○チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 フリッチャイ/ベルリン放送交響楽団 1959年9月17~19日、22日
○ラベル 「マ・メール・ロア」全曲 高関 健/群馬交響楽団 2007年2月10日(ライブ)
「悲愴」は同曲の代表的名盤とされる演奏。1959年の録音ですが、フリッチャイが第1楽章の一部の録り直しを希望していながら果たせず亡くなってしまったため、長らくお蔵入りとなっていたものを日本ポリドールがフリッチャイ夫人の了解を得て、1996年4月に発売したものです。発売とともに、その素晴らしい演奏と録音でたちまち話題になり、レコード芸術で特選となりました。
演奏は、晩年の特徴である陰影のある遅いテンポで、特に第1楽章出だしヴィオラの音色には悲痛な響きがあります。また第2主題を一音一音いつくしむかのように伸ばして演奏するところは心に残ります。フリッチャイ自身が録り直しを希望していた部分は不明ですが、歌崎和彦氏は、第1楽章展開部の一部ではないかと推測しています。
この録音が行われた1959年9月という時期は、フリッチャイにとって大きな転換期にあたります。フリッチャイは、1958年11月と1959年1月に胃と腸の手術を受け、秋まで療養を強いられました。そして、1959年9月13、14日に、ベルリン放送交響楽団の指揮台に復帰したのです。
その時の演目は、
○ベートーヴェン 「エグモント」序曲
○バルトーク ピアノ協奏曲第2番 アンダ(Pf)
○チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
です。
そして、それに引き続いて録音されたのが、この演奏です。
生死をさまようほどの状況から復帰し、テンポは遅くなり、より大家的な演奏を行うようになり、風貌までも含めフルトヴェングラーを彷彿させると言われました。
ラベルの「マ・メール・ロア」は群響343回定期演奏会の録音で、群馬テレビの「群響お茶の間コンサート」を録画したものです。
この日はオール・ラベル・プログラムであり、あまり好んで聴く作曲家ではなかったため、演奏会には行きませんでした。しかし、池田美代子さんのヴィオラ・ソロもあり、また清涼感あふれる素晴らしい演奏で、聴きにいかなかったことを後悔しました。
なお、群馬テレビの「群響お茶の間コンサート」はこの春、放送終了となってしまいました。何十年も続いていた番組なのに大変残念です。
(右の写真は、プログラムと当時の新聞記事)