石仏散歩

現代人の多くに無視される石仏たち。その石仏を愛でる少数派の、これは独り言です。

138東京都北区の石造物9-神谷3(自性院、専福寺)

2020-01-05 07:53:19 | 石造物巡り

▽自性院の庚申塔群(神谷3-45-1)

自性院は環七に面している。

しかし、墨田川を渡る新神谷橋の上り始めの左側にあって、車からは見えない。

        右の陸橋が環七

私は、たまたま自転車で通りかかって、庚申塔群があるのに気づいた。

もう10年になるだろうか。

山門前に6基、境内参道中ほどに3基がまとめられて並んでいる。

特徴と言えば、如意輪観音を主尊とする庚申塔が3基もあること。

都内でもここだけにしかない稀有な事例です。

まずは、門前の6基を左から紹介してゆこう。

     

 

    武州豊嶋郡
青面金剛 奉供養
     貞享四天
     神谷村敬白

 

 

     二世安楽処    豊嶋郡
如意輪観音像         同女
 元禄三庚午天十一月廿一日 十四人
              神谷村

 

              武州豊嶋郡
  寛文十一年亥十月吉日     敬白
青面金剛像
  奉供養庚申待之処    道行十二人

自性院の庚申塔群では、これが最も古い。

 

   奉供養庚申待二世安楽處
地蔵菩薩像
 武列豊嶋郡神谷村 延宝六戌午十一月吉日

 

  奉供養庚申為二世円満
聖観音像
  元禄八亥年  六日

 

  武州豊嶋郡神谷村願主
           同行
奉供養庚申現当二世安楽所(板碑型)
           敬白 八人
  元禄元戌辰天十月十五日

大ぶりな6基の反対側に、小型の文字庚申塔が1基ポツンとあります。

 

 庚申塔 文久三初癸亥十月

 

細長い境内の奥に本堂。

そのほぼ中間あたりにも数基の石造物が。

   武州豊嶋郡神谷村同女廿三人
奉造立庚申二世安楽処 如意輪観音像
    延宝八年九月二十八日

 

   奉供養宇信現当二世安楽処
   元禄四辛未歳     同女
如意輪観音像       十六人
   十一月廿一日    敬白
   武州戸嶋郡神谷村 

 

   元禄九丙子歳
         安楽 敬
奉供養庚申現当二世
         之所 白
   二月廿一日
        同行十一人 

 左端の地蔵菩薩像は、個人の墓標。

如意輪観音庚申塔の造立年時が、十一月二十一日なのは、月待講の二十一夜講と関係がありそうです。

二十一夜講では、女性たちが如意輪観音の掛け軸をかけて念仏をあげ、会食雑談するもので、刻銘に「同女」とあり、「二十一日」なので、庚申信仰と月待信仰が合体したものとみられます。

▽真言宗智山派・神谷山専福寺(神谷3-32-11)

 

参道の両側が墓域。

大日如来と如意輪観音の2ショット墓標。

夫婦だろうか。

六地蔵堂のとなりには

これまた、地蔵菩薩の庚申塔がおわす。

 

 

▽柏木神社(神谷3-55-5)

神谷村の鎮守。

元は墨田川河畔にあったという。

広い境内に石造物は少ない。

定番の狛犬新旧2対の他は

日露戦役記念碑と

出羽三山参拝記念碑くらいか。