く感じます。ちなみにこの車両はFIL-ASIA製で、フィリピンで製造されたようです。


運転台にはマスコンやブレーキ弁のようなものは設置されておらず、その後、取り付けが実施されたのかもしれません。また、乗務員室は非常に狭く、1人が入るのがやっとの広さで、ちょっと太めの人にはきついかもしれません。


こちらが連結面で、基本的には各車両間の通り抜けはできないようですが、今後、ホロなどを設置して通り抜けができるようにするのかもしれません。


トラバーサー付近には203系や14系が留置されていましたが、203系は01編成が留置されており、この01編成だけ発電機の搭載位置がTcの後位に設置されているため、運用に充当する上では非常に厄介であり、発電機の位置を後位から前位に移設させるのかもしれません。
また、14系はBicol Expressの運転が昨年末までを目処に運転再開させるというような予定があったもののいまだに運転再開はされていないことから、長い間留置が続いておりますが、ある程度メンテナンスがされているようで、運転再開時には再びこの14系が使用されるものと思われますが、現在のところBicol Expressの運転再開の目処についてはいっさい報道されていないようです。


キハ52は国鉄色3両がこのCaloocan工場に集結しており、昨年6月の報告以来現在も修繕が実施されておらず、今後、修繕が実施されるのか気になるところですが、元新潟色でブルートレイン色に変更されSipocot~Naga間で使用されていたキハ52もエンジンが3基故障し、最近、203系の03編成をその運用に充当させる代わりにブルートレイン色のキハ52をマニラに回送させたという話しを聞いております。したがって、キハ52は現在のところ運用に充当されていないことが推測され、今後の去就がますます気になるところです。


最後に部品取り用となっている唯一新潟色のキハ52-123ですが、倉の中で台車を外されたままになっており、再び運用に就くことは絶望的なのかもしれません。


以上、簡単にCaloocan工場内とCaloocan駅周辺について簡単に説明しましたが、今年も5月下旬頃にでもマニラへ行く予定ですので、その際にはPNRに乗車と撮影を行い、ご報告したいと思っています。