外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

ネット ポジション【Net Position】

2013-11-21 16:04:12 |   -FX実用相場用語

ネットとは、インターネット、ゴールネットなどの“網”という意味の他に、ネットのグラム、とかネットの利益というように、“正味の”とか、“純粋な”という意味があり、ここで言うネットは後者の意味で使われる。

相場は売り買いが交錯しながら上下動を続けるわけだが、売買が成り立つということは、基本的に買いの額と売りの額は同額だ。
つまり、ある時点に限った市場参加者のポジションを考えた場合、スクエア(ポジションは取ったが既に決済を済ませた者)、買い持ち(ロング・ポジション)、売り持ち(ショート・ポジション)の3通りが存在するが、ここでのロングとショートは同額でなければならない。

ところが、一部の売買は実需だと考えた場合、実需はカバーされた時点で基本的にスクエアになる一方で、その相手の売買は、実需ではない限り一時的に偏っているはずだ。或いは、投機的に値上がりや値下がりを待つことを前提とした取引である場合、暫く決済は先送りとなるため、市場全体ではその分も偏ることになる。

つまり、ある時点で市場全体のポジションを調べた際に生じた、ロングとショートの差額をネット・ポジションと言い、通常はそれがロングなのかショートなのかも付け加えた形で使われる。


相場がトレンドをもって一方向に変動を継続した場合、収益機会を狙って新たな参加者が増え一時的な偏りは一段と多くなるが、余りに動き過ぎた場合は、反対の取引を狙う参加者や新たな実需にぶつかり、相場が反発を起こす原因となる。

それでもなお、市場全体のネットは釣り合っているはずだが、安いロングのホルダーと高いショートのホルダー、あるいは塩漬けポジションのホルダー個々はスクエアではなく、それらが決済を始めた場合、そこにまたポジションが発生して行く…という訳だ。



【こぼれ話】
昔、バンク・ディーラーと「相場は何故動くのか」という話題から、市場のポジションは常にスクエアではないか?という問答をしたことがある。結局は、ポジションの原動力となる思惑そのものが相場変動の原動力であり、一時的な過不足が波のように伝道し、トレンドが生まれるのだろうという結論になったのは、懐かしい話だ。

ところで、ネット・ポジションのネタとして有名なのが、IMMの為替取組残高データがある。
IMM市場は、あくまで全体の一部であることに加えて、非実需のデータは、投機筋と言われるように、値上がりや値下がりを予め見込んだ参加者のネットであるため、ポジションも偏り易く、彼らがどちらを向いているかが一層良く判るという訳だ。

加えて、彼らが振り回すポジションは多額である上に、かなりの専門性を持った連中が集っているだけに、一般市場にインパクトを与えられる潜在力があり、それも重視される一因となっている。

そもそも、彼らは動かない相場にはさほど手を出してこないため、金利目的で常に高金利通貨のロングが継続されるということが無い点も、IMMのネット・ポジションを分析する意義があるとされている。


ForexTVジャパンでは毎週、IMMデータの分析動画番組をお送りしています。クリックすると該当するWEBページにジャンプします。チャンネル登録など、是非よろしくお願いします(浅野)。

 

目次へ戻る



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。