山と道・野の花のこと

揺れずに咲く花がどこにあるだろうか
この世のどんなに美しい花も揺れながら咲くのだ
<ト・ジョンファン>

槍ヶ岳山荘→飛騨沢→新穂高温泉☆槍ヶ岳@日本百名山№62

2023-08-10 | 62槍ヶ岳(夏)
ツアー3日目は快晴でした。
気温は10℃
夜明け前から槍の穂先を目指す人もいて
山小屋の前では大勢の人たちが
カメラやスマホを持って
日の出を待ち構えていました。


振り返ると笠ヶ岳の山頂や
西鎌尾根の先に
黒部五郎岳・鷲羽岳・薬師岳も
赤く輝きだしました。

AR山ナビは
もっとたくさん山名が表示できるはずが…

きのう登った大喰岳から光が当たり始め
槍沢のお花畑にも朝が訪れるころ

東南の山をAR山ナビで
東から南へ確認しました。



最終日は飛騨沢を下ります。
上高地より近いのですが
高低差が400mほど大きく
負担のかかる下りの膝が心配です。
出発のため山小屋の前に集合すると
小槍の上に人がいました。

心の中で拍手をして出発です。

地図右上から左下に下ります。
飛騨乗越からガレ場の急坂を下ります。

気温は10℃、風が強く、日陰のため
体を動かしていても寒いので
ウィンドブレーカーを着ました。
正面には、黒部五郎岳・三俣蓮華岳

もう少し降りると
写真の右半分に
鷲羽岳と黒岳(水晶岳)

笠ヶ岳は飛騨沢の道中ずっと
視界に入っていました。

足元は
ハクサンイチゲの大花畑です。

登山道にたった1株
クロユリが咲いていました。

自然に咲いているのを見たのは
初めてです。
穂高岳を廻り込んでいるので
焼岳の山頂が見えて

その奥は乗鞍岳。
傾斜は次第に緩み
樹林の切れ目から
左には穂高連峰の稜線が見え

左から、北穂高岳・涸沢岳・奥穂高岳・
ジャンダルム(?)

小さな沢を渡り
檜平小屋に到着。
飛騨乗越から3時間は標準タイムです。
標高はまだ1987mですが
気温はすでに26.3℃まで上がり

屋根の上に人の姿があり
屋根全体に布団が並んでいました。
この日は布団干し日和です。

少しでしたが、木道が整備され

檜平小屋から45分。
滝谷出合にて少し早い昼食です。

お弁当は五目おこわでした。
味付けが程よく
量があって腹持ちしましたが
箸休めの何かが付いていると
もっと満足度が上がったと思います。
滝谷出合から1:30で白出沢です。

ここが奥穂高岳の白出のコルへの登山口。
写真の奥の山が遠く
この山旅もあとわずかです。
登山道はここまでで、あとは
林道を1:30で新穂高温泉です。
途中に穂高平小屋があり
トイレ休憩をしました。

YAMAPによればこの日の活動量は
移動距離13.0㎞
上り累積標高差73m
下り累積標高差2050m
総活動時間7:51
休憩時間1:28
正味移動時間6:23
休憩時間を除けば
ほぼ標準タイムでした。
3日間の歩数
1日目:25494歩
2日目:15281歩
3日目:31090歩
槍の穂先以外に危険個所はありません。
長い行程でしたが
1・2日目は曇っていて涼しく
登りやすい日で、
ハイライトの槍の穂先は面白く
3日目は晴れて大満足の山旅でした。
深田久弥さんの
日本百名山より
信仰の厚い播隆はそれで挫折することなく、
それから二年間諸国をめぐって浄財を集め、再び槍ヶ岳に向かった。
背には阿弥陀如来、観世音菩薩、文殊菩薩の三尊を負っていた。
その加護を念じて、
播隆はついに文政十一年(1828年)七月二十八日槍の頂上に達した。
宿願を果たした彼は頂上に三尊を安置し、仏恩の高さに感謝した。
帰りのサービスエリアで、いつものように
ソフトクリームを買ったら
渦巻のない形のもので
まるで槍の穂先のようで
ニンマリしてしまいました。

これはネットで探したファミマの
ソフトクリームの写真です。
end

大喰岳・槍の穂先☆槍ヶ岳@日本百名山№62

2023-08-02 | 62槍ヶ岳(夏)
ツアー2日目の午後のメニュー
その1

 槍の穂先の展望台:おおばみだけ
大喰岳(標高3101m)まで往復します。

ほぼ全員が参加しました。
稜線は、いまだに雲がかかり
風も吹いて、片道40分の行程です。

荷物を山小屋に預けたので
足取りは軽いのですが
展望が期待できないので
気は重いです。

時折、雲が薄くなり
稜線や谷の様子がわかります。

しかし
雲の中を歩くことに変わりはなく
大喰山の山頂に到着です。

誰もいません。
集合写真を撮って帰りましょうと
話し合っている3分後

北の空に青空が見え始め

槍ヶ岳山頂がだんだんと姿を現し
実にドラマチックな演出でした。

時折、雲に隠れつつも
全体像が確認とれるほどになりました。


集合写真を撮るころには
再び槍の穂先は雲に隠れ
槍ヶ岳山荘に戻ります。
途中の稜線にも
たくさんの花が咲いていましたが
私の初見の花として
ミヤマシオガマを記録しました。
ゴマノハグサ科の多年草
本州中部以北・北海道に分布する
高山帯の礫地や草原に生える
根際で分岐し、高さは5-20㎝
葉が細かく分かれていることで
タカネシオガマと容易に区別できる
戻り道にて
殺生ヒュッテとヒュッテ大槍を
見下ろす。

ツアー2日目の午後のメニュー
その2
槍の穂先を登る
標準タイムは上り・下りとも30分だが
見るからに混んでいるので
ガイドブックに書いてあった
3倍かかるを納得します。

肩から見上げた時の青空は
上り始めると雲に覆われ
すぐに渋滞につかまります。

5m進むのに5分待つ
そんな感じでしょうか。
ルートは危険な箇所に
鎖・鉄杭・ハシゴがあり
前の人のルートをなぞって行けばいいので
遅くて後ろからせかされることも
ありません。
上り始めから20分で
平坦な場所があり
雲が薄くなって
ハッキリと小槍が見えました。

カメラを取り出している間にまた
雲が出てきました。
そこから少し上がって
山頂にかかるハシゴが見えました。

すぐそこなのに
人の動きはゆっくりです。
上り始めから50分で再び
下りと並行するルートになり
待っているだけだったので
下りの人が気になります。


下りの渋滞は
上りほどではありません。
時々、岩場に不慣れな人がいると
その後ろが繋がってしまう程度でした。

 危ないところは一人ずつ
他の人を巻き添えにしない
安全のルールが守られていました。
結局、上りは1:30かかりました。
山頂は、時々雲が薄くなり
山並がうっすらと見える時がある
という中途半端な天候でしたが
祠が1つだけの岩だらけの山頂は
岩場を上った達成感で
満たされていました。

30分ほど山頂にとどまって
ツアーの全員が上ってくるまで
待って、集合写真を撮り
下山です。

下りは詰まることなく
スムーズな流れでした。


上りの人の列も途中で途切れ
槍の穂先の1日が
終わろうとしています。
下りは40分でした。
つづく

槍沢ロッジ→槍ヶ岳山荘☆槍ヶ岳@日本百名山№62

2023-07-31 | 62槍ヶ岳(夏)
槍沢ロッジで朝食をいただき
6時半に出発しました。
遅い出発なので
後ろから追い越す人が少なく
槍ヶ岳山荘まで
ツアーのペースで歩くことができました。

地図の右下から左上へ
槍ヶ岳の山頂は飛騨乗越の上で
コピーが切れています。
申し訳ありません。
空は曇っていましたが
雨が降る気配はありません。

最初は林の中の道を上り
樹木の高さが低くなると

足元に花が多く咲いていて
写真に残したのは
グンナイフウロ・エゾシオガマ
だけでしたが、もっと多種類の花が
咲いていました。
槍沢ロッジから45分で
ババ平に到着です。

テントはたくさんありましたが
人は少なく、みんなどこに行ったのでしょう。
トイレ休憩をして、出発です。

氷河の削った谷を草木の緑が覆い
稜線は雲が隠しています。
頑張って山を登らないと見られない
山奥まで来た満足感があります。

 緑の中には
多くの花が群生していました。
ニッコウキスゲ

ヨツバシオガマ

その他に
写真は撮りませんでしたが
ハクサンイチゲの白や
ミヤマキンポウゲ・キンバイの黄色
の花畑が広がっていました。
道幅が狭く、
大勢が休める場所がなかったので
次の休憩は大岩で
ババ平から1:30でした。

青空が少し見えると
皆さんの声が明るくなります。
再び、スマホのAR山ナビで
振り返った山々の名前を確認です。


休憩を終えて再び上り始めます。
天狗池は地図で見ると
すぐ近くにあるようですが
槍沢をトラバースする道を
少し下ってから上るので
簡単に行ってみたいと思える距離
ではありません。

写真の左上です。
行く先の稜線は
相変わらず雲の中です。

キバナシャクナゲが
きれいに咲いていましたが
2台のカメラで撮った写真は
どちらもきれいに色が出ませんでしたので
写真は省略します。
大岩から1:20で播隆窟です。

相変わらず稜線は雲の中です。
ARで槍ヶ岳の方向を確認すると
晴れていれば見える場所まで
来ているようです。

殺生ヒュッテでトイレ休憩です。

ババ平からここまでトイレがないので
トイレが近い人は大変でしょう。
目的地はもうすぐです。
雲が薄くなって
槍の穂先の根元が見えました。

見える範囲の緑の草原は
ハクサンイチゲで
埋め尽くされていました。

12:10に槍ヶ岳山荘に到着です。

合計時間5:40
標準時間4:50
YAMAPは
この日1日の休憩時間で集計されるため
この間の休憩時間はわかりませんが
ほぼ標準タイムで上ったと思います。
晴れなかったので
涼しくて、いいペースで登れました。
槍ヶ岳山荘では12.3℃でした。
昼食はカレーでした。

御飯が槍の穂先のように
円錐形に盛られていて
テンションが上がります。
カレーも本格的な味で
疲れていてもスイスイ
お腹に入っていきました。
曇っていて
槍沢の写真が冴えないものばかり
でしたので、
昭和30年代(日付は不明)の
雪がたっぷりと残った槍沢を
ご覧ください。



つづく

上高地→槍沢ロッジ☆槍ヶ岳@日本百名山№62

2023-07-27 | 62槍ヶ岳(夏)
上高地バスターミナルから槍沢ロッジまで
ガイドブックによれば
歩行距離14km、4:50の行程です。


出発してすぐに
観光客でにぎわう河童橋です。


昭和31年(1956年)には男性客がほとんどで
奥に見えるのは焼岳
無舗装の林道をまっすぐ進むと
1時間で明神に到着。

観光客や登山者は大勢います。
天気予報は曇り時々雨で
あまりよくはありません。
今のところ
山の稜線は雲に隠れ
ひたすら歩くのみでした。
その後は少し梓川から離れますが
再び川に近づいたところで
前方が見通せました。
AR山ナビというアプリで
山の名前を調べます。
ARとは
Augmented Reality(アグメンティッド・リアリティ)
現実世界を立体的に読み取り
仮想的に拡張する技術のことで
拡張現実とも呼ばれています。
このアプリは無料で使えて
スクリーンショットを記憶できるので
今まで山の名前を調べるのに費やした
多くの時間が不要になりました。
表示される山の数も調整することができます。
使いこなせている訳ではないので
うまい方法があるのかもしれませんが
歩いていると
現在地が自動で変わらず
山の名前が左右に少しズレるのが不満です。

この写真は山の名前が少し左にズレています。
林道はやがて徳澤園に至ります。
その手前のテント場は
カラフルなテントが並んでいます。

昭和31年のテント場は
白黒写真で申し訳ありませんが

同じような形のテントが並んでいます。
徳澤園の建物は形がそっくりですが
塗装色はシックになりました。
2023年

昭和31年(1956年)

ここで12時となり、昼食タイムです。
配られた弁当をいただきました。
林道は続きます。
屏風ノ耳に至る新村橋は
両岸の支柱が残るのみで
通行はできません。
工事のためのショベルカーが
向こう岸に見えました。
徳沢から1:10で横尾に到着です。
横尾山荘は67年前の面影はなく
立派な建物になりました。
2023年

昭和31年(1956年)


ここで涸沢に至る横尾大橋を分けると
すれ違う登山者は減り
やがて道が狭くなり
本格的な山道となります。

もうすぐ槍の穂先が見える槍見河原
ということで
AR山ナビで方向を確かめると

まだ、だいぶ左のほうで
雲がかかっているので
結局、見ることはできませんでした。
一ノ俣・二ノ俣にかかる橋を渡ると

少し傾斜が増して
休憩した広場の脇に
アカバナイチヤクソウが
きれいに咲いていました。


もうすぐ槍沢ロッジという
案内板に励まされて
程なく槍沢ロッジに到着です。

横尾から休憩時間を入れて
2時間かかりました。
これで1日目の行程は終了です。
天気予報は大当たりです。
曇り時々雨。
ただ、ザックにレインカバーをした程には
強い雨が降り続くことはありません。
レインウェアも着用せずに済みました。
気温は、槍沢ロッジで17.7℃。
涼しくて動きやすい1日でした。
2日目の天気予報も同じようなもので
展望はあまり期待できません。
この日の
YAMAPの活動データによると
合計時間は5:48・休憩時間0:58
正味行動時間は4:50
これはほぼ標準タイムと同じ。
ツアーですので休憩時間は多めです。
ちなみに
移動距離は14.4㎞
累積標高差:上り500m・下り184m
あまり下った記憶はありませんが。
槍沢ロッジの部屋は
男性5人で相部屋の1室で
石鹸は使えないけれど風呂もあります。
泊まったのは別館の1階で
トイレがすぐ近くにあったのが
便利でした。
つづく

アルピコ上高地営業所☆槍ヶ岳@日本百名山№62

2023-07-25 | 62槍ヶ岳(夏)
休みと天気の関係で2023年の山旅は
7月まで休止になってしまいました。
個人で出かけられる山は限られて
今回は登山ツアーに参加しました。
今年の梅雨末期は各地で豪雨となり
7月中旬で設定された槍ヶ岳行きは
天候が最も心配されましたが
ツアーは雨でも決行されます。
ツアー参加のため、
沢山咲いていた花の写真はほとんどあきらめました。
今回は所々に
昭和31年(1956年)7月の様子を
併せてご紹介したいと思います。
早朝に出発したツアーバスは
マイクロバスで
前の座席との間が狭く
足がまっすぐ入りません。
上高地まで4時間以上かかるので
落ち着けませんでした。
休憩でバスの外に出るとホッとしました。
新型コロナが5類に移行したため
どこも混雑しています。
安曇野のサービスエリアにて

奥の三角の山は常念岳です。
バスの車内より
松本電鉄の終点でもある
新島々バスターミナルです。

いつも車で出かけるため
さわんど駐車場のお世話になり
電車で行く登山の象徴である新島々駅は
昭和の香りがしてあこがれます。
アルピコ電鉄の上高地営業所です。

2回ほど来ているので
変わらない建物と大勢の観光客で
新型コロナの自粛生活が終わったことを
前向きに考えたいと思います。
昭和31年7月の
松本電鉄上高地営業所です。

奥に見える山は今と変わらず
登山ブームの最盛期で
山登りの人がほとんどですが
観光で来た人が目立っています。
槍ヶ岳山荘の
お土産を入れた袋のイラスト



1枚目は昭和31年のもので
2,3枚目は2023年7月の手ぬぐいの袋です。
時代を超えて愛され
変わらずに引き継がれるものを
これからもみんなで
守っていきたいものです。
槍ヶ岳山荘の箸入れ

2023年7月のもの
デザインがシンプルで繊細になり
令和の時代を感じさせます。
私以外にも持ち帰る人がいました。
深田久弥さんの
日本百名山より
現在では、上高地から槍までの途中に幾つも小屋ができ、
夏は登山者が列をなしている。
一生に一度は富士山に登りたいというのが庶民の願いであるように、
いやしくも登山に興味を持ち始めた人で、まず槍ヶ岳の頂上に立って
みたいと願わない者はないだろう。
つづく