本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

音声と音韻

2021-02-23 09:06:19 | Weblog
 唐突だが、「音声学」と「音韻論」の話。前者は音声を具体的に分析するもので、後者は音声を特定の言語(日本の場合は当然日本語)に基づいて捉えるものだ。

 よい例がある。本の語尾「ん」に注目したい。
 「本と」Hon to 語尾は「n」になろう。これは「ン」だ。
 「本も」Hom mo 語尾は「m」になろう。これは「ム」と口を閉じる。
 「本が」 Hong ga 語尾は「ng」になろう。これは「ンッ」と詰まる。

 音韻上の日本語ではすべて「n」で括るが、実際の音声学的分析では、例のように後に続く助詞により「n」になり、「m」になり「ng」になるのだ。試しに発声すればなるほどとわかるはずだ。

 ソウルの地下鉄「鐘路」の英語表示は「Jong no」とある。「チョンノ」の「ン」(「ng」)は「本が」の際の「ン」と同じ発声になるわけだ。駅名を音声学的に表記していることになる。
 最初にソウルを訪れた時、なぜ、英語表示は「Jon no」か「Chon no」ではないのかと思ったものだ。
 音韻に馴れきった日本人には「ng」にためらいがるということ。