山と道・野の花のこと

揺れずに咲く花がどこにあるだろうか
この世のどんなに美しい花も揺れながら咲くのだ
<ト・ジョンファン>

大物忌神社~鉾立登山口@鳥海山☆日本百名山№44

2019-08-10 | 44鳥海山(夏)

この日初めて見た青空は

すぐに消えて

新山からの下りはまた雲の中でした。

午後の12時45分から

大物忌神社で昼食になりましたが、

時間は1時までのわずか15分。

皆さん早く下りたいから

文句は言いません。

同行者からミニトマトをいただき

甘いですねと答えたら

もう一つどうぞと

下山の準備をしていると

また歓声が上がり

外輪山が姿を現しました。

カメラを出して構えると

雲が邪魔をします。

何回かの格闘の末

1枚だけハッキリ写っていました。

大物忌神社の先に

新山の姿も現れました。

とてもいい場所で昼食していたようです。

昼食後

大きな岩がゴロゴロとした

千蛇谷を下っていきます。

雲が舞っているので

時々、展望が開けます。

外輪山に巻き付いた

風で糸を引くような雲。

振り返れば

新山の方向に岩山も見え

あそこが山頂なのかと問う声。

ようやく夏山の雰囲気です。

千蛇谷雪渓が見えてくると

一旦下りが終わり

雪渓を渡ります。

疲れていても振り返り

カメラを構えたくなる場所。

雲がリングを作っていました。

この山で最も印象に残った雪渓が

植物の緑と空の青に引き立てられ

立派な主役になりました。

帰りには特にきつい急登を上りきると

七五三掛

「しめかけ」と読みます。

しめ縄をかけた聖地・立ち入り禁止の土地

という意味があるそうです。

最後に振り返り

長い雪渓の先にある新山は

まだ雲に隠れていました。

その先は広々とした鞍部

石畳の道

ニッコウキスゲが

まとまって咲いていましたが

無言で、先を急ぎます。

御浜小屋に到着し、やっと

荷を下ろして休憩になりました。

ガスで鳥海湖は見えません。

また一つ宿題です。

賽の河原という

広々とした草原と石畳が続き

尾根渡りという

ゆったりした上りが終わると

象潟の風景が見え

気温がだんだん上がってきました。

目的地・鉾立登山口は

あまりの疲労と帰りの時間が気になり

写真を撮り忘れましたが

朝の5時に出発し、午後5時の到着です。

この日の歩数:27381歩

日帰り温泉施設には

ソフトクリームがなくて

アイスクリームで我慢しました。

甘味で疲労回復。

鳥海山は大きくて

変化に富んだ山でした。

目にすることのできなかった宿題は

いつか再挑戦したいと思います。

深田久弥さんの

日本百名山より

鳥海山は登ってみて、ヴォリュームのある深い山という感には乏しいが、

年経た火山だけあって、地形の複雑な点に興味があり、

すぐれた風景が至るところに展開されている。

頂上火口の険しい岸壁、太古の静寂を保った旧噴火口の湖水、

すぐ眼下に日本海を見おろす広々とした高原上の草地―

これだけの規模の山で、これほど変化に富んでいる山も稀であろう。

最終回

8月の花へつづく


外輪山~大物忌神社・新山@鳥海山☆日本百名山№44

2019-08-08 | 44鳥海山(夏)

外輪山の縦走ですが

何も見えないのと

強風で帽子を押さえるのと

修行のように

ただ先に進むだけです。

その中で、足元には健気に

チョウカイフスマが

たくさん咲いていました。

行者岳2159m

ハシゴがあります。

この日はガスで周りが見えないため

恐怖感半減。

スピードを上げて七高山を目指します。

すれ違う登山者が出始めました。

縦走路は

さほど狭くはなくて

すれ違いも

譲り合うほどではありません。

外輪山の北の果てに

本来なら絶景がある

七高山2229mも

雲の中でした。

晴れた早朝には、日本海の方に

影鳥海が見れるそうです。

小休止後、まだ見えぬ

鳥海山山頂の新山を目指し

大物忌神社へ

雲の中を急降下します。

下りきった辺りに雪の壁。

御室小屋が見えて

時刻は12時少し前でしたので

昼飯にするのかと思ったら

荷物をデポして新山に向うとのこと。

そのときは気付きませんでしたが

大物忌神社にあった地図によれば

神社左手から上るとあるが

間違えて

右手から上り、その道を帰ってきました。

遅れ気味なので、

ツアーガイドもあわてています。

30分間大きな岩と格闘しながら

下りの矢印を目印に

右回りに上っていきます。

(逆廻りになりましたから)

両手を使うので

写真を撮る余裕はありません。

かろうじて

オレンジ色のツボミを撮りましたが

何の花かは調査中。

イワウメのつぼみか?

やっと頂上らしき山影が

雲の中に

うっすらとそびえています。

体内くぐりと呼ばれる

岩のトンネルをくぐって

(本来は下りにのみ使う!)

ようやく山頂へ

狭い

カメラを持って上がったけれど

周りの風景だけを撮って

山頂そのものの写真を撮るのを

忘れてしまいました。

程なく、歓声が上がり

この日初めて、

感激の青空が広がる。

何て劇的な表れ方なんでしょう。

いつも見ているのに

この日は特別なショウのよう。

隣のピークに

久しぶりに見る

黄色のウィンドブレーカーの

黄レンジャーがいます。

あきらめていた

下界の緑もほんの少しだけ

見えました。

(超・・・拡大)

物語はまだつづく


心字雪渓~外輪山の伏拝岳@鳥海山☆日本百名山№44

2019-08-06 | 44鳥海山(夏)

7合目・河原宿小屋からしばらく

雪渓の雪解け水が溜まり

お花畑が点在する草原を歩くと

小氷河といわれる心字雪渓です。

一番期待していた風景なのに

ガスは一層濃くなり

初めて登るとすれば

行く先の道を目で辿ることさえ

困難な状況です。

まだ朝早いため

すれ違う登山者も少なく

ツアーでなければ

ここで帰ったかもしれません。

軽アイゼンを装着し、登り始めます。

雪渓は固く凍っているので

アイゼンなしでは疲労が大きいと思います。

雪渓は綺麗なイメージですが

空気にも色んな汚れが含まれているからか

服やザックが黒く汚れます。

ガスで遠景はもちろん、花も遠く

視界には雪と緑の草原だけが残ります。

雪解けの進み具合から

時々、雪渓の横の岩と草の道に廻ります。

アイゼンをつけたまま岩を踏むと

アイゼンが痛むなぁと思いながら

ここは

着脱が簡単な4本爪のアイゼンが最適です。

最後の小雪渓はトラバースするので

ロープが張ってあり、

結局、アイゼンの着脱を2回で

すべての雪渓を超えました。

再び、緑の灌木の道を進むと

上りの角度が急になり

薊坂

という標識がありました。

ふり仮名がなかったので

読めませんでしたが

あざみざかと読むのだそうです。

アザミの漢字を初めて知りました。

もちろん

鳥海山でアザミといえば

チョウカイアザミのこと。

たくさん咲いていました。

花の百名山によれば

花に手を触れると特有の粘り気がある

とのこと、試すのを忘れました。

随分長い急登でした。

傾斜が緩むと外輪山の稜線に出ます。

出迎えは、伏拝岳(2130m)です。

晴れていれば

鳥海山山頂である新山が拝めるはずですが

ガスで眺望はありません。

薊坂は

道が狭くて休む場所がなく

ようやく一息ついて小休止です。

カメラの温度計は17.1℃

風が強くなり寒いので

ウィンドブレーカーを重ね着しました。

つづく


湯ノ台口~7合目河原宿小屋@鳥海山☆日本百名山№44

2019-08-04 | 44鳥海山(夏)

深田久弥さんの

日本百名山より

名山と呼ばれるにはいろいろな見地があるが、

山容秀麗という資格では、鳥海山は他に落ちない。

眼路限りなく拡がった庄内平野の北の果てに、

毅然とそびえ立ったこの山を眺めると、

昔から東北第一の名峰とあがめられてきたことも納得出来る。

盛夏の8月に涼を求め北に向います。

自宅からの車の移動距離は250km

3.5時間で行けるので

自力での登山も可能ですが

ツアーコースが

湯ノ台口から象潟口への縦走だったので

今回もバスツアーを選択しました。

残念ながら

立ち止まって写真を撮ることは

あきらめましたので

風景や花の写真は不本意ですが

御了承ください。

夜行日帰りでは厳しいコースですが

不慣れな方が参加されたので

10時間の予定が12時間かかり

健脚の方もかなり疲労して

帰りのバスは静かでした。

コースタイムは参考になりませんので

省略させて頂きます。

さて

滝ノ口登山口の駐車場の脇に

純白のヤマアジサイが咲いていました。

(エゾアジサイかも?)

アジサイは土壌が酸性かアルカリ性によって

花の色が青や赤に変化するのですが

純白の花が複数株あったので

驚きです。

湯ノ台口コースは

山形県側の代表的なルートです。

駐車場から滝ノ小屋までは

石畳や小川を渡る橋などが整備された

森の中の道です。

ウォーミングアップに丁度よい角度で

滝ノ小屋に着きましたが

ガスがかかり始めました。

小屋の脇に

トウゲブキが乱れ咲き状態です。

滝ノ小屋を過ぎると

雪渓からの雪解け水が太目の小川となり、

何回か渡渉します。

深くはないのですが、水の流れが速いので

少し緊張します。

不慣れな方はあっと声が上がり

流れに足をとられていました。

次第に上りがきつくなって

八丁坂となり

 

お花畑を楽しんだり

時には雪渓を横に見て

河原宿小屋に着きました。

 

天気予報は悪くなかったのですが

相変わらずのガスで展望はありません。

もう1度この山に来ることになる

かもしれないと思いながら

黙々と登っていきます。

ハードな山は寡黙になります。

つづく