散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

管直人首相の代議士会発言の核心 「若い世代への引き継ぎ」

2011年06月05日 | 政治
菅首相の発言内容を読んだとき、

『若い世代への引き継ぎ』にハッとし、なるほど、これだ!と思った。

自分はやめる、小沢氏はもちろん、鳩山氏の復活もあり得ない。これがメッセージの核心なのだ。今回の菅首相と鳩山氏との会談で、何らかの合意があったことは確かだ。それが『一定のメドがついた段階でやめる』という表現になっている。

鳩山氏はその辞任の時期まで約束したと主張している。しかし、そんなところまで、ふたりの密談の中で決めてしまうのはよしてくれ!という声が民主党の中からでてこないのが、摩訶不思議な状況なのだ。

こういうボス政治をやめることこそが大切であろう。これが引き継ぎをされる若い世代にとって、第一に優先すべきことである。逆に言えば、一般市民のとって、この部分だけが意味ある言葉になる。

『若い世代への引き継ぎ』という発言があったからこそ、その場にいた民主党議員は、これまでの軛から解放された気持ちになったのではないか。憑かれた狐が消え去ったごとく、小沢・鳩山の『追随者』たちが静かに“信任”に変わったという「この世の不思議」を理解するカギは、ここにある。

狐に憑かれた人は、もちろん、“狐”たちも「空気」に支配されているから、このことを理解できていないはずだ。また、『若い世代』とは、民主党だけの問題ではない。当然、自民党を含めた全政界に波及する。自民党・谷垣氏、みんなの党・渡辺氏も民主党の三人組と同じ範疇に入る。その後の発言は、この新しい状況を理解できずに、必死になって旧い枠組に戻そうと試みていると解釈できる。

鳩山氏の「ペテン師」発言。野党の発言も、奇妙に呼応している。菅首相が騙した、とすることで、自らの政治判断のミスを取り繕うとしている。もっとも、渡辺氏のように「騙される方も悪い」と、急いで立場を少し変えている発言もあるのだが。

このような発言の源泉については、永井陽之助氏が『現代政治学入門』(有斐閣(1965))において指摘している。
第Ⅱ章「政治意識」ー2.「状況認識の心理と論理」(P34)のなかで、固定観念とそれで処理できない情報に対する心理的ストレスについて述べ、その反応を疑似論理として型に分けて分析している。ここでは、「ペテン」という反応も例示されていて面白い。