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外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

ドル円急落後のネットデータにドル買い越しが減少した気配無し-IMM分析活字版

2014-04-15 15:41:03 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週もIMM取組残高分析活字版をお送りします。

今週番組で使用する最新データは、4月08日のIMM市場が終了した時点のものです。
今回、データの対象になった期間のドル円相場は、前週のドル買いを引き継ぎ104円台定着を目指す動きから始まりましたが、再び103円台に沈んだ以降、最終日の8日には急落して101円台で締め切りを迎える展開でした。
締め切りは日本時間9日朝の6:00に当たるため、前週増えたドルの買い越しは大きく手仕舞いされたと考えるのが順当でしたが、さて実際のIMM残高にはどのような変化があったでしょうか。

では早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参ります。

先ずは、ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化のグラフからです。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
オレンジの折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は、101円台で終わったこともあり、ドルの買い越しが大きく解消された3週前に迫る反落をしています。しかし、ドルのネットポジションは、87,462コントラクトの買い越しと、前回大きく回復した買い越しから僅かな減少に留まっており、大きなサプライズでした。

その理由について2点考えられます。
一点は、高値揉み合いで相当ドル買いをつぎ込んだにも関わらず相場は全く上昇できなかったことから、買い増した分の投げが入り下落したものの、買い越しを減らすまでには至らなかった。

或いはもう一点として、一時はドルを大きく売り越して相場を押し下げたものの、ボトムに掛けて買い下がるなどしてポジション的には大きな変化に至らなかった…という2点です。


いずれにしても、最終的には買い越しに変化が無いまま相場だけが下落してしまったことになり、下落リスクが拡大して終わった印象はぬぐえないと考えています。

<全通貨別ネット残高推移>
次に、各通貨のネット残高のグラフです。先ず主要3通貨ペアからですが、

ドル円以外で注目に値するのは、ユーロの買い越しとポンドの買い越しが逆転したことで、ユーロに高値警戒感が生じている一方、ポンドは上昇見通しが強まったことが判ります。

ブルベアでは、ユーロの買い越しが3ポイント減少した一方、ポンドは3ポイント増加という結果になり、先週想定したとおりポンド相場が続伸しています。

その他ではメキシコペソが買い越しを大きく伸ばし、3週前のニュートラルから躍進しています。新興国リスクは完全に消滅したと判断されての買い越しという側面もあるかもしれませんが、ドル金利の先高観がまたも後退し、高金利通貨に資金が急速に流れ込んだという可能性はあるでしょう。
ブルベアはご覧のとおり、大きくブル側に傾いており、行き過ぎ感は否めない状況です。

豪ドル相場は前回の締切から一段高となった割には、殆ど買い越しは積み上がっておらず、ブルベアも極めて中立的な状況です。言い換えれば今後、買い越しが増える地合いは充分に残っており、上昇の余地は依然として可能性は高い一方、再び売り越しに転じることも容易であり、ここからの騰落に関しては五分五分である状況だといえそうです。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
続けて、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフです。

先ず円ですが、このグラフでは、前回と今回の比較では、ほぼ何も無かったかのように見えます。ブレークダウンから、ロングもショートもほぼ同額が取り崩された結果であることが判ります。円買いも縮小していたことはやや意外であり、見た限り円高に振れた背景が明確に確認できない格好となっています。

ポンドは買い越しが優勢でした。ブレークダウンでも、売り買い共に拡大する中、大幅な買い越しが全てに尽きるという結果でした。

ブルベアが極めて中立だった豪ドルは、しっかりと上昇側へとシフトしている状況を継続していました。このままだと買い越しに転じる傾向にあることは確実であり、相場的にはやはり続伸に期待がかかる状況に見えます。

一方、買い越しが急伸したメキシコペソは、一気に買い越しへとシフトしていることが判ります。市場規模も3週前はグロスで4万コントラクト程度だったことを考えると、随分しっかりした規模に成長こそしましたが、やはり買い越しの行き過ぎ感は否めず、次回は調整気味な結果に終わる可能性が指摘できそうです。

<総括と考察>
さて、アメリカの雇用統計とFOMC議事録公表をこなして、ドル金利の先高観は市場から後退し、ドルは一時全面安になる展開でした。裏を返せば、この分析番組が見ている各通貨は買われることになりますが、現にカナダと円以外は概ねブルが優勢だったことは見ての通りです。

円に関しては、実際に売り越しも減少はしていましたが、それが買越しにつながるどころか買い越しは一段と減少し、ブルベアは最近の中でも最も円売りに偏っていました。それにも関わらず、相場は円高に振れるなど、矛盾する結果があぶり出されました。

例えば、ドル円相場の下値揉み合いがもう少し継続し、売り越しがある程度まで圧縮されれば問題は無いのですが、ブルベア的には、このまま再び円安に向かう力はあまり残っていないように映りました。

依然として、本年安値の100.75銭が意識されながら、下落リスクは高い状態が続くと見ています。

以上の内容は、動画番組でもご覧いただけます。

※上の画像をクリックしますと、ForexTVジャパンのIMMチャンネルにアクセスします

実際にグラフや画像を多数取り入れていることで、非常に理解しやすい構成になっています。是非、ご覧いただき、チャンネル登録などをしていただけると幸いです。


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