福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

恵心僧都、空也上人に謁する事

2024-06-12 | 法話

「発心集第七第一話」「恵心僧都、空也上人に謁する事」(空也上人は延喜3年(903)生まれ -天暦2年(948)比叡山で天台座主・延昌のもとに受戒 天禄3年(972)寂。恵心僧都は天慶5年(942)生まれ、天暦9年(955)得度 - 寛仁元年(1017)寂。)

 

恵心僧都の、そのかみ、「空也上人、見奉らん」とて、尋ね来給へることあり。年たけ、徳高うして、ただ人とも覚えず。いと尊く見え給ひければ、後生のこと申し出だし、「極楽を願ふ心、深く侍り。往生はとげ侍りなむや」と尋ね給ひければ、「われは無智の者なり。いかで、さやうのことをことわり侍らん。ただし、智者の申し侍りしことを聞きて、これを案ずるに、などかは生ぜざらん。そのゆゑは、『人、六行観を修して、上界の定を得ん』と思ふとき、下地は、麁なり、苦なり、障なり。上地は、静なり、妙なり、離なりといふことを信じて、下地のいやしきさまを厭ひ、上地の妙なることを願へば、その観念の力にて、次第にすすみて、悲想悲々想まで至るべし』(天台圓宗四教五時西谷名目「有漏智斷者六行觀也。此觀凡夫外道用觀也。所謂六行觀者。下地麁苦障。上地靜妙離觀也。此六行觀云有漏觀。名欣上厭下觀也。仍以此觀斷煩惱事。限下八地也。是則始斷欲界煩惱時。欲界色界中間云未到定有之。至彼定。下地麁苦障ト觀厭欲界。上地靜妙離ト觀欣色界。斷欲界煩惱也。斷色界初禪煩惱時。初禪二禪中間有近分定。至彼定如前觀厭下地。欣上地斷初禪煩惱也。乃至無所有處可准之也。・・」)

と言へり。されば、西方の行人もまた同じことなり。智恵・行徳なくとも、穢土を厭ひ浄土を願ふ心ざし深くは、などか往生を遂げざらん」とのたまひければ、僧都、これを聞きて、「まことに理きはまり侍り」とて、涙を流し、掌を合はせて、帰し給ひにけり。さて、『往生要集』を撰じ給ひけるに、そのことを思ひて、厭離穢土・欣求浄土を先とし給ふ。

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