山と道・野の花のこと

揺れずに咲く花がどこにあるだろうか
この世のどんなに美しい花も揺れながら咲くのだ
<ト・ジョンファン>

甲武信ヶ岳☆滑滝~山頂@日本百名山№49

2020-07-02 | 49甲武信ヶ岳(初夏)

滑滝で

シャッター速度を試しながら写真を撮っていると

動くものが視界に入りました。

小鹿でした。

驚かさないように静かにしていると

だんだん近づいてきて

3mくらいまで接近してくれました。

草を食べて朝食の時間です。

登山者が少ないから

人を怖がらなくなっているのでしょうか。

食事の邪魔をしないように

腰を下ろすこともなく

休憩もそこそこに、出発します。

滑滝からは少し沢を離れて

山の中を歩きます。

この辺りにも、樹木の名前の解説があり

トウヒ・ダケカンバを確認しました。

道が、再び沢に戻ると

川は小川になり、

せせらぎの音とコバイケイソウの葉の緑で

千曲川の源流はすぐそこです。

8:10(滑滝から1:30で)

源流に到着しました。

林の方から音がするので

振り向くと、今度は、

角の生えた大きな鹿が2頭、

こちらの様子を伺っています。

驚かさないよう静かにしていましたが

警戒されて、林の奥に消えていきました。

滑滝といい、水場には鹿がいます。

せっかくなので、荷物を下ろし

源流の水を汲み、いただくと

癖がなくおいしい水でした。

湧き水になっており、水量も多く

さすがに日本一長い川の源流です。

ただ、この時間帯はじっとしていると

虫が多く寄ってくるので

あまり長居はできません。

(下りでは虫はほとんどいませんでした)

水場であまりゆっくりできないのは

しんどいです。

虫に追われながら

一気に稜線まで上り

後は平坦なのかと思ったら

最後まで登り続ける

休ませてくれない山でした。

山頂の手前で、

今年初めての富士山が見えて

思わず足が止まり

シャッターを切ります。

8:50(千曲川源流より40分)

甲武信ヶ岳山頂に到着です。

無人です。先行者は

縦走か、周回コースに行った後でした。

10人ほどが

荷物を広げればいっぱいになるような

狭い山頂ですが、独り占め。

後に、単独の縦走者2人と二人連れが

上ってきました。

遠くの山は少し霞んでいますが

見下ろす金峰山への緑濃い縦走路は

山歩きの楽しみを絵にかいたようでした。

山頂で1時間ほど休んで下山。

上り:4:00(3回の小休止を含む)

下り:3:40(4回の小休止を含む)

ほぼ標準タイムです。

2日連続で高低差1000mを登り

とても疲れました。いまだに

膝が思うように動いてくれません。

本日の歩数:33,206歩

ヒメイワカガミ

深田久弥さんの

日本百名山より

私が東京の学校に入った頃は、まだ今のように上越の山も開けず、

北アルプスも不便な時代で、私の山行の大半は奥秩父であった。

(中略)

まだ登山道も整備されず、山小屋も乏しく、指示標などというものは殆どなかった。

私たちは米や味噌を用意し、鋸(のこぎり)や鉈(なた)を持って、無人の山に出かけた。

休みが二、三日も続くと、東京にいるよりも秩父も山を歩いているほうが多かった。

今回の山行は、無人とはいかないけれど

静かな奥秩父の

新緑の林と渓谷を堪能した旅になりました。

end


甲武信ヶ岳☆毛木平~滑滝@日本百名山№49

2020-06-29 | 49甲武信ヶ岳(初夏)

全国的に梅雨に入ってしまい

滅入りがちですが

深山を歩いた経験を振り返り

コロナの夜が明けるまで

安全な生活を心がけることに

いたしましょう。

深田久弥さんの

日本百名山より

甲武信は決して目立った山ではない。

にも拘らず、奥秩父の山では、

金峰の次に甲武信をあげたくなるのはどういうわけだろうか。

おそらくそれはコブシという名前のよさーー歯切れのよい、

何か颯爽とした山を思わせるような名前のせいかもしれない。

拳という字の宛てられているのを見たこともあるが、

今は甲武信が流布している。

甲州、武州、信州の三国の継ぎ目に位しているからで、

この至極当たり前の名前の付け方にも魅力がある。

関東からは遠いけれど

甲武信ヶ岳山頂までは最短の

毛木平登山口からの出発です。

駐車場に車は少なくて

コロナウィルスによる自粛の影響が

まだ大きいようです。

写真の真ん中にあるのがトイレで

手は洗えますが、水は飲めません。

日の出前ですが、明るくなった

朝の4:50に出発します。

先行者も少なく、この日も

密になることはなさそうです。

車止めの脇を回り込み

しばらくは林道です。

すぐに十文字峠に向かう道を左に分け

まっすぐに進みます。

左側には

千曲川という名前から〇〇沢に

代わる直前の川の音が響きます。

大山祇神社に一礼し

広い道や狭い道を進むと

見事に手入れされた唐松林(?)

がありました。

子供のころに両親を手伝って

山仕事をしましたが

売れる木になるまで50年かかるから

山の仕事は2代後の子孫のための仕事だ

とよく言っていました。

今ではプラスチックの品物が普及し

木材の経済的価値は

ほとんどゼロになってしまいましたが

この山の50年後を想像し

ほっこりしました。

涼しくて歩きやすい山道です。

5:40ころに日が射してきて

山道のバリエーションが広がります。

左下がりの斜面をまっすぐ横切り

小さな沢に架かる橋を渡り

キバナノコマノツメが咲き

(花は金峰山とほぼ同じでした)

苔の生えた自然の庭を愛でて

6:40(登山口から1:50)に

滑滝に到着しました。

つづく