私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

カルロス・カルマー&オレゴン響のイギリス音楽

2013-01-31 12:29:42 | 管弦楽曲

 昨年「独PentaTone Classics」レーベルからリリースされたカルロス・カルマー指揮オレゴン交響楽団(ポートランド)の2ndアルバムとなる「THIS ENGLAND」と題するCDである。(写真/PentaTone-PTC5186 471)カルロス・カルマーはまだ日本では馴染みのない指揮者だがウルグアイ出身でこのオレゴン響の音楽監督に就任して10年目を迎え2014/15年シーズンまで契約も延長されたようである。そのことからもこのCDで彼の実力のほどが窺い知ることができた。私も昨年初めてこのオーケストラの演奏をカルマーの指揮ではなかったがブラームスの「ドイツ・レクイエム」で生演奏に接することができた。

 アルバムのタイトルの通り今回はイギリスの作曲家の作品が3曲収録されている。エルガー「コケイン(ロンドンの下町)序曲」、ヴォーン=ウィリアムズ交響曲第5番ニ長調、ブリテン歌劇「ピーター・グライムズ」から4つの間奏曲・パッサカリアである。いずれもこの楽団の本拠地「アーリン・シュニツァー・コンサート・ホール」におけるライヴ録音だが会場の聴衆のノイズや拍手もカットされているのでおそらくゲネ・プロ等の演奏も含め編集されたものと思われる。 とかくヴォーン=ウィリアムズの交響曲は演奏スタイルによっては単調に流れ退屈さを感じることがあるがこの演奏ではそれを感じさせなかった。この辺りもカルマーの巧さだろうか。ブリテンの「ピーター・グライムズ」は通常4つの間奏曲のみが演奏されることが多いがここでは「パッサカリア」を「嵐」の前に加えるなど工夫が見られる。透明感あるサウンドが印象的で録音も大変素晴らしい。

 (オレゴン交響楽団の本拠地/アーリン・シュニツァー・コンサート・ホール、ポートランド<筆者撮影>)

 


「ジョン・ランチベリー&コベント・ガーデン王立歌劇場管」のエリック・サティ

2013-01-30 18:33:23 | 管弦楽曲

  エリック・サティのピアノ曲は管弦楽に編曲され舞踊音楽に転用されている。 写真のLPはジョン・ランチベリー(John Lanchbery/1923~2003/ロンドン出身→オーストラリア帰化)が「コベント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団」とエリック・サティのピアノ作品を管弦楽版で演奏・録音した珍しい1枚である。(仏パテEMIー2C 069-03500)LPタイトルの「MONOTONES」とは高名な振付師アッシュトンがサティの代表作「ジムノペディ第1番・第3番(ドビュッシー編曲)・第2番(ローラン・マニュエル編曲)に指揮者ランチベリーによる新編曲、「エジナールの前奏曲」・「グノシェンヌ第1番~第3番」を加えてバレエ音楽に仕立てたものである。また「JACK-IN-THEーBOX(びっくり箱)」はサティがパントマイムのために作曲されたが上演されず彼の死後ピアノの裏から楽譜が発見され後にミヨーが管弦楽に編曲したものである。LP第2面前半に収録された「梨の形をした3つの小品」は実際には全7曲の小品から成り名指揮者デゾミエールが前から5曲を管弦楽に編曲したものである。第2面後半の「二つの前奏曲」は実際は「4つの前奏曲」として1886年から92年作曲されたものでLPには第1曲「若い処女のためにノルマンディの騎士によって催された祝宴」と第3曲「ナザレ人の第一の前奏曲」(以上プーランク編曲)が収められている。因みに「モノトーンズ」が1976年7月30日、そのほか作品が1978年2月26日、ロンドンのアビー・ロード・スタジオにおける録音である。

 サティのピアノ作品の管弦楽版は時々、コンサートで「ジムノペディ第1番・第2番」を聴く機会はあるぐらいなのでこのランチベリーによる演奏はその意味でも大変貴重な1枚と云えるだろう。演奏も彼自身、数多くの舞踊音楽の編曲も手がけており管弦楽による色彩感豊かなサティの世界が味わえる。


ユーリ・シモノフ&ボリショイ劇場管弦楽団、1979年来日公演から(FMエア・チェック)

2013-01-29 20:50:21 | FMエア・チェック

(ユーリ・シモノフ)

  久しぶりにお気に入りのFMエア・チェックテープから1本取り上げてみたい。今回はユーリ・シモノフ指揮ボリショイ劇場管弦楽団、1979年来日公演から10月12日東京文化会館におけるメイン・プログラム、ショスタコーヴィチ「交響曲第5番」の演奏である。この演奏も筆者にとっては1973年のムラヴィンスキー、レニングラード・フィル来日公演の演奏と並び忘れることができない。シモノフはこのロシア最古の歴史を持つこのオーケストラの首席指揮者に史上最年少29歳で就いた人である。(1970年) 以後たびたびの来日でファンも多いが彼のダイナミックな指揮ぶりは聴衆を圧倒させる。コンサートのフィナーレを飾ったこのショスタコーヴィチで会場の聴衆の興奮度は最高潮に達した。


バレンボイム&シカゴ響の「ロシア管弦楽曲集」

2013-01-28 11:30:42 | 管弦楽曲

 写真のLPは昨年、ミラノ「スカラ座」の芸術監督に就任したダニエル・バレンボイムが1977年に「シカゴ交響楽団」と録音した「ロシア管弦楽曲集」(独グラモフォン 2536 379)である。 今や巨匠の風格がでてきたバレンボイム、30代の録音だが世界のヴィルトーゾ・オーケストラ、「シカゴ響」の魅力をたっぷりと聴かせた1枚だ。 収録作品はボロディン/歌劇「イーゴリ公」から「ダッタン人の踊り」、リムスキー=コルサコフ/序曲「ロシアの復活祭」、「スペイン奇想曲」、ムソルグスキー/交響詩「はげ山の一夜」の4曲である。いずれもバレンボイムの初録音で現在も再録音はしていないと思う。バレンボイムはレパートリーの広い指揮者の一人だがこれらの「ロシアもの」も彼の巧さが随所にでた演奏である。当時、「シカゴ響」の音楽監督はゲオルグ・ショルティ、バレンボイムは1991年にショルティの後任としてこのオーケーストラの音楽監督を引き継ぎついだ。因みに現在の音楽監督はリッカルド・ムーティである。


カラヤン&ベルリン・フィル - シューマン/交響曲第1番変ロ長調作品38「春」

2013-01-27 11:24:31 | ヘルベルト・フォン・カラヤン

 先週は「暖」を求め東南アジア周遊の旅に出たためブログの更新を暫く休んでしまった。まだまだ日本列島は寒いが続くが「春」の訪れが待ち遠しい今日このごろだが今朝は久しぶりにカラヤン&ベルリン・フィルのシューマン/交響曲第1番「春」、写真のLP(独グラモフォン/2530 169)に針を下ろしてみた。カラヤンのシューマンは実に流麗で美しくベルリン・フィルの洗練された風格が素晴らしい。カラヤンは1971年、1月から2月にかけて一気にベルリン・フィルとシューマンの交響曲全集録音を完成、この「第1番」は「第2番」、「第3番」と並び彼の唯一の録音となった。このLP裏面の「第4番」はカラヤンがよく好んでコンサートでもプログラムに度々取り上げライヴ盤も含め数種の録音が遺されているがこの「第1番<春>」の実演記録はない。

 因みにこのLPジャケットも私が気に入った1枚で17世紀に活躍したオランダの画家Jan Geiffierが描いたドイツ、ライン地方の絵画が使用されている。

 

 


セル&クリーヴランド管弦楽団 ー 1957年ルガノ、ライヴ盤

2013-01-17 11:01:02 | 歴史的コンサート・ライヴ

 1991年、イタリア「ERMITAGE」レーベルからリリースされたジョージ・セル&クリーヴランド管弦楽団のライヴ盤である。1957年5月31日、イタリアとの国境に近いスイス、ルガノの「テアトロ・クアザール」におけるコンサート・ライヴでこのCDに収録された曲目はシューマン/交響曲第2番ハ長調作品61、ドビュッシー/交響詩「海」、アンコールとして演奏されたベルリオーズの「ハンガリー行進曲」の3曲である。音源は「スイス・イタリア語放送」のものでモノラル録音だが音質は大変良好である。

 セルはシューマンを得意としておりこの「第2番」も快速テンポでスッキリとした快演で、次のドビュッシー「海」もクリーヴランド管の響きが冴え渡る。アッチェレランドで押し進めるアンコールの「ハンガリー行進曲」の凄みに聴衆の興奮の拍手が頂点に達する。聴き応えある1枚だ。後にイタリア「MEMORIES]からも同一音源が発売されている。 (写真/ERMITAGE, ERM 106)

 

 

 


ミラン・ホルヴァート & マルティン・ジークハルトのドヴォルザーク

2013-01-15 15:02:09 | 交響曲

(独zyx CLASSIC - CLS4027/ステレオ)

  今日はドイツの廉価盤CD、「zyx CLASSIC」レーベルからドヴォルザークの二つの名曲ー「弦楽セレナード ホ長調作品22」・「交響曲第8番長調作品88」がカップリングされた1枚を紹介したい。 このCDを求めたのも今からもう20年ぐらい前になるが演奏が気に入り愛聴盤のひとつになっている。演奏は前者がマルティン・ジークハルト指揮シュトゥットガルト室内管弦楽団、後者がミラン・ホルヴァート指揮オーストリア放送交響楽団である。ジャケットに録音年月の記載がないので詳細は不明だが1980年代のものと思われる。またジークハルトの「弦楽セレナード」はライヴ録音である。両指揮者とも日本では地味な存在だがジークハルトはウィーン交響楽団の元チェロ奏者で後に指揮者に転向、「リンツ・ブルックナー管弦楽団」の首席指揮者、現在はオランダの「アーネム・フィル」の名誉指揮者、一方のホルヴァートは旧ユーゴスラヴィア、現在クロアチアの名指揮者で1970年代にこのオーストリア放送響の首席指揮者を務めた。国内外の数多くの名門オーケストラに客演、今年94歳を迎える長老で現在ザグレブ・フィルの名誉指揮者である。

 

 

 

  


チェリビダッケ&ミュンヘン・フィル  「ベートーヴェン/交響曲第9番 」ライヴ盤

2013-01-14 17:09:47 | 交響曲

  チェリビダッケのベートーヴェンの「第9」で思いつくのはやはり1989年3月のミュンヘン・フィルとの演奏であろう。写真のCDは「伊MEMORIES」のライヴ盤で録音月日は3月19日の演奏になっている。(伊MEMORIES-ME1083/ステレオ)コンサートは3月16日、17日、19日とミュンヘンの「ガスタイク・ホール」で行われたようだ。チェリビダッケのベートーヴェンは「第5番」、「第6番」などこれといった彼独特の個性は強く感じられなかったが「第9番」となるとチェリビダッケ・スタイル、そのものが表現されたアクの強い演奏で興味深い。全体的にテンポが遅く演奏時間も約75分とフルトヴェングラーを彷彿させる。また「EMI Classics」より3月17日の演奏がCD化されている。当「MEMORIES盤」は聴衆の拍手がカットされておりこのような熱狂を感じるライヴ演奏は拍手をカットしない方がより効果的だろう。

 独唱 : ヘレン・ドナート(ソプラノ)、ドリス・ゾッフェル(アルト)、ジークフリート・イェルザレム(テノール)、ペーター・リカ(バス)

 合唱 : ミュンヘン・フィル合唱団 

 

 

 

 

  


ジネット・ヌヴー、ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ライヴ盤

2013-01-12 19:58:47 | 協奏曲

 写真のCDはジネット・ヌヴーがハンス・ロスバウト&南西ドイツ放送交響楽団(現、バーデンバーデン&フライブルクSWR交響楽団)と共演したベートーヴェンの「ヴァイオリン協奏曲」のライヴ録音である。これは彼女が悲運の飛行機事故で亡くなる約1ヶ月前1949年9月25日バーデンバーデンの「クアハウス」でのライヴ録音(モノラル)である。(独hänslller-CD93.033 2002年リリース) 夭折の彼女だったが伝説の世界的大ヴァイオリニストとして現在も語り継がれている。 彼女のベートーヴェンの協奏曲の音源はこのロスバウト盤のほかにオランダの名指揮者オッテルローとのライヴ盤(1949年5月1日、管弦楽ーオランダ放送フィル)も遺されているが演奏、録音状態ともこのロスバウト盤の方が断然素晴らしい。特に第2楽章「ラルゲット」の演奏にうっとりさせれてしまうだろう。彼女の名盤として称されるイッセルシュテット&北ドイツ放送響とのブラームスの協奏曲(1948年ライヴ録音)と並ぶ名演と云っていいだろう。尚、この「hänsller盤」にはロスバウト&南西ドイツ放送響との1961年6月スタジオ録音のベートーヴェン「交響曲第8番」がカップリングされておりこちらも大変貴重な音源で録音も大変良好だ。

 

 


「トスカニーニ&NBC響」 ライヴ盤から

2013-01-11 15:13:44 | 管弦楽曲

 先に「英dell'Arte」レーベルからストコフスキーのCDリマスター盤を取り上げたが今日は同レーベルよりアルトゥーロ・トスカニーニのライヴLP盤を紹介したい。写真はその1985年にリリースされたトスカニーニ&NBC交響楽団の放送音源ライヴ盤からの1枚である。(英dell'Arte-DA9014) 収録された作品はチャイコフスキー/幻想序曲「ロメオとジュリエット」(1953年3月21日録音)、交響幻想曲「テンペスト」(1944年3月12日録音)、ムスルグスキー/歌劇「ホヴァーンチナ」前奏曲(1953年12月13日録音)、リャードフ/「キキモラ」(1952年7月26日録音)の4曲である。このうち「テンペスト」のみ「ニューヨーク8Hスタジオ」における放送収録で他は全てカーネギー・ホールにおけるコンサート・ライヴ録音で聴衆の拍手入りである。全てモノラル録音だが音質はこの時代のものとしては良好で演奏もまずまずといったところ。またトスカニーニの「テンペスト」はこれが現在のところ唯一の音源か??