Asian Railway Plaza

アジア各国の鉄道やJR南武線の話題などをお届けします

期待されるマニラ首都圏のLRTとMRTによる環状化

2010年08月13日 01時07分03秒 | フィリピン
フィリピンの話題がご無沙汰になってしまいましたので、ここで話題を1つ。
マニラ首都圏で人口1000万人を擁するものの、他の東南アジアの国の都市に比べ鉄道整備が遅れており、マニラ湾と平行するように敷設されたLRT1号線(1984年開通)と半環状のEDSA Ave.上に敷設されたMRT3号線(1999年開通)、マニラ市街地を東西に横切るLRT2号線(2004年開通)しか主要な鉄道がありません。韓国や中国のように目覚しい鉄道整備が計画どおり実施されていないのが現状ですが、ようやく今年11月を目処に念願であったLRT1号線とMRT3号線が開通するようで、東京の山手線のような環状運転ではありませんが、この2本の鉄道によってマニラ首都圏が環状で結ばれることになります。
11月に開通する予定の区間は、Balintawak~Edsa North Grand Central(正式駅名でない)間をLRT1号線として開通させ、現在、North Ave.が北の終点となっているMRT3号線をEdsa North Grand Centralまで延伸する予定です。

写真はMRT3号線の終点駅であるNorth Ave.駅前のTriNoma MallからSM City(Edsa North Grand Central駅)方向を眺めたもので、SM Cityまでは僅か約400mほどしかありません。


LRT1号線とMRT3号線の結節点の駅となるEdsa North Grand Central(正式駅名でない)では、駅の整備費用は新駅駅前に位置するフィリピン大手百貨店のSM(Shoe Mart)が基本的に負担するようですが、その代わりLRTとMRTを両路線を利用する乗客は乗換が強いられます。また、LRTとMRTの車輌限界については微妙に異なり、かつシステムも異なるため両路線への直通乗り入れは現状では不可能であります。この新駅の構造についてはDOTC(交通通信省)の資料によりますと以下のようになっています。



この図からもわかるようにEdsa North Grand Central駅では、LRT1号線、MRT3号線ともに駅構内は単線であり、列車本数の頻度が多い場合には対応できません。両路線を乗り継ぐ場合においてもホームが島式でないため、ホームから一度下のコンコースへ降り、再びホームへ上がるというようなことになります。また、今後建設されるMRT7号線も乗り入れる予定です。
なぜ、Edsa North Grand Central~Monumento間をMRT3号線としてではなく、LRT1号線として整備してしまったのか非常に疑問が多く残り、利用客重視よりも民間企業や政治家たちの癒着が懸念されます。

今までLRT1号線の終点であったMonumento駅の現状(今年1月現在)ですが、引上線が1線のみとなり、東側の引上線については本線として使用されています。


この先は線路が東に90度方向を変え、Edsa North Grand Central方面へと向かいますが、私としてはこのまままっすぐValenzuela方面にLRT1号線が延伸し、MRT3号線がEdsa North Grand Central~Monumento間を運行し、将来的にそのままフィリピン国鉄(PNR)Caloocan駅を経由したのち、Navotas方面に延伸した方がより利便性の向上が図られ、より効果的であったのではないかと思います。

下の写真はMonumento駅引上線北側に位置するRizal Ave. Ext.とEDSA Ave. Ext.のロータリーにある英雄Andres Bonifacioの銅像で、もしLRT1号線がこのままNavotas方面へと北進してしまったら、Bonifacioの持っている鉈(itak)で線路を切り落してしまったかもしれないという噂話が広まっています。