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外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

IMM取組残高分析 活字版‐円売減速も調整色強まる「米国金融緩和出口策の思惑がリスク懸念材料」

2013-06-03 13:42:37 |   -【特集】IMM残高分析

さて、今週もIMM残高分析の活字版をお届けします。
まずはドル円相場の取組のネットポジションから見ていきましょう。

<ドル円相場とネットポジションのグラフ>
早いペースで上昇を続けたドル円相場ですが、一旦調整局面を迎えています。しかし、大きなトレンドとしてはドル高円安地合に変化が無いと判断している投資家は多いようで、ドルが下落する局面ではドル買い・円売りを進める動きも出ているようです。

こうした地合を受けて、引き続きドルの買い越しが増加しており、投機筋のネットポジションは、99,769コントラクトのドル買い越しとなっています。

<全通貨のネットポジション>
続いて全通貨に対するネットポジションのグラフです。

引き続き主要通貨は、対ドルでの売り越しが鮮明となっています。ドルに対して買い越されているのは、メキシコペソとニュージーランドドルだけとなっています。

<前週比グラフ>
次に前の週と比較した、取組高の変化を示すグラフをみて見ましょう。

まず円ですが、
ここに来て一旦調整局面を迎えており、ドル円相場はやや値動きの荒い展開となっています。しかし、大きな円安トレンドは変わらないと見る向きが、依然として多かった模様で、円高へと反発する局面では、円を売る動きが優勢だったことを、データが物語っています。
円は前の週に比べて、4,583コントラクトの売り越しとなっています。

続いてユーロです。
テクニカルには下落トレンドが続いており、またファンダメンタルズでも、日米と比べて景気回復が鈍い、との見方が強い事から、ユーロ売りを積み上げる動きが続いています。ただ、ユーロ相場の下落が一旦止まった事で、売り意欲は弱まったようです。
ユーロは前の週に比べて、3,695コントラクトの売り越しに留まっています。

さて、これまで買い越し通貨の主役だったメキシコペソも、今回は調整局面を迎えています。
最近上昇を続けていた日本の株式相場が大きな調整局面を迎え、アメリカの株式市場も波乱の状況となっています。更に、アメリカの景気回復が鮮明になる中で、FRBの金融緩和に対し、出口政策のタイミングが市場の注目を集めています。こうした背景から、市場のリスク警戒感が高まっており、メキシコペソのような高金利通貨から、安全資産へ資金が回帰する動きも、一部には出ているようです。

今週はこうしたリスク回避的な動きがまだまだ継続するのか、或は一時的な調整に留まるのかどうかを、判断する週となりそうです。6月はアメリカの半期決算期にあたるため、決算を意識したポジション調整もあり得ますので、少し慎重に相場を見ておく事をお勧めします。

以上、動画での閲覧は下記URLからどうぞ。
http://www.forextv.jp/Video/Video_IMM.php

(編集後記)
5月23日にドル円が急落した後でも、円の売り越しが増えていたのは意外でした。先週のデータ締日となる28日が経過して以降、ドル円は上値が重く推移しており、トータルの残高を減らさないまでも、前週との比較では、中立程度まで減速している可能性も想像できます。

今週末はアメリカの雇用統計を控えています。
FRBの出口戦略が揶揄されていますが、どうでしょう? 要因の組み合わせは幾通りもあり、解釈はアナリストにお任せしたいところですが、失業率は解除水準には今少し遠く、思惑で上昇気味の長期金利に住宅ローン金利が連動し、住宅セールスが鈍化しているとも聞いています。

実質的な利上げになるかもしれませんが、FRBが動くとすれば、資産買入れを圧縮した後に、利上げとなるのが筋だと思うため、例え雇用統計が良い結果となっても、高金利通貨は別として、その他の主要通貨は素直にドル買いとなるかどうかは、疑問視しています。

いずれにしても、IMMの円ポジションがショートに転じた昨年10月のタイミングを注視していれば、今回の円安は事前に察知できていました。そう考えると、円のショートが巻き戻るまでは、円高の程度も知れたものになりそうです。

大いに矛盾していますが、だから暫く揉み合うという見解が正しいのかもしれません。(浅野)



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