私が初めてクラシック音楽のレコードを買ったのは、中学2年(昭和47年)の秋、フリッチャイ、ベルリン・フィルの「新世界より」でした。
「新世界」は、当時、4楽章の出だしがCMで流れていて、格好いいなと思っていた時、熊の平に一緒に行った友達が「新世界」を持っていて、私もほしいと思ったのがきっかけです。
なぜフリッチャイのを買ったのか??? それは、やはり世界最高のオーケストラと言われているベルリン・フィルだったからであって、たまたま指揮をしていたのがフリッチャイだったというだけです。
しかし、その演奏を聴くにつれ、その魅力にとりつかれ、今日までいたったというわけです。
私は音楽評論家でも演奏家でもありませんので、フリッチャイの「新世界」の魅力をうまく表現することはできませんが、一言で言えば、他の「新世界」とは全然違うということでしょう。
例えば第一楽章の序奏の出だし、ただ楽譜通り演奏しているのではなく、そこはかとない寂寥感といいましょうか、独特のものを感じます。他の演奏ではそんなことはありません。
テンポをよく動かしているのですが、それがそうあるべきと感じさせられるのです。
第二楽章の中間部の出だし、3連符の1音目を少し伸ばして演奏しているところなどとても魅力的です。また、第四楽章の序奏の最後でテンポを落とすところも効果的です。そのような例は挙げれば限りがありませんが、どれも必然性を感じます。
最後に、全体を通しての一体感というものを感じます。楽員全員が同じ方向に向かって一直線に走っている・・・そんな印象を受けます。
ある批評家は「フルトヴェングラーが新世界を振ったら、このような演奏になるのでは・・・」と評しました。
○フリッチャイ/ベルリン・フィル ドヴォルジャーク 交響曲第9番「新世界より」1959年10月5、6日録音
(写真はオリジナルのジャケット)