朝顔

日々の見聞からトンガったことを探して、できるだけ丸く書いてみたいと思います。

寂聴さんの青空説法@三十三間堂

2016-03-05 | 京都の文化(春)

蓮華王院三十三間堂では、三が並ぶ3月3日に毎年「春桃会」を開催して、お堂の無料公開をおこなっています。

軒先には桃の花がずらりと飾られていて、原色の明るい旗が下がり、赤白緑のイタリア国旗のような幕に春桃会(しゅんとうえ)と書かれていました。 

事情通の人々が続々と詰めかけてきました。

千体の千手観音立像が古びた黄金色に渋く10段に並び、中央には丈六の中尊、千手観音坐像がある素晴らしいお堂が拝観できました。

特に、風神雷神と二十八部衆像の造形美は素晴らしくて、これぞ国宝だと見るたびに感じます。何度も火災に遭っているのですが、よくぞ今日まで維持されたことだと思いました。

お坊さんのゆるキャラも出張してきています。

この日の目的は、瀬戸内寂聴さんの青空説法を拝聴することです。

ぴったり定刻に登場されました。

広い会場ですから、ワイヤレスマイクは使っていましたが、実にはりのあるしかっりした声で話されました。

原稿も持たず、次々と話題が進みました。現在93歳でもうすぐ94になるそうです。昨年、胆嚢を取る手術をしたがその際に全身麻酔を受けた。それが絶妙に気持ちのいい体験であったということを掴みにして、聴衆の気持ちを惹きつける技はさすがに小説家にして、経験を積んだ僧侶だと感心しました。

約50分くらいの時間にとても沢山の話題がありました。

・88歳までは頑強だった。90になるとさすがに身体に痛いところが増えた。家族、友人のほとんど全部が亡くなってしまった。

・若いとき、京都で出版社の助手をしていて文学者の家に原稿取りに出入りしていた。それをきっかけに少女小説を書き始めた。

・ドナルド・キーンさんが遊びに来て、共通の知人、三島由紀夫の話をしたのが楽しいことだった。三島にファンレターを送ったところ、異例だったが返事をもらった。自分の最初の出版作品を贈ったところコテンパに酷評された。川端康成がノーベル賞を取ったことが悔しくて、それが極右活動(楯の会)の遠因だろう。惜しいことをした。

・その頃の女流作家はみなさんブスばかりだったが、同年代の佐藤愛子さん(92歳)*だけは美人だ(父が有名な小説家、母が女優)。最近の若い女性作家はみんな美人ばかり。

・最近の安倍首相はおかしい、戦争は絶対してはいけない、・・などなど。

最後に、聴衆から質問を受付ました。

・54歳の女性から、夫と死に別れ子どももいない、これからどう生きていけばよいのか? ・・あの世はある。身体は滅亡するが、魂はあの世で生きている。あの世にいる夫の魂は今日もあなたの肩にのかって居る。悲しみにふけることなくお迎えがくるまでしっかり生きなさい。・・などなど、4人位からの質問に答えて、秘書さんに急かされて質問を打ち切りました。「来年もお会いしましょう」と言って退場されました。

~~

*佐藤愛子:引用 ”遠藤周作はエッセイの中で『灘中学時代、通学電車で乗り合わせた彼女は我々のマドンナ的な存在だった』と書き記している。”

 

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2 コメント

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こんばんわ (りんご)
2016-03-05 21:17:24
朝顔さん
本当にマメですね。
河津桜もお雛様も目の保養になったでしょうね。(ワイルドスワンは一気に読ませる力のある作品です~事実の重みにも胸を打たれました)
寂聴さんは不死鳥ですね。
よくぞここまで快復なされたとただ驚きでいっぱいです。10年以上前、岩手の天台寺で青空説法を聴きました。境内を埋め尽くす聴衆の中には北海道からの方もおりました。逆縁の方で泣いて泣いておられました。寂聴さんンは「この世で一番辛いのが逆縁です。お母さんがいつまでも泣き暮らしてはお子さんの供養になりません。元気で暮らすことをあの世で願っているのですよ]と張りのある声で励ましました。寂聴さんが側によると拝むご婦人が複数おりました。私は未だ若かったこともあり他人様の悲しみを心から共感することを知りませんでした。
その当時出版の著書「釈迦と女とこの世の苦」の宣伝を兼ねて俳優の榎孝明さんが随行。一分を朗読。美男好きの寂聴さんのお眼鏡に適うだけあって生:榎木さんに感動。奇しくも私の最も好きな俳優が榎木孝明さん。彼の生き方、志の高さに惚れています。
ネパールを旅した折、「やっぱりあの峠の茶店の娘に教育支援をするべきだと」何里かの道を引き返したという話をかつて徹子の部屋で聴いて感銘。ミーハーな私は榎木さんに駆け寄ってその旨伝えました。カメラにポーズでこたえてくれました。寂聴さんから逸脱
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りんごさん (geneve)
2016-03-08 11:20:41
寂聴さんの回復ぶりと説法には脱帽しました。話で紹介された医学進歩経験、胆のう手術では腹部に3つの小さな穴を開けただけで「開腹」はしなかった、術後はそこに絆創膏を貼ったくらいだとか。平均余命という厚労省統計があります。健康寿命が長くなることはとても良いことですね。 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life14/dl/life14-15.pdf 
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