山と道・野の花のこと

揺れずに咲く花がどこにあるだろうか
この世のどんなに美しい花も揺れながら咲くのだ
<ト・ジョンファン>

切合小屋⇒飯豊本山小屋☆飯豊山9月中旬@日本百名山№54

2021-12-31 | 54飯豊山(秋)
切合小屋の先は主稜線となり
目を凝らすと山を覆う緑の中に
時々、人の姿があります。
にぎやか過ぎたり、寂し過ぎたりでず
ちょうど心地よい空間です。
深田久弥さんの
日本百名山より
玄さんの言によると、日本のどの山も皆つまらない。
飯豊のような山は他にないというのである。
夏の1週間、その玄さんの案内で私は飯豊の全主稜線を歩いて、
その言に偽わりのないことを知った。
<中略>
殊に感服したのは、その主脈の峰々がいずれも堂々と独立して、
まるで一城のあるじのように大きく見えたことである。
切合小屋から見える大日岳までの主稜線

右側の一番近いピークは草履塚
その右が飯豊本山です。
飯豊最高峰の大日岳はどのルートからも
少し奥にあって、
堂々とした姿にあこがれるけど
登るには1泊分多めの準備が必要で
今回の山旅では見送りです。
先ずは、草履塚から登り始めます。

相変わらず、青空を半分に切る雲。

視界が広いし
始まりは草原の道のようで

咲き残っていたヨツバシオガマと
せり科の白い花。

少し傾斜が増すと、石が混じる道となり

トンネルのようにえぐれた道を抜けると

一気に視界が広がり

草履塚の山頂です。
大日岳も少しだけ身近になりました。

草履塚のピークから少し進むと
急な下りが待っています。
これから歩く道が見下ろせます。

右下に、乳母権現
中央やや上に、御秘所という岩場。
その先が、最後の急登である御前坂。
稜線歩きでも上ったり下ったりがあると
しんどいのですが
こういう風景があると
疲れが吹っ飛びます。
一番下まで下りて、見上げると
この変化にとんだ道が
今回の登山のハイライトでしょう。

乳母権現を拝み、

ほっこりした後、すぐに御秘所に到着。
切合小屋から1時間かかりました。

御秘所は右が切れ落ちて
ひやひやします。
振り返ると、もっと緊張します。

岩場を超えると、御前坂の手前に
呼吸を整えるように平坦な道が少し

迷いようがありませんけど
りっぱな木柱が示す御前坂の文字が
そこだけきれいに
白ペンキに黒文字になっていて
管理人さんが塗り直したのか
丁寧な仕事をされていました。
御前坂は15分程度の上りですが
今までたまった疲労から
脚が思うように上がらず
亀の歩みになりました。
急登を登り切って見下ろすと

今まで歩いた主稜線は
三国岳につながる全貌が
手に取るようにわかります。
見とれて、10分くらい立ち止まり
写真を何枚か記録してから
先に進むと、テント場に

一人用のテントが一張あり、
テント場を独り占めですねと声をかけると
このテント場は荒天時には風が強いので
その時は避難小屋に入るようにと
切合小屋の管理人さんに言われたそうで
小屋に泊まると言った私に
その時はよろしくと頼まれましたが
この日の夜に強風は吹かず、
テントでゆっくり眠れたでしょう。
水場はここから100mほどで
少し下りたところにあるようです。
私は切合小屋で補給した水が
まだ十分残っていたので
立ち寄りません。

テント場から程なく
飯豊本山避難小屋に到着です。

切合小屋から2時間
大日杉登山口から7時間20分
かかりました。
小屋の中をのぞくと誰もいません。
小屋のすぐ横にある

飯豊山神社
つづく

眼洗清水⇒切合小屋☆飯豊山9月中旬@日本百名山№54

2021-12-25 | 54飯豊山(秋)
眼洗清水から切合小屋までは
標準タイム2:30の
約300mの上りになります。
林で視界が覆われるところもありますが
長続きはしません。
左に、飯豊連峰の南端・三国岳からの
稜線が伸びています。

目を凝らすと、一番左のピークに
三国岳避難小屋も見えました。
右の木の枝の間から、
視点が動いているために、先ほどより
飯豊本山と草履塚が近寄っているのが
わかります。

この辺りは厳しい冬のせいか
枝ぶりがみごとなダケカンバが
連なっていました。

眼洗い清水から40分で
御坪を通過します。

古めかしい祠があり
地名の由来が気になりましたが
わかりませんでした。
そのすぐ先で
久しぶりに主稜線の全貌が拝めました。

眼洗い清水から1時間で
御沢の別れという分岐となり

左に進むと少しきつい上りになりました。
15分ほど登ると再び、展望が開けて
飯豊本山と草履塚が近づき

変化のある足元に注意しながら

青空に生えるダケカンバ

爽やかな気候の中で
歩くごとに変化する風景を
楽しみました。
切合小屋の方へトラバースするように
坂が緩むと、小川をまたぎます。

水辺には

紫色のリンドウが咲いています。
ミヤマリンドウでした。

イイデリンドウは、
また今度来た時のお楽しみにとっておきます。
さっきから
空と雲が真っ二つに分かれ

紅葉の始まりがあり

大日杉分岐の標柱を右に折れると

白い土を踏んで行けば

切合小屋に到着です。

300mを2時間で上り
登山口からは5:20は
予想よりかなり早いペースでした。
気温は25℃。
水もあまり消費していませんが
ここは小屋のすぐ脇に水場があり

満タンに補充しました。
ガイドブックでは
メインルートではありませんが
歩きやすい道と
飯豊本山を左に回り込むように登る
このルートはお気に入りになり、
きっとまた登りにきます。
つづく

大日杉登山口⇒眼洗清水☆飯豊山9月中旬@日本百名山№54

2021-12-19 | 54飯豊山(秋)
飯豊の星と呼ばれるイイデリンドウは
咲き終わり、尾根道の紅葉にはまだ早い
9月中旬に飯豊本山を目指し
1泊2日の山旅に出かけました。
新型コロナの感染は未だ治まらず
県外に出かけることは躊躇され
新潟県と山形県・福島県の境にあること
夏の暑さと秋の寒さを避け
快適な山旅となることを第一目的とした
選択でした。
深田久弥さんの
日本百名山より
飯豊という個性的な山名で、私は古くからこの山に心を惹かれていた。
しかしそれは大へん不便で、普通ではちょっと行けないように印象された。
もちろんここに言うのは、神社のある飯豊本峰だけでなく、
その背後に連なる厖大な山塊のことである。
事実そこには道がなく、幾晩も露営の覚悟が必要であった。
現在は
迷うこともない登山道が整備され、
飯豊山頂付近では携帯電話もつながり
秘境感は薄らぎましたが
どの登山口からも日帰りが困難で
布団の用意された山小屋もなく
それなりの準備が必要であることに
変わりはありません。
今回の山旅に先立ち、3つの登山口から
日帰りで様子見をさせてもらい
上り下りが最も楽だった
大日杉登山口から出発します。
眼洗い清水までは、以前のブログ
飯豊連峰・地蔵岳編にありますので
早回しにいたします。
まず、登山者の中で2人がとても印象に残り
後で、登場しますので
名前を付けておきたいと思います。
ゆっくりと着実に進む年配の登山者
ザックが黄色だったので、イエローさんとします。
歩くスピードが速く、休みが多い
のこぎりタイプの若年登山者
ザックが青色だったので、ブルーさんとします。
この3人で地蔵岳までの急登を
眼で応援しながら登りました。
計画時点での予想通り
前回の真夏と比べて
ペースが速いのに、水の消費が少ない
快適な上り坂になりました。

スターート

気温は18℃
大日杉の案内板

前回は暗くてブレたため再掲
ざんげ坂

長之助清水

御田の杉

滝切合より
右が地蔵岳・中央が飯豊本山

切合小屋までの道

おおむねアルファベットのCを右下から
時計回りに進む
地蔵岳(標高1539m)

ここで3人目が登場し
ザックが大きかったのでビッグさん。
飯豊本峰で折り返し
切合小屋まで戻り泊まるとのこと
タフで元気な人でした。
飯豊山(東向きのお顔)

かたらいの丘

看板のみ撮影
眼洗い清水(標高1440m前後)

地蔵岳より約100m下る鞍部にある。

気温は21℃
ここまで登山口より3:20と
前回より大幅に時間短縮し
予想通りです。

気の早い紅葉
つづく

シシゴヤの頭⇒山頂☆武能岳@新潟百名山№18

2021-12-17 | 〇新潟100名山(中越)
10年前はよく晴れたシシゴヤの頭からの
谷川連峰のパノラマ。

武能岳方向を拡大してみると
壁のような坂があります。

奥は、茂倉岳と一ノ倉岳。
もっと拡大すると

チョコっと盛り上がったところ
が武能岳山頂でしょう。
このときは
シシゴヤの頭から蓬峠への尾根道は
楽々散歩のように見えたのですが…

<花の百名山より>
この先は正面に谷川連峰を見ながらササ原の稜線漫歩となる。
ムラサキヤシオ、ニッコウキスゲ、ハクサンフウロなどが足元に咲く。
さて、この日はあいにくの曇りです。

先が見えないので
目の前の上り・下りが強調され
疲労が増します。

途中でカメラを落としたことに気づかず
捜しに戻り
カメラは道のすぐ脇の土の上にありました。
20分ほどロスしてしまいましたが
カメラが無傷で見つかったことでホッとしました。
気を取り直してしばらく歩くと
一時的に雲がとれて
ゆるやかな上りの登山道が現れました。

稜線漫歩
蓬峠分岐まで標準タイム40分が
トラブルにより1時間かかりました。

<花の百名山より>
上越国境稜線の蓬峠分岐からは、湯檜曽川越に朝日岳や白毛門が高い。
蓬峠へは10分ほどの距離。
この日は、かすかに見える湯檜曽川の他は
白くけむり、山の同定は困難でした。

蓬峠への道は、笹が刈り込まれたばかりで
とても歩きやすい状態でした。
また、遠くで草刈り機の音がしていました。
山小屋の管理人さんが
道の整備をしてくれているのでしょう。
感謝!
足元には、高山の植物が咲いています。
ハクサンフウロ
ミヤマコゴメグサ
ウメバチソウ
ミヤマウツボグサ
リンドウ
ニッコウキスゲ
トリカブト
ヤマハハコ
蓬峠の蓬ヒュッテがみえました。

ササ原にこげ茶の屋根がマッチして
落ち着く雰囲気です。
水汲みに行った主人を待つ2つのザック。

池塘にはイワショウブが咲いていました。

湯檜曽川へ続く武能沢への道を左に分けて

武能岳への壁のような上りに向います。
いよいよガスが濃くなり
ササ原以外何も見えなくなりました。

結果的に最後だとわかった上りを超えて
武能岳山頂です。

標柱はありますが、広い空間はありません。
誰もいないので、一人占めですが。
蓬峠から1時間は標準タイム通りでした。
ここまでにすれ違ったのは
2人組×1、単独登山者×2の合計4名でした。
展望はほとんどありませんでしたが
心地よい疲れが残りました。
本当は見たかった
武能岳からの一ノ倉岳と茂倉岳

<花の百名山より>
武能岳から更に200m上にあります。
帰りは来た道を戻りました。
この日の歩数
33,252歩
上り 4:10
下り 3:10
帰りに魚沼市塩沢付近で
笹だんごソフトを堪能。

end

旭原登山口⇒シシゴヤの頭☆武能岳@新潟百名山№18

2021-12-12 | 〇新潟100名山(中越)
2021年は、ぐずついた8月下旬に1日だけ
晴れの日があったので
新潟県内で足慣らしのつもりで
花の百名山に記載のある谷川連峰の
武能岳に行ってきました。
馬蹄形をなす谷川岳~白毛門の縦走路を
少しでも眺められればと思ったのですが、
武能岳を直接目指す登山道はなくて
土樽を起点とした
蓬峠から茂倉岳を周遊する1泊2日コース
の中にあります。
(地図の左上が登山口・武能岳は中央やや左にあり)

武能岳にはどのルートでも
登山口から4時間を超える道のりで、今回は
旭原登山口からシシゴヤの頭・蓬峠経由の
最短コースにしました。
シシゴヤの頭には10年前の秋に登り
よく晴れて、谷川連峰の全貌が見えました。
そのときは出発が遅かったので
蓬峠までのあと1時間の余裕がなく
後ろ髪を引かれながら下山しました。
車で移動中も空模様が怪しかったのですが
登山口の駐車場では小雨。雨具を着て
6;30に旭原登山口を出発します。

雨具を着ている間に、
県外ナンバーの女性2名が先行されました。
10分ほどで渡渉地点です。

すぐに大源太山との分岐となり
右のシシゴヤの頭を目指します。

ここから九十九折の道が続きます。
以前より草が元気で道が狭くなっています。

2021年8月といえば
新型コロナの新規感染者が連日2万人を超え
日本中が震え上がった頃で、
山では人影も少なく
この後、谷川岳の馬蹄形の縦走路まで
一人もすれ違いませんでした。
下りも含めて。
気温は夏の終わりにしては低く
23℃前後と動きやすく、足元には、
秋の花がたくさん咲いていました。
ツリフネソウ
ソバナ
カニコウモリ
アケボノシュスラン
オクモミジハグマ
アキノキリンソウ
ヒヨドリバナ
リョウブ
ツルリンドウ
どれも弥彦山の花のまとめに
ありますので、写真は省略します。
1か所にロープがありますが
下りの時に使う程度です。

危険個所はありません。
登山口から2時間で
シシゴヤの頭に到着です。

10年前と同タイムでした。
体力が落ちていないことがわかり
ちょっとうれしいです。
雲がかかり、
展望はほとんどありません。
一瞬、雲の間から
越後のマッターホルンと言われる
大源太山が見えました。

拡大すると
七つ小屋山からの上りは
かなり急で狭く

最後の上りは垂直のようです。
今回は登りません。
つづく