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副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

与党内野党としての公明党~野党4党提出の「戸籍法」改正に賛成

2013年11月21日 | 政治
報道によれば、衆院法務委が開かれ、結婚していない両親の子ども、いわゆる「婚外子」の遺産相続を「嫡出子」と同等にする民法の改正案が賛成多数で可決された。一方、民法と合わせて出生届の記載を見直す戸籍法改正(婚外子の記載をなくす)も野党4党から提出されたが、公明党は賛成したのに対して自民党は反対し、多数で否決された。

9月に最高裁が、婚外子の遺産相続を嫡出子の半分と定めた民法の規定を違憲と判断したことを受けたものだ。「婚外子」の遺産相続を「嫡出子」と同等にしたことから、戸籍法改正も可決されて当然だ。

しかし、自民党は反対した。違憲判決が出された際に、自民党の法務部会では「婚外子への格差をなくせば、法律で認める結婚制度が軽視されかねない」「伝統的な『夫婦』や『家族』が崩壊する」という意見が出され、また、高市早苗政調会長は「ものすごく悔しい」と発言したという。

一方、同じ与党の公明党が賛成したことが目立った。公明党は、記者団に対し「自民党と判断が分かれたが、民法や戸籍法という家族の価値観に関わる問題で考え方が違うことはある。それぞれの党の立場を明らかにすることは議会制民主主義のなかで時にはあると思うと述べている。

先の参院選挙後の記事で述べたが、公明党は“与党内野党”として自民の監視をすると共に、自ら掲げた政策を与党案に入れ込むように動いている。野党が再編論議で分裂するなかで、極めて有効な働きをしている。

参院選後の記事で次の様に述べた。山口公明党委員長は「ねじれ解消」を主張すると共に、公明党による「自民党監視」の必要性を強調する戦術をとった。これは、与党の中で野党的な機能を設定したことになる。即ち、安倍政権の反動的性格に対する不安感を持ちながら、消極的に支持する層に訴えたと思われる。」

「それが、公明党が頼りになる政党に見える理由であって、与党内野党としての公明党の躍進が理解できる。今後の動きは注目する必要がある。」
 『与党及び野党の中の「野党」 130730』

今回の戸籍法改正に賛成する公明党の態度は支持層の考え方を反映しているのだろう。公明党は、高度経済成長時代において日本の人口構造がかわる中で、共産党と共に都市のロアーミドルクラスを組織化したと言われている。それがある意味で「不動層」として社会の安定に役立っているように思われる。

現状の安倍政権は経済政策の推進で手一杯であり、自民党右派に対する親和的な政策はそれほど目立っていない。しかし、経済問題が落ち着くと共に旧来の右派的思考が頭をもたげてくるかも知れない。

それに対する抵抗勢力として機能する第一番手は公明党をおいて他にない。何故なら、野党の民主党、維新の会、みんなの党は、権力奪取を目指して急成長した時期があり、イデオロギー的には野合となっているからだ。また、それぞれの組織内に多くの機会主義者も抱えているように思える。

現状は、与党内野党に健全野党の機能を期待しよう。

      

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