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寡作主義ー矢代秋雄の代表作 「ピアノ協奏曲」

2009-02-27 15:53:47 | 協奏曲
 私が矢代秋雄のピアノ協奏曲を生演奏で接したのは1971年5月10日日比谷公会堂に於ける東京交響楽団第184回定期公演であった。指揮は当時の同楽団音楽監督秋山和慶、ピアノは井上二葉である。当時まだ学生だった私はなんとモダンでしゃれたピアノ協奏曲というぐらいの印象しかなかった。その後しばらく私の頭の中から消えかけていたがある時CDショップでこの作品の初演者中村紘子による2つの録音が収録されたCD(写真)が目に留まり聴き直してみてすっかり好きになってしまった。
 作曲者矢代秋雄(1929~1976)は小学校のころから独学で管弦楽や室内楽の作品を書き始めたというからまさに天才少年と言っても過言ではないだろう。彼は1949年東京芸術大学音楽学部を首席で卒業後研究科をへて1951年にフランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院で学んでいる。その影響もあってかこのピアノ協奏曲にもどことなくメシアン風の雰囲気を感じないわけでもない。
 ところでこのCDは1977年録音の若杉 弘指揮東京都交響楽団と1982年外山雄三指揮NHK交響楽団定期公演ライヴが収録されている。ピアノは前述のようにどちらも中村紘子が受け持っているが共に名演を聴かせている。後者はライヴ録音だけあって会場の熱気も伝わってくる。
 寡作主義でも知られた上47歳の若さで世を去った彼の作品数は少なくこの「ピアノ協奏曲」(1967)は交響曲(1958)、チェロ協奏曲(1960)と並ぶ彼の不滅の名曲としてこれからも演奏され語りつがれていくことであろう。