山と道・野の花のこと

揺れずに咲く花がどこにあるだろうか
この世のどんなに美しい花も揺れながら咲くのだ
<ト・ジョンファン>

冷池山荘⇒鹿島槍ヶ岳の7月の花☆鹿島槍ヶ岳@日本百名山№59

2022-09-05 | 59鹿島槍ヶ岳(夏)
白馬岳や唐松岳から
さほど離れていない山ですが
初見もしくは初めて判別できた花が
4つありました。
どの花も群れて咲いていて
鹿島槍ヶ岳も
花の山といってもいいと思います。
<赤・紫色>
コマクサ(北海道~本州中部以北)

ヨツバシオガマ(北海道~本州中部以北)
ハクサンフウロ(本州中部以北)

イブキジャコウソウ(北海道~九州)
タカネヤハズハハコ(北海道~本州中部以北)

テガタチドリ(北海道~本州中部以北)

(初見)ラン科の多年草
高山帯・亜高山帯の草地に生える
別名:チドリソウ
テガタの名は
根が太く手のひら状になっているため
チドリは花の形から。
テガタチドリはハクサンチドリよりも
色が淡い。
イワベンケイの雌花(北海道~本州中部以北)

(初見)ベンケイソウ科の多年草
雌雄異株の多肉植物
赤いのは果実で、花は
キリンソウに似て黄色である。
ベンケイソウは枯れない強い草で
それを武蔵坊弁慶に例えた名前。
<青色>
チシマギキョウ(北海道~本州中部以北)
ミヤマクワガタ(本州中部以北)変種が多い

<白色>
シャクナゲ
ミヤマコゴメグサ(本州近畿以北の日本海側)

イワツメクサ(本州中部)
キヌガサソウ(本州中部以北)

アオノツガザクラ(北海道~本州中部以北)
コケモモ(北海道~九州)

イブキトラノオ(北海道~九州)
白い花が多いが、ピンク色もある

タカネツメクサ(本州中部と飯豊山)

(初見)ナデシコ科の多年草
ツメクサは葉の形が鳥の爪にみえること
よく似たミヤマツメクサもあるが
葉が細いのでタカネツメクサとしました。
イワオウギ(北海道~本州中部以北)

(初見)マメ科の多年草
別名タテヤマオウギともいう
高山の礫地や草原に生える
白馬大雪渓の上部に群生するらしいが
ここ鹿島槍ヶ岳の群生も見事である。
エゾシオガマ(北海道~本州中部以北)日本固有種
<黄色>
シナノキンバイ(北海道~本州中部以北)日本固有種

ウサギギク(北海道~本州中部以北)

end

鹿島槍南峰⇒吊尾根⇒雷鳥の子育て☆鹿島槍ヶ岳@日本百名山№59

2022-09-03 | 59鹿島槍ヶ岳(夏)
鹿島槍ヶ岳南峰から
八峰キレット経由五竜岳の
縦走路が見えています。

吊尾根は近くで見ると
随分下っていて
疲れた体は行くなと言っています。
写真の左奥には白馬岳が見えています。

直線距離で15km。
V字の鞍部には
キレット小屋の赤い屋根も見えます。

南峰との標高差420m。
冷池山荘から鹿島槍ヶ岳南峰まで
ほぼ同じペースで歩いた人は
五竜岳まで縦走するのだそうです。
南峰で休んでいるときに
励ましの言葉に背中を押され
行けるところまで
行ってみることにしました。
縦走路を見下ろす場所に
遭難救助隊のメンバーの方が
吊尾根に下りて行く一人ひとりに
「以前に、滑落事故があったので
気を付けてください」と
声掛けされていて
気持ちが引き締まりました。
急な岩場の道を下ります。
最初は足場も手がかりもあり
迷うことはありませんでした。

下りきる手前に
傾いた状態の平たい岩の上を下る場所があり

通りかかった人に聞いたルートを
慎重に進みました。
その後も
尖った岩を左や右に巻いて進みます。


足元に草は生えていますが
背が低く、踏み外せば
どこまでも滑り落ちて行きそうでした。

吊尾根は
あいにくのガスが広がり始め
北峰も南峰も雲に隠れました。

赤いザックの人がいる辺りまで進み
腰を下ろして様子を見ていましたが
雲が引きそうにないので
戻ることにしました。
戻り道で急坂の下まで来たら
皮肉にも、南峰が姿を現しました。

たぶん、吊尾根に雲がかかったため
視界がなくなったけれど
南峰には雲がかかっていなかった
のだと思います。
南峰に戻ると
雲は稜線を超えて
後立山の縦走路はガスの中です。

途中まででしたが
吊尾根に挑戦して得たものは
久しぶりの花が2種類でした。
ミヤマクワガタ

本州に広く分布
高山の礫地や草原に生える
タカネヤハズハハコ

本州中部から北海道に分布
高山の礫地や草原に生える
剣岳にも雲が上がり始めて

お昼を過ぎたので
冷池山荘への帰路につきました。
布引岳に向かう道で
前方に動くものを発見し
立ち止まって、よく見ると
雷鳥の親子です。

道幅の広いところの左端に親鳥

近くに子供が3羽くらい見えました。

そのうちの1羽が親鳥のそばを離れず
私が立ち止まって動かないのに
安心したのか
親子で砂かけをして
遊んでいました。
邪魔をしないように
別れを告げて先に進むと
その10分後、登山道にまた
雷鳥の子供が2羽
よとよちと歩いていました。


今度は、親鳥は見えませんが
近くのハイマツの中から
鳴き声が聞こえ
子供はそちらへ向って
消えて行きました。

雷鳥の親子に出会ったのは
初めてです。しかも
2組も会えるなんて最高です。
その後は
足取りも軽く
冷池山荘に到着し、
その日の予定は終了しました。

翌日も、早朝は晴れていましたが
前日の快晴と比べると
少し霞んでいて
写真は殆ど撮らず
日の出とともに移ろう朝の
山の色を楽しみながら
下山しました。
この旅の歩数
1日目:14500歩
2日目:24234歩
3日目:19708歩
バランスの取れた行程でした。
爺ヶ岳登山口⇒種池山荘⇒冷池山荘⇒鹿島槍ヶ岳南峰
3:00  ⇒ 2:30 ⇒ 2:00
鹿島槍ヶ岳南峰⇒冷池山荘⇒種池山荘⇒爺が岳登山口
1:30  ⇒ 1:40 ⇒ 2:20
上り合計:7:30
下り合計:5:30
頑張れば、
上りの冷池山荘に1泊して
延べ2日のコースで行けそうです。
ただ
今回は2泊3日にしたので
2日目の晴天を
たっぷり楽しめたことは
余裕を持った日程の
恩恵と言えそうです。
稜線のお花畑に
続く

晴天の種池山荘⇒鹿島槍南峰☆鹿島槍ヶ岳@日本百名山№59

2022-08-28 | 59鹿島槍ヶ岳(夏)
2日目の行程は種池山荘から
鹿島槍ヶ岳山頂に登り、冷池山荘に戻ります。
1日目の最後に見た赤爺ヶ岳のご利益か?
朝から晴天に恵まれました。
前日にすべて準備をしておいたので
5時からの朝食の後すぐ
5:20に出発しました。

③から地図の番号通りに進みます。

種池山荘を振り返ると、その奥に
剣岳・立山がくっきりと見え

前方には、鹿島槍ヶ岳に朝陽が射して
冷池山荘の赤い屋根が大きく
テント場のテントも見えました。

ハイマツの中の石がゴロゴロした道が
少し急になった頃

種池山荘から標準タイム1時間を
50分で、爺ヶ岳南峰に着きました。

深田久弥さんの
日本百名山より
魅力は何と言っても両槍とその間の吊尾根の美しさだが、
殊にこの山を真横から見るより、斜めか、或いは縦に眺めた方が、いくらか
冗漫に思われる左右の稜線が縮まって、一層引緊まった美しさになる。
360度の展望があり
遠くには、槍や穂高も見えましたが
この日は歩行距離が長いので
写真に記録し、先に進みます。
南峰を下ると鞍部の砂礫地に
丁度見ごろの
コマクサが咲いていました。

花は数も種類も多かったので
最後にまとめて記事にします。

30分で、爺ヶ岳中央峰に登り返すと
種池山荘で布団が隣になった2人が
くつろいでいました。
今回は爺ヶ岳までの予定で
あまりにいい天気なので
残念がっていました。

真ん中が、爺ヶ岳南峰で
その左奥に、針の木岳、
柱の右に、立山が写っています。
一夜の友に別れを告げて
北峰に下ります。

北峰は巻道があるだけで
山頂に行く道はありません。
更に下ると、
赤岩尾根への分岐があります。

下から雲が上がり始めたようです。
気持ちが焦り始めました。
少し上り返すと
冷池山荘に着きます。

種池山荘から標準タイム1:45のところ
2時間かかりました。
(標準タイムでは中央峰はバイパスです)
爺ヶ岳の最高峰は中央峰なんですけど。
冷池山荘で、受付をし
泊りの荷物をデポして
鹿島槍ヶ岳南峰を目指します。
すぐ上のテント場を通過すると

お花畑が広がるものの、

すぐに
手前の布引岳が視界いっぱいとなり

荷物が軽くなったとはいえ
厳しい上り坂に心が沈みます。
一歩一歩足を前に出せば
いつかはたどり着くもので

後ろの爺ヶ岳の3つのピークが
横一線になると
布引岳に着きます。

冷池山荘から1:10かかりましたので
標準タイムでは鹿島槍南峰まで
残り1:10です。
小休止をして、足取りも重く
鹿島槍南峰に向います。

最後の坂は、布引岳と同じくらい
ありそうです。
上空は、飛行機の空路になっているようで
時々、飛行機雲が北向きの白い線を書きます。

足元は石がゴロゴロです。
それでも頑張って
布引岳から1時間で
標高2889mの
鹿島槍南峰に到着です。

剣・立山方向

つづく

種池山荘と周辺の花>白い虹☆鹿島槍ヶ岳@日本百名山№59

2022-08-18 | 59鹿島槍ヶ岳(夏)
予定より1時間も早く
到着した種池山荘ですが
宿泊の受付は何の問題もなく
順番に始まっていました。
種池山荘では、新型コロナ対応として
受付には透明なカーテンがあり

室内でのマスク着用・入口での手指消毒
スリッパ・サンダルは番号で指定の物を使用。
客室は6畳に3~4人で、
使い捨ての枕・布団のカバー付き
カーテンの仕切りがあり、客室での飲食は禁止。

飲食は仕切りのある談話室のみ可。
など、かなり念入りに準備されていました。
食べる時にマスクを外す食堂が
一番危険が高いと思います。
話をするときにマスクを付けるのが
面倒ですが、仕方ありません。
(グループの冷池山荘もほぼ同じシステムです)
ロビー(?)にスマホの充電場所があり
タイミングを逃すと
だいぶ待ちそうでした。

余裕のある行程表にしたので
時間がたっぷりあるのに
雲が取れないので
花を探して、テント場まで
130歩、サンダルで歩きました。

山荘の壁際には、イワハタザオが
びっしり生えていて

山荘のすぐ脇の種池にはまだ
水芭蕉が咲いていました。
ガイドブックにも記載のあった
キヌガサソウ

ナナカマド

その他に
ミツバオウレン
アオノツガザクラ
カエデの花など

テント場は周囲を樹木に囲まれ
整地された平らな土に
ロープで区画されて
テントが張り易そうで
環境に左右されにくいと思いました。
混んでいると、隣との距離が気になるかも。
夕方5時からの夕食の後に
空が晴れてきたので
登山靴を履いて、カメラを持って
外に出ました。

山荘前から
蓮華岳と針の木岳

手前の白い点はコバイケイソウ
爺ヶ岳
右から、南峰・中央峰・北峰

これは山荘の自分の部屋から
窓を開けて撮りました。
一番高いところにある大部屋で
3方向に窓があり
時間とともに移り変わる風景を
飽きることなく眺められます。
爺ヶ岳方向に少し上ると
ガスに覆われましたが
薄くなるとともに
白い虹が現れました。

そして、その下には
爺ヶ岳南峰があります。

北の雲に浮かぶのは
鹿島槍ヶ岳です。

時間とともに雲が引いて
冷池山荘からの登山道も
現れました。

種池山荘に戻ろうとして
振り返ると
遠くの立山からの雲が
滝雲となって、種池山荘の脇を
滑り落ちていました。

部屋に戻り、外を眺めながら
隣の人と山の思い出話をしていると
窓の外が夕日に染まってきました。

赤 爺ヶ岳
つづく

爺ヶ岳登山口⇒柏原新道⇒お花畑の種池山荘☆鹿島槍ヶ岳@日本百名山№59

2022-08-14 | 59鹿島槍ヶ岳(夏)
深田久弥さんの
日本百名山より
しかしそれ以前、ずっと古くからこの秀れた山には名前があった。
(中略)
越中側では、後立山(ごりゅうざん)という呼称があった。
越中の古文献に後立山という名があり、
その山がどれを指すものかいろいろ論議があったが、
結局は今の鹿島槍がそれであることが確かになった。
1年に1度は日本アルプスに行こうと
決めていました。
コロナ禍で、なるべく近くがいいと
五竜岳を狙っていたのですが
五竜山荘はずっと満室で
1泊多くなりますが、隣の
鹿島槍ヶ岳に行くことにしました。
八方尾根から見た
五竜岳越しの双耳峰は
綺麗な弓型の吊尾根が目を惹きます。

朝早く車で、家を出発し
予定通りに駐車場着。
爺ヶ岳登山口の前の駐車場は狭く
10台も止められないので既に満車。
そのすぐ下の
道路脇の駐車スペースに駐車し
登山の準備をするも
小雨が降っていて
すぐに止みそうでもあり
少し休むことにしました。
その後、続々と車が入って来て
皆さん雨を気にすることもなく
雨具を着て歩き出します。
急ぐ旅でもなかったし
雨も止みませんが
8:30に出発します。

土曜日だったので、登山口には
登山届を確認する係の方がいました。
注意事項を聞き、登山口を後にします。

川の反対側の駐車場も満車でした。

登山道は、最初は草に覆われ

ヒヨドリバナ・ゴゼンタチバナ
キジムシロ・ウツボグサなどの
里山の花が咲き
傾斜がきつくなると
木の根の張りつめた道や

置き石を並べた道に
変わっていきます。

道のわきには大きなギボウシが
揺れていました。
40分後に、初めての標識があり

八ツ見ベンチ
ベンチは相当古そうで
補修跡が痛々しく
座るのが申し訳ないようです。
距離表示がないので
ペースが速いのか遅いのか
まったくわかりませんが
ご夫婦と思われる2人を
何組か追い越しました。
1時間でケルンに到着です。

小雨は降り続いていますが
雨具を着るほどではありません。

展望のあるところでも
稜線は雲の中でした。

帰りの日も曇っていましたが
稜線ははっきりとみえました。

写真の稜線の右端に
種池山荘が見えます。
振り返ると、針ノ木岳まで
稜線が延びています。

この先は下りの登山者と
たくさんすれ違いました。
登山口から2時間で
水平道です。

煙草を吸って休んでいる人がいたので
急いで通過しました。
水平道は
そう言われると、なるほどと
納得するくらいの距離です。
そのすぐ先の包優岬で
初めて荷を下ろして休みました。


 柏原新道は山腹をたどる道なので
大勢が荷物を下ろして休める
広場のような場所はありません。
傾斜は多少の緩急がありますが
あまり変わらないという印象です。
下りは時間短縮が可能ですが
上りの登山者も多く
すれ違いに時間がかかります。
稜線は雲に隠れていたので
雨かもしれないと思い
ザックにレインカバーを装着し
先に進みます。
登山口から2時間半で

残雪のあるガレ場を横切り
コース唯一の鎖場を超えると

富士見坂

鉄砲坂と

名のある坂道を上り
突然
皆さんがカメラを取り出し
思い思いに写真を撮っています。
チングルマ

コバイケイソウ

ミヤマキンポウゲ

お花畑の名にふさわしいほどの
花の数と群れでした。
写真を撮りながら進むと
霧の中から
種池山荘が現れました。

標準タイム4時間のところ
3時間で到着です。
つづく