山と道・野の花のこと

揺れずに咲く花がどこにあるだろうか
この世のどんなに美しい花も揺れながら咲くのだ
<ト・ジョンファン>

移動とともに移ろう色@乗鞍岳 日本百名山№37

2015-09-29 | 37乗鞍岳(秋)
深田久弥さんの
日本百名山より
位ヶ原まで登って、始めて真正面に、遮るもののない乗鞍岳それ自身に接する。
ここからの眺めを、私は日本で最もすぐれた山岳風景の一つに数えている。
まずその姿がいい。雄大で、しかも単調ではない。
ゆったりと三つの頭を並べたその左端が主峰である。
その主峰の右肩の巨大な岩が、間延びを引緊めるアクセサリーになっている。
それから前景の豊かな広がりがいい。
胸の透くように伸びてコセコセしたところがない。
その姿は前回の
バスの中の紅葉でご覧ください。
見下ろした位ヶ原の紅葉は
こちら

日本百名山も数が進み
手軽に日帰りで行ける山が少なくなってきました。
今回は大菩薩嶺に続き
ツアーで来た2座目の山になります。
大型バスに4時間半ほど揺られて
畳平に到着しました。

曇ってはいましたが
青空も覗き始めて
天気は回復傾向でしたので
展望も期待できました。
<地図はネットで調べ、登山時に参考にしたもの>


池が点在していて
空と雲や見る方向によって
色が変わっていきましたので
今回はいくつかの池の
一番明るい色をご覧ください。
鶴ヶ池

亀ヶ池は見つけられませんでしたが
(魔王岳山頂からは見えるようです。)
恵比須岳と魔王岳を従がえて、隣に大黒岳もあり
おめでたい名前がそろっています。
不消ヶ池
畳平の施設の水源です。
<画像消失>
右上に見えるコロナ観測所のドームは
乗鞍岳の変化に富んだ自然の中で
特別な存在です。
1949年
東京大学東京天文台の付属施設として開設され
摩利支天岳(2876m)の頂上にあります。
2010年
老朽化により天体観測所としては
60年の運営を終えましたが
現在も研究施設として利用されています。
<天体観測所と笠ヶ岳>

権現池

乗鞍本峰は
富士山に似たコニーデ型の円錐状火山で
火口湖の権現池を取り囲む外輪山の1峰です。
円空が命名したという
剣ヶ峰の別名が権現岳で
この池はその名をいただいています。
シグマの単焦点レンズは
池の色を忠実に再現してくれて
写真を撮るために出かけたくなる
1つ上のクラスに匹敵するシステムになりました。
トリミングは面倒ですが
それを上回る画質の満足度があり
もう標準レンズには戻れなさそうです。
つづく

モノトーンで静かな山頂の朝@蓼科山☆日本百名山№36

2015-09-16 | 36蓼科山(夏)
前日は夕焼けだったのに
夜中に雨が降って
この日の蓼科山もスッキリしません。
深田久弥さんの
日本百名山より
蓼科山は俗に北八ツと証せられる連嶺の一番北の端に、
一きわ抜きん出ている峰で、その余威は更に北に向って、
次第に高さを落しながら広大な裾野となる。
しかしそれは赤城山のようにスムースな美しい線ではなく、
幾らか不整形なので人々の眼はただその円頂のみにそそがれる。
この円頂はどこから望んでも端正な形を崩さず、
蓼科山が名山として讃えられたゆえんも、ここにあるのだろう。
蓼科牧場から車で上がった7合目に
駐車場があり
今回の蓼科山登山の出発点です。

写真は帰りのものです。ちょうど
団体さんのバスが到着しました。
地図は登山時に調べ
参考にさせてもらいました。

朝早くモヤがかかり
小雨が降っています。
登山道は針葉樹林で囲まれ
朽ちた倒木さえ覆う苔の林床が広がり
車山とは違う静かな山道です。



馬返しと呼ばれる地点から急坂が始まり

分かりやすい一本道は
天狗の露地という標識のところで
横道が見えますが

山頂方向の標識どおりに進めば
迷うことはありません。
上るに従がい
石が大きくなってきますが

倒木を針金で組んで
階段状になっていますから
見た目ほど
歩きにくいことはありません。
もうじき
蓼科山荘だろうと思いましたが
急坂で休む場所がなかったので
登山口から1時間で休憩にしました。
予想通り
静かな林の上から
人の気配がしました。
ここまでほとんどひと気がなく
小雨は止みましたが
雲は厚く展望もありません。
ガイドブックの標準タイムどおり
7合目の登山口から1時間10分で
蓼科山荘に到着です。

山小屋の中から
食器の音が聞こえましたから
朝食の時間だったのでしょう。
外にも
出発の準備をしている人がいました。

小屋から上り始める単独の登山者に
先を譲り
再び始まる急登に取り付きます。

傾斜を増した岩の道は
一部に鎖があります。
下りには重宝するでしょう。

疲労が残る身体で
30分かかって
蓼科山頂ヒュッテに着きました。

すぐ脇に
山頂のりっぱな案内板があり

もう到着した気になりますが
ここはまだ北の端です。
大きな黒い溶岩の上を
慎重にゆっくり進むと
平坦な山頂の中央部に
山頂を示す標柱と蓼科神社奥宮があります。

独立した山容ですから
晴れていればすばらしい眺望でしょう。
この日は
白と黒の世界が広がります。

先行した単独の登山者がすぐに下りたので
広い山頂に
誰もいなくなってしまいました。
朝食をとって
晴れ間を待ちましたが
上空を飛行機が2機通り過ぎただけで

風が穏やかで
1時間ねばっても雲がとれないので
下りることにしました。
下りは1時間30分かかりました。
急坂なので
時間は上りとあまり変わりません。
上ると雨が止んだように
下ると雨が降り出しました。
登ってくる人が多く
年齢層もばらばらで
大勢の団体さんも2組すれ違いました。

今回は
展望も花もありませんでしたが
これも日本百名山だと思います。
山頂の独特な風景が
強く印象に残りました。
この日の歩数
10,385歩
信州りんごを買って帰りました。
end

鷲ヶ峰と夕焼け@霧ケ峰☆日本百名山№35

2015-09-14 | 35霧ケ峰(夏)
霧ケ峰を1周した後
NHKの山番組で紹介された
鷲ヶ峰から車山に縦走するコースで見る
霧ケ峰を見下ろす展望スポットに向かいます。
八島湿原の駐車場から25分で
一番近い展望台に着きました。
その先の鷲ヶ峰の雄姿

鷲ヶ峰の山頂

そして
鷲ヶ峰からの
雲の模様を写しとる霧ケ峰

登っている途中で
諏訪湖もちょっとだけ見えました。
深田久弥さんの
日本百名山より
暑中休暇も終わり、登ってくる人も少なくなって、
高原には、賑やかだった盛宴の後のような哀傷があった。
あんなに旺んだったシシウドも醜く枯れて、
そのあとへ薄紫の可憐な松虫草が一面に咲き乱れた。
九月の初めずっと雨が続いて、ようやく晴れ上がった日、
原へ出てみておどろいた。一帯の緑は狐色に変わっていた。
高原はもう薄(すすき)の秋であった。
<霧ケ峰の8月の花>
赤・青・紫色
カワラナデシコ・ワレモコウ・トリカブト・ハクサンフウロ・
ホタルブクロ・ネジバナ・ヤナギラン・シモツケソウ・ウツボグサ・
マルバハギ・ヤマトラノオ
シオガマギク
ゴマノハグサ科の多年草
北海道から九州地方の山地の草地に生える

マツムシソウ
マツムシソウ科の越年草
北海道から九州地方の山地の草原に生える

コオニユリ
ユリ科の多年草
北海道から九州・朝鮮・中国に分布する

黄色・緑色:
アキノキリンソウ・ハバヤマボクチ
ハナイカリ
リンドウ科の越年草
アジア・ヨーロッパの温帯に広く分布する
山地の裸地や砂礫地に生える

白色
イブキボウフウ・ヤマハハコ・イワショウブ
*
ウスユキソウ
キク科の多年草

たくさん種類があり
今回は情報不足により一般名とします。
ヨツバヒヨドリ+アサギマダラ

アサギマダラを見るときはいつもこの2ショットです。
ウメバチソウ
ユキノシタ科の多年草
東アジアに広く分布する

まぶしいくらいの白い花が
登山道のすぐ脇にたくさん咲いていました。
この日の夕方
時間とともに観光客も少なくなって
静かになった
車山の肩で風景を眺めていると
車山の向こうに
蓼科山の山頂が初めて
薄っすらと姿を現しました。

これなら
夕焼けがきれいに見えるかもしれないと
ビーナスラインの
車道の脇にある駐車スペースに車を止めると
八ヶ岳の山腹がオレンジ色に染まってきました。

残念ながら
この後は雲が出てきて
日没まで見ることはできませんでしたが
翌日の天気への期待が高まりました。
end

物見岩から八島ケ原湿原に戻るまで@霧ケ峰☆日本百名山№35

2015-09-11 | 35霧ケ峰(夏)
深田久弥さんの
日本百名山より
実際この広い地域には何でもあった。森林が見たければ、
蝶々御山と物見山の鞍部の細道を辿って東側へ下れば、
そこは樹木で覆われていた。沢が欲しければ東俣へ入ればいい。
そこには清冽な流れが薄暗い谷底を流れていた。
有名な諏訪の大祭の御神木は、この東俣御料地から
伐り出されたのだそうである。
物見岩から
7月中旬には青空の下で
ニッコウキスゲで黄色く染まる
蝶々御山に向かう道も
今はアキノキリンソウが咲き
秋の気配がしています。


風景を見渡しながら進む登山道は
惜しまれるほど短く
蝶々御山に着いてしまいました。

車山の気象観測ドームが少し大きくなり
休む人たちには余裕が見えます。

この先、車山山頂までは
手に取るほどの距離ですが

最後の斜面は
スキー上級者専用の
急坂に違いありません。

スキー場のリフトを横目に
段差のある階段を一歩ずつ踏みしめ
休みを兼ねて振り返れば

足元の車山スキー場の向こうに
雲に隠れた蓼科山が
雄大な裾野を広げていました。
そのふもとには
高原のリゾートらしい白樺湖が
アクセントになっています。

車山山頂は老若男女の観光客で
混雑していました。

晴れていれば
360度のパノラマで
八ヶ岳や日本アルプスが
見えるはずですが
青空の面積が大きくなってきたものの
この日は展望が望めません。

出発点の八島湿原でさえ
霧に霞んでいました。

車山肩に下りる道は
石がゴロゴロで歩きにくいのですが
眺めは最高です。

ワイドに楽しめる
ビーナスラインの風景は
絵になりました。
この車山肩からの下り道は
沢に沿っていて草も背が高く
風景は望めません。
周遊ルートとして逆周りで
ここを最後の上りにすると
登山道は傾斜もあるので
つらい終わり方になってしまうでしょう。
すれ違う人をねぎらいながら
淡々と下りました。
沢渡の橋を過ぎると
幅が広く平坦な歩道となり
しばらくして
御射山遺跡を左に通り過ごすと
二股の道を左に折れ
八島湿原の木道になります。
(この写真は鷲ヶ峰の方から撮りました)

この写真では
奥からひらがなの「く」の形に
右下に進みます。
途中で看板があり

あと130歩の余力がなくて
寄り道を断念しました。
見渡せば
咲いている花が増えますが
秋の気配を感じる木道です。

程なく
八島湿原の出発点に戻りました。
時間にして4時間ほどですが
この日の歩数は
27,376歩もありました。
この後の
鷲ヶ峰方面のおまけを含めて。
鷲ヶ峰と夕焼けに
つづく

八島ケ原湿原から物見岩まで@霧ケ峰☆日本百名山№35

2015-09-09 | 35霧ケ峰(夏)
深田久弥さんの日本百名山では
霧ケ峰を遊ぶ山と表現しています。
以下日本百名山より
当然それは
豊かな地の起伏と広な展望を持った高原状の山であらねばならない
霧ケ峰はその代表的なものの一つである。
(中略)
八島平と呼ばれる大きな湿地は、以前は沼だったのが
次第に蘚苔類の成長によって湿地に変わってきたそうで、
その沼の名残りが八島池・鎌ケ池となって一隅に残っていた。
ひっそりと静かで、しかも明るい沼であった。
私の購入したガイドブックには
車山の肩の小屋から
左回りに一周する
周遊コースが載っていました。
初めて訪れる山ですから
基本どおりに一番低い場所から
上り始めることにしました。
八島湿原と呼ばれるそこは
観光地として人気があるので
狭い駐車場は順番待ちで
交通整理されていました。

この日は天気予報どおり
曇っていましたので
車で上るほど
ガスが広がっています。
霧ケ峰は1周しても4時間ほどなので
家を遅く出発したのですが
車の出入りも多く
あまり待たされずに駐車できました。

道路の下のトンネルを貫けると
すぐ
湿原の入り口になっています。

方向指示や花の名前の表示板が整備され
準備なしで来ても楽しめそうです。
少しだけ迷いましたが
正面の丘を登っていく
右回り(時計回り)のコースにしました。

車山の山頂を眺めながら
丘を登っていくことが
新鮮な気持ちを刺激してくれると
思ったからです。
たくさんの種類の花が咲いていました。
紅が鮮やかな
ヤナギラン(8月下旬)
初めて見たのが、この満開の時期でよかった。

群生していましたが
近寄れなかったので
これはと思うような写真がありません。

時期によるのか、場所によるのか
薄いピンク色の花もあるようです。

車山を右に見ながら進む木道は
どう見ても反対周りの人と多く
すれ違います。
やはり左回りが本命なのでしょう。

鎌ケ池が見えてくるとすぐ
キャンプ場の建物があります。

ここで八島湿原を1周する観光コースと
分かれます。
案内表示はあるのですが
迷っている人も見かけました。
物見岩に向かう道は
林の中を上っていきます。


気持ちのよい草原に出ると
物見岩の向こうに
車山の気象観測ドームが見えました。
振り返ると中央に八島湿原が
その右奥は鷲ヶ峰。

曇っていたので
写真は暗く写っていますが、
緩やかな起伏のある高原は
進むほど風景が変わり
すれ違う人たちも明るく
高山とは違う楽しみがありました。

物見岩

つづく

展望と長い帰り道@薬師岳☆日本百名山№34

2015-09-01 | 34薬師岳(夏)
薬師岳山頂で初めて開ける北の展望は
手前に見える残雪を抱く北薬師岳の向こうに

右から
剣岳・奥大日岳・大日岳
その下に
平らに長く傾いた弥陀ヶ原
剣岳と立山を
大きく切り取ってみました。

真ん中に見えるのは別山です。
ここから見る立山は
とがっています。
右奥に白馬岳が見えます。
その後ろ立山連峰を切り取って

左から白馬三山・不帰の嶮・唐松岳・五竜岳
残念ながら
鹿島槍ヶ岳は切れてしまいました。
少し南に戻って
南東の穂高連峰方向を眺めます。

手前は薬師岳の稜線。
×印があり、この先に道はありません。
奥穂高岳の手前は

三俣蓮華岳と双六岳
その手前は雲ノ平
水晶岳と鷲羽岳

南には

太郎平小屋から黒部五郎岳につながる稜線
黒部五郎岳の山頂近くに

笠ケ岳・乗鞍岳・御岳山が集合しました。
下りに
見下ろした黒部川上流を包む

濃い緑の森
太郎平までの下りは
写真を撮ってゆっくり休んだので
2時間
太郎平からは荷物を担ぎましたから
3時間
合わせて5時間の長い下りは
とても疲れました。
ほぼ標準タイムどおりです。
上りで
見逃したり撮り逃がしたりした花を
拾って下ります。
タカネヤハズハハコ

シナノキンバイ

ミヤマアキノキリンソウ

ミヤマコウゾリナ

その他は調査中
本日の歩数
14835
(太郎平と折立の間は)
重い荷物で動きがゆっくりで
正確に測れなかったかもしれません。
帰りの道の駅にて
ヤギのソフトクリーム

濃厚でした。
end