山と道・野の花のこと

揺れずに咲く花がどこにあるだろうか
この世のどんなに美しい花も揺れながら咲くのだ
<ト・ジョンファン>

吾妻連峰の広さを楽しむ@吾妻山 日本百名山№25+

2013-10-01 | 25吾妻山(夏・秋)+一切経山
吾妻連峰の東端へ
花の季節でもないのに
紅葉にも早いのに
出かけた山旅を締めくくります。
磐梯吾妻スカイラインにある
浄土平からの周遊コースの
締めくくりに選んだのは
東吾妻山
標高1975m
お皿をひっくり返した山容は
吾妻連峰の山の標準形です。
鎌沼越しに見ると

深田久弥さんの
日本百名山より
この山群には一頭地を抜いた代表的な峰がない。それでいて
東北では貴重な千九百米以上の高さを持つ峰が十座近くも
群がっている。しかもそれらの峰がいずれもずんぐり
むっくりした形で、顕著な目じるしがないので、
遠くからこの山群を望んで、どれがどの峰かにわかには
識別しがたいほどである。
姥ケ原から東吾妻山に向かうのに
勇気はいりません。
どう見てもハードな山道の様には
見えないからです。
ビジターセンターにあった案内板によれば
東吾妻山まで上り40分です。

しかし
遊び疲れた体に
林の山道はジンジンと効いてきます。
十字路の標識から

林の中の石と木の根が露出した道

しだいに青空が見えるようになって

森林限界を超えると

まるで山頂を示すような木柱ですが
文字の上に矢印があるので
山頂はまだ先です。
案内板の時間通り
40分で山頂です。
下から見た山の形から想像できる
広く平らな広場に
10名以上の方が休んでいました。

吾妻連峰は

写真の一番奥に左から
西大巓と西吾妻山が見えます。
手前の一番左が中吾妻山です。
西吾妻に登ったときは
展望がいいはずの西大巓からも
ガスで何も見えず
寂しく山を降りましたが
今日は最高の山日和です。
パノラマにすれば

このすべてが
1900m級の山が連なる吾妻連峰で
東吾妻山から見た地形は
地図によればカタカナのヨの形で
山あり沼ありの変化に富んだ
地形です。。
花の百名山には
2泊3日で縦走するコースが
紹介されていました。
この広さからすれば
日程が長すぎるということはないでしょう。
今回は時期的に
咲いている花は少なかったのですが
花の百名山にふさわしい面影を
確認することができました。
あまりにも広大で
西と東にそれぞれ日帰りで登り
中抜きにしてしまった功罪は
いずれまた
言い訳を考えて
来ることになるかもしれません。
この日
吾妻連峰から見ることのできた
福島県の山々

湖沼群を抱く会津磐梯山

紅葉が有名な安達太良山

遠いので
ここからは残念ながら見えなかった
秘境に近い会津駒ケ岳も
今年登りました。
福島の山の魅力を堪能し
福島県で残るのは
新潟県との境にある
飯豊山のみとなりました。
end

覗き込んで歓声上がるハート@吾妻山 日本百名山№25+

2013-09-29 | 25吾妻山(夏・秋)+一切経山
日本百名山の吾妻連峰にある
一切経山の魅力は
ほんとの青空と吾妻小富士だけ
ではありません。
この人だかりは
そのもうひとつの魅力を
楽しんでいるのです。

正式名称は五色沼などという
昔の名前ですが、
別名
魔女の瞳
直径300mの火口湖が
170m下に
コバルトブルーのハートマークで
お澄まししています。
想像していたより
はるかに大きく
見に来たほとんどの人は
その大きさに圧倒されている
のだと思います。
それは
実際に一切経山に登って
体験してください。
これから紅葉の季節です。
きっときれいですよ。
170mを20分下って
沼のほとりに立てば
誰もいない独り占めの
魔女の瞳がそこにありました。

普通の撮り方では
全体が入りきりません。
これは写真2枚を合わせものです。
振り返れば
一切経山がピラミッド状に見えました。

近寄ります。

黄色い葉に
表現しにくい青色が映えます。
この色は何からできているのか
これ以上沼に近づくことはできません。
魔法をかけられ
ふくろうにされてはたまりません。
一切経山の反対には
家形山があずまやの形で
控えています。

そこまで登れば
本当のハートが見えるかもしれませんが
誘惑を断ち切って
一切経山の山頂に30分で戻りました。
魔女に会いに50分の旅
満喫していただけましたか。
魔女の瞳で検索すれば
たくさんヒットしますから
それもお楽しみください。
締めくくりは
日本百名山としての吾妻連峰に
したいと思っています。
end

ほんとの青空だけはご覧ください@吾妻山 日本百名山№25+

2013-09-28 | 25吾妻山(夏・秋)+一切経山
安達太良山に登ったとき
この上がほんとの空ですという
智恵子抄の記念碑を見て
空に薄くかかる雲に
また来るからと呼びかけて
数年がたちました。
安達太良山の奥にある一切経山に
ほんとの青空がありました
これは
木曽駒ケ岳で日本中が見渡せた
あのときの以来の青空です。
磐梯吾妻スカイラインの
浄土平駐車場から
大勢の登山者が
カラフルなウェアに身を包み
一切経山を目指します。

深田久弥さんの
日本百名山より
吾妻山の名の起こりは、この東吾妻からだと思う。
「実の名は一切経山なれども、土俗総称して吾妻山という」
と古記にあるところから察して、一切経山を主峰として
崇めていたかもしれない。僧空海が山中に一切経を埋めたので
その名があるとも伝えられている。

浄土平から軽いのぼり道を進むと
硫黄のにおいが強くなり
噴煙も近くに見えるようになります。

道の脇のナナカマドが
赤く色づいているものもありました。
酸ケ平が見えると
木道を右に曲がり
避難小屋の先の上りに向かいます。

噴煙から少し遠ざかりましたが
登るにつれて硫黄の臭いが戻ってきます。
小さい沢は
ほとんど水が流れていませんが
土の下にある岩が露出しています。

この坂を登るとその先は
緑が減り
岩の露出した平坦な道になります。



緑が少ないのは
噴煙の影響もあるでしょう。
平坦な道ということもあり
眼の中は
青空でいっぱいになりました。

ケルン?には
空気大感謝塔の文字

青空は空気の色
上空には
雲ひとつありませんでした。
山頂まで120分
この後は
もうひとつのお楽しみがあるのですが
それはまた後日といたします。
浄土平に戻るときに
さすがに雲も出てきましたが
紅葉越しの一切経山


新しいレンズで
噴煙のクローズアップ

晴れれば
秋の山の空は青い
end

山に登らなくても高原の秋満喫@吾妻山 日本百名山№25+

2013-09-27 | 25吾妻山(夏・秋)+一切経山
磐梯吾妻スカイラインの
浄土平から
蓬莱山を反時計回りに歩くコースで
酸ケ平から姥ケ原を散策しましょう。
1周すると90分くらいです。

軽い登りが終わると
樹木が減り平らな湿原が
広がります。


真っ直ぐ進まずに
一切経山に登るコースに曲がり
姥ケ原や鎌沼を見下ろすと
湿原らしい景色が広がります。


至仏山や燧ケ岳から
尾瀬ヶ原を望むと
少し高すぎる気がしますが
ここは歩いている人も見えて
ちょうどいい高さです。
戻って
茶色く色づき始めた水辺から
色の微妙な変化が夏から秋へ

季節の曲がり角にあることを
教えてくれます。
木道を真っ直ぐ進むと
今年はたくさん見た
コバイケイソウの名残とともに
鎌沼が広がります。

黄色く色づいたカエデ越しに
水辺にのんびり戯れる人たちが
見えます。

木道を青空に向かって進み
 
下り坂にさしかかると
右も左も元気のいい黄色が
目に飛び込んできました。
八甲田山の毛無岱の
ミニチュア版のようです。
左から右へカメラをまわすように
写真を撮りました。
 
 
奥の山が東吾妻山です。
穏やかな山容ですが
標高1975mもあります。
さらに進むと
この日一番カラフルな小川が
まだ早い秋の気配を
感じさせてくれました。

道沿いには
ヤマハハコの白

シラタマノキの白

そして
エゾオヤマリンドウの紫が
花を添えていました。

紅葉は
これから見ごろを迎えます。
皆さんどちらへお出かけですか。
end

絵はがきと吾妻小富士・七景@吾妻山 日本百名山№25+

2013-09-25 | 25吾妻山(夏・秋)+一切経山
小学校の修学旅行で訪問した
福島県会津地方で
わずかなお小遣いで買ったお土産の中に
絵はがきがありました。
その内の1枚に
修学旅行の行程にはなかったけれど
印象的な場所がありました。
長い時間を越えて
始めて訪問します。
8月に登った
吾妻山の東の端に
それはあります。
深田久弥さんの
日本百名山より
それらの峰がいずれもずんぐりした形で顕著な目印がないので、
遠くからこの山群を望んでどれがどの峰かにわかに識別しがたい
ほどである。そのなかで吾妻小富士が名の通り、一つのまとまりを
見せているが、しかし千七百米しかなく形も小規模なので
これをもって吾妻山の代表にする訳にはいかない。
紅葉の混雑を避けて
ゆっくりと散策したかったので
9月の遅い快晴の日に
出かけることにしました。
出かける早朝の月

その絵はがきにはもう1枚
山を縫うようにくねくねした道が
あったような気がします。

どこの道かおぼえていませんが
こんな感じだったと思います。
車の目的地
浄土平はこの日
まだ余裕の駐車場です。
あたり一面みどりの世界から
映画のシーンのように色彩が変わり
インディージョーンズの世界に
迷い込んだようでした。
この地は
アトラクションが多いので
今回は
吾妻小富士をまとめて
ご報告します。

駐車場から一切経山に向かい

朝早いけれど小さなグループが多く
さすがに名所であります。
一切経山をぐるっと回って
吾妻小富士が見えるところまで
来ました。

小学校の修学旅行で買った絵葉書は
こんな絵でした。
東吾妻山に登ってみれば
一切経山と吾妻小富士が
親子のように見えます。

浄土平への帰り道は
気の早い紅葉のなかに吾妻小富士が
正面に拝めます。

戻って見れば
観光客でいっぱいの
吾妻小富士が
絵葉書になる名所でした。


end

小さな花と抱負@西吾妻山 日本百名山№25

2013-08-08 | 25吾妻山(夏・秋)+一切経山
乗ってきた車が待っていますから
裏磐梯の
グランデコスキーリゾートに戻ります。
西吾妻山2035m山頂から
西大巓(にしだいてん)1982mまでの
道中に咲いていた小さな花
モウセンゴケ
モウセンゴケ科の食虫植物

ミヤマリンドウ
リンドウ科の多年草
リンドウ

タカネアオヤギソウ
ユリ科の多年草

ウメバチソウ
ユキノシタ科の多年草

ミヤマコゴメグサ
ゴマノハグサ科の一年草

そして
コバイケイソウの大群落

予想通り
石の登山道の下りは疲れましたが
花の写真に時間がかからないので
西吾妻小屋からゴンドラ山頂駅まで
1時間10分でした。
トレーニングを兼ねて登る弥彦山に
感謝いたします。
木のトンネルの向こうが
ゴンドラの山頂駅です。

展望が何もなかったので
スキー場の案内板で我慢します。

グランデコスキー場のある山が西大巓
その奥が西吾妻山です。
もう一つの登山口
天元台スキー場からの
イラスト地図

西吾妻山の魅力は
まだ半分も堪能していないようです。
ゴンドラの山麓駅には温度計があり
気温19℃
湿度78%
不快指数65(快適)
雨が降ったり止んだりで
やはり湿度は高めでした。
今回は吾妻山の西端でしたが
どちらかというと表で
東端の一切経山1948.8mも
登ってみようと思っています。
見所がいっぱいあるみたいなので
今度は
花は少なくても晴れた日が
いいですね。
本日の歩数
18,153歩
おまけに
スキー場の入り口に咲いていた
ネジバナ
ラン科の多年草

end

屋根のない丸い部屋@西吾妻山 日本百名山№25

2013-08-07 | 25吾妻山(夏・秋)+一切経山
裏磐梯の
グランデコスキーリゾートのある
西大巓(にしだいてん)1982mから
西吾妻山2035mまで
標高差53mなんですが
ひたすら下ります。
帰りが大変だなと思いながら。
下る登山道は赤茶色で
富士山の登山道に似た色でした。
小さな花を撮りながら
20分くらい下りたところで
水が集まる鞍の一番低いところに
モウセンゴケ

下ったらそれ以上に上ります。
石ころの道や

階段

木道になると湿原が現れます。

残念ながら
花はほとんど咲いていません。
西大巓から40分で
西吾妻小屋のある
変形の十字路につきました。

まっすぐは天狗の岩
左が西吾妻小屋
右が西吾妻山山頂です。
山頂方面に向かうため
右に曲がると
また見慣れた林に入ります。

道は細く
すれ違いは譲り合う必要があります。
変形の十字路から10分ほどで
西吾妻山の山頂に到着しました。
小雨も降りましたが
何とか
レインウェアを着ないで済みました。
西吾妻山の山頂は
直径10メートルもない円形の空き地で

周りは低いオオシラビソで囲まれ
展望はありません。

屋根のない丸い部屋のようです。
GPSの若者チームと
西大巓に戻ってきた単独登山者
母親と小学生の男の子の親子で
なんとなく
円陣を作るように立ち
登頂の余韻に浸りました。
展望はないですね
ただ一番高いところなだけですね
おかあさん
ここってサンチョウメ?
違います
サンチョウです。
みんなで大笑い

少しずつ人が集まってくるので
皆さんにお別れとお礼を言い
変形十字路まで戻り
箱庭を見ながらお昼にしました。
深田久弥さんの
日本百名山より
その最高峰へ登ったのは4月上旬であった。
<中略>
西吾妻山の頂上もつかみどころのない広い原で
丈の低いオオシラビソが雪面にぞくぞくと頭を出している
風景は友の形容を借りれば「大海の波のあいだにイルカの群が
跳ね廻っている」ようなおもむきであった。
最終回
小さな花に
つづく

厚い雲で右往左往の西大巓@西吾妻山 日本百名山№25

2013-08-06 | 25吾妻山(夏・秋)+一切経山
裏磐梯
デコ平のスキー場ゲレンデから
林に入り
初めは木の根の這った
緩い上りの登山道です。

次第に林が深くなると
登山道は斜度を増し
濡れた大小の石が覆い
足元に気を使うことになります。
階段と違い
1歩が大きくなったり
小さくなったりで
体力を奪っていきます。
下りは更に慎重に
足場を選ばなければなりませんでした。
時折、木が低くなり
前が明るくなりますが
ガスで何も見えません。

それでも
登山道には
この時期に登るから見られる花が
力づけてくれました。
クロヅル
ニシキギ科の落葉つる性低木

アカミノイヌツゲ
モチノキ科の常緑低木

アキノキリンソウ
キク科の一年草

コバイケイソウ
ユリ科の多年草

イワイチョウ
ミツガシワ科の多年草

イワオトギリ
オトギリソウ科の多年草

ナンブタカネアザミ
キク科の多年草

ネバリノギラン(つぼみ)
ユリ科の多年草

そのほか
ギンリョウソウ

終わりかけていましたが
シャクナゲ
ゴゼンタチバナ
マイヅルソウ
などを見ることができました。
登山口から西大巓(にしだいてん)まで
2時間と表示がありましたが、
約1時間半で到着です。

ガイドブックの花の百名山には
展望よし
の文字が踊っていますが
あいにくの雲
展望が利かないせいで
この先
西吾妻小屋に行く道が
判りにくくて困りました。
デコ平から来た道から
ヘの字(くの字)に右に進むのですが
方向指示が不明確なので
どんどん下りる道に不安になり
戻ってくる人もいました。
GPSを持った若者チームが
自信たっぷりに進んでいくので
ついて行くことになりました。

つづく

裏磐梯グランデコリゾート@西吾妻山 日本百名山№25

2013-08-04 | 25吾妻山(夏・秋)+一切経山
日本百名山には
吾妻山と記されていますが、
吾妻山はあまりにも広く
今回はそのうちの西端でかつ
唯一2000mを超えるピークの
西吾妻山2035mに登りました。
深田久弥さんの
日本百名山より
一口に吾妻山と呼んでもこれほど漠然としてつかみどころのない
山はあるまい。福島と山形の両県にまたがる大きな山群で
人は吾妻山に行ってきたというが、それは大ていこの山群の
ほんの一部にすぎない
花の百名山には
2泊3日の縦走コースが載っていました。
余裕があればそうしたいところですが
まだしばらく
日帰りで行きたい山が続きます。
ここは日帰りで西端を目指します。
登山口はスキー場にあります。
裏磐梯
グランデコリゾート

*

でこ平湿原もありますが
朝一番のゴンドラの乗客のほとんどは
西大巓(にしだいてん)に向かいます。

駐車場に到着した頃にあった青空は
ゴンドラが進むとともにわずかとなり
行く先には厚い雲
花に魅せられてしまい
最近、展望はお預けが多いのです。
登り始めは
スキー場のゲレンデです。
ゴンドラ山頂駅から右に回りこんで

石がゴロゴロで歩きにくい道を
九十九折に登っていきます。

30分ほど
ゲレンデに咲く花々を楽しみます。
一番多かったのは
ヨツバヒヨドリ

*

次が
ヤマハハコ(つぼみ)

ヤマハハコは時期が少し早いせいか
まるで大きなウスユキソウのようです。
他には
オトギリソウ

など
おなじみの花が散りばめられ
真夏の花畑でした。
登り始めのところに
さわやかなレモン色の花が
1株咲いていました。

月見草だと思います。
アサギマダラという蝶が
主役級のようですが
朝から
生息地に寄り道する余裕はなく
ゲレンデに
小さいですが青い羽の美しい
ツバメシジミが群れていました。

撮っている蝶の前を横切る
目立ちたがりの蝶

写真を撮りながらなので
先行する団体さんに
置いていかれそうです。
水のほとんど流れていない
小さな川を渡り
林に入りました。
つづく