私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

懐かしい「10インチLP」からーフィルクスニーのベートーヴェン「皇帝」

2012-07-31 21:57:51 | 協奏曲

 今日は久しぶりに懐かしい10インチLP盤(25cmLP)からスロヴァキア出身の名ピアニスト、ルドルフ・フィルクスニー(Rudolf Firkusny/1912~1994)のベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番変ホ長調<皇帝>」を取り上げてみたい。

  写真はフィルクスニーがウィリアム・スタインバーグ&ピッツバーグ交響楽団と1957年10月、「米キャピトル」にステレオでレコーディングしたその国内盤10インチ・ステレオ盤(東芝/5SC5010)である。 筆者の記憶では1965,6年の発売だったと思う。因みに当時の25cm盤価格はモノラル盤が1,000円、ステレオ盤が1,300円だった。名匠アルトゥール・シュナベールに師事したフィルクスニーはヨーロッパで演奏活動後をアメリカに渡りアメリカ主要オーケストラと共演、人気を博した。 スタインバーグとピッツバーグ響とは当時このほかブラームス「ピアノ協奏曲第1番」などの録音を遺している。このベートーヴェンの演奏も決して派手さはないが自然体の中にも重厚でスケール感ある演奏が魅力的だった。

 彼はその後、同曲を「コンサート・ホール」にルドルフ・ケンペ&ベルリン・フィルと再録音(1964年)、さらに「英デッカ」にもユリ・シーガル&ニュー・フィルハーモニア管弦楽団と1973年に3回目の録音を行っている。 これらの録音歴からも彼はこの作品を得意としていたことが頷ける。

 

 

 

  

  

  

 

 


マルティノン、「シカゴ響」音楽監督時代の名盤から 

2012-07-30 13:44:29 | 管弦楽曲

 ビゼーの名曲、「アルルの女」(組曲版)についてはこれまでに数々の愛聴盤を取り上げたと思うがジャン・マルティノンがシカゴ響音楽監督時代に録音したレコードも忘れることができない演奏なので今回付け加えておきたい。

 写真のLPレコードは1980年に「RCAゴールド・シール・シリーズ」として再リリースされた国内盤である。(RCL-1037/ステレオ) 因みにこのシリーズはシャルル・ミュンシュ&ボストン響やフリッツ・ライナー&シカゴ響などの1950年代から60年代初頭にかけての名録音を核にした廉価盤シリーズであった。 マルティノンはライナーの後を継ぎ1963年から68年まで「シカゴ交響楽団」の音楽監督を務めた。この「アルルの女」は音楽監督終盤期に録音された「交響曲ハ長調」(ビゼー)と並び彼の名盤としての評価は高い。今聴いても第2組曲終曲「ファランドール」のコーダにおける強烈なアッチェランドは圧巻だ。

 


バルビローリ、ラスト・スタジオ・レコーディング 「英雄の生涯」

2012-07-29 19:50:19 | 管弦楽曲

  サー・ジョン・バルビローリ(1899~1970)のR.シュトラウスというとその遺された録音の数も少ないのですぐにイメージが湧いてこないかもしれない。 今日紹介するロンドン交響楽団との「英雄の生涯」は1969年9月に行われた彼のラスト・スタジオ録音と思われる。 当時、彼はこの録音と並行して同響とのコンサートでもこの作品をプログラムに取り上げている。このライヴ演奏も「BBC放送録音」のライブラリーからCD化されている。 写真のLPレコードは追悼盤として1970年12月に発売された国内初出盤である。(東芝ーAA8723) 実に悠々とした演奏で演奏時間も50分を超えジックリと聴かせている。 彼は当時の「ニュー・フィルハーモニア管弦楽団」と1970年8月に来日が予定されていたが来日直前の死により「幻」となったことは今も忘れることができない。

 

 


ケンペのブラームス「ドイツ・レクイエム」 (1955年録音)

2012-07-28 00:28:16 | 声楽曲

 ルドルフ・ケンペがベルリン・フィルと1955年に録音したブラームス「ドイツ・レクイエム」は陰に隠れた名盤である。当時ケンペはバリトンに若きディートリヒ・フィッシャー=ディースカウを起用し並行してマーラーの歌曲「「なき子をしのぶ歌」を録音、これらは彼のベルリン・フィル録音の第1弾だった。 因みにその後ベルリン・フィルとのレコーディングは1960年まで続いた。

 写真のCDは1993年に「EMI・REFERENCES」シリーズとして再リリースされたものである。モノラル録音で時代を感じさせる音質だが演奏の質は高い。バリトンのディースカウも然ることながらソプラノのエリザベート・グリュンマーの清楚な声にうっとりさせられる。また歴史ある「聖ヘドヴィヒ大聖堂合唱団」(ベルリン)の見事なアンサンブルにも注目したい1枚である。 

 写真ーEMI CLASSICS CDH 7647052 (1955年6月、イエス・キリスト教会、ベルリン モノラル録音)

 

 


シューマン、 オラトリオ「楽園とペリ」 (ライヴ盤)

2012-07-26 22:29:47 | 声楽曲

 ロベルト・シューマンのオラトリオ「楽園とペリ」作品50は国内で生の演奏を聴く機会はほとんどない。 この作品はシューマンが31歳の1841年から台本の着手に取り掛かり2年後の1843年の夏に楽曲は完成されている。 作品は3部構成からなる演奏時間約100分を要する長大なものである。因みに作品の題材はアイルランドの詩人トマース・モアの詩集「ララ・ルーク」の「楽園とペリ」からとっている。

 過去にはジュリーニ、ガーディナー等の名盤が存在したが今回紹介する写真のアルミン・ジョルダン指揮スイス・ロマンド盤は1988年10月、ジュネーヴのヴィクトリア・ホールにおけるライヴ盤である。 初出は「仏エラート」からリリースされていたものと同音源と思われるが写真のCDはスイスの「CASCAVELLE」から再リリースされたものである。(VEL3110/2CD) ジョルダンはこの美しいシューマンのオラトリオを見事にたおやかに振っている。 録音も大変素晴らしい。

 

 

 


ワルター 「演奏の誕生」~モーツアルト 交響曲第36番「リンツ」

2012-07-24 17:47:13 | 交響曲

 ワルター「演奏の誕生」と題されたこの写真の2枚組LPはレコード3面に渡りモーツアルト/交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ」のリハーサル風景が収められた興味深いものだった。 もちろん第4面には本番の全曲演奏が記録されている。 ワルターのリハーサル風景を収録したレコードは数多く出ているのでそれほど珍しいものではないがLP3面に渡り約90分近いプローベが聴けるレコードは他にない。

 この録音は1955年4月26日・28日の両日に米東海岸の「コロムビア交響楽団」との演奏である。モノラル録音ではあるが1960年のステレオ再録音盤に優るとも劣らない演奏である。何でもこのリハーサル録音は当初ワルター本人に無断にレコーディングが進められレコード化にあたり許可を求めたところすんな了承されたとのエピソードもある。このあたりは彼の大らかさも窺え知るところである。 写真のLPは1979年に当時の「CBSソニー」からリリースされた(25AC658-9)もので因みに国内初出盤はこの録音の翌年1956年に「日本コロムビア」からリリースされている。


ミュンシュ&ボストン響 チャイコフスキー「悲愴」 - (LP盤)

2012-07-23 10:43:19 | 交響曲

 昨年すでにミュンシュ&ボストン響とのチャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」(1962年ステレオ録音)については「CD」で紹介済みだが先日LPレコードを整理中にこのオリジナルLP(写真)が出てきたので改めて紹介したいと思う。 オリジナル盤といってもこれはちょと珍しい「RCA Victor」のスペイン盤である。 しかしジャケット・デザインもレコード番号も「米RCA」のオリジナル番号「LSC2683」が使用されている。 またジャケット右上に記された当時RCAが開発した新方式のステレオ録音ー「DYNAGROOVE(ダイナグルーヴ)」の文字が懐かしい。

 今回、改めてCDとこのLPを比較して聴いてみたがLP盤の埃とかすかなキズによるノイズは仕方ないがLPも結構味のある音で楽しめた。 当時の「RCA」のステレオ・レコードには先の新方式による「ダイナグルーヴ」の文字がジャケット、レーベルに印字されていたと思うが今改めて振り返ればこれも「コマンド・35mmマグネチック・フィルム録音」と並び1960年初頭の画期的なステレオ録音の進歩、いわば「エポックメーキング」だったのだろう。


W.スタインバーグ - 「コマンド・クラシックス」録音第1弾

2012-07-22 12:14:22 | 交響曲

(コマンド・クラシックス/国内盤キングーSCY3004)

  35mmマグネチック・フィルムを使用した「米コマンド・レーベル」のLPは以前にもウィリアム・スタインバーグ&ピッツバーグ交響楽団で紹介してきたが今回はその第1弾シリーズとして1961年に録音されたラフマニノフ「交響曲第2番ホ短調作品27」を取り上げてみたい。 写真のLPは1962年に「キング・レコード」から発売されたその国内初出盤である。

 スタインバーグはこの作品をモノラルで1954年に同楽団と「米キャピトル」に録音していたがこの「コマンド」録音はステレオによる再録音であった。 演奏そのものは第4楽章における大胆なカットがあることなど旧盤との違いはほとんどないが35mm幅のマグネチック・フィルム録音ということもありダイナミック・レンジが広がったことが一番の特徴だった。当時はまだモノラル録音からステレオ録音への移行時期でもあったのでこのLPを聴くと今以上に新鮮さを強く感じた思い出がある。 また筆者がラフマニノフの「交響曲第2番」のレコードを最初に聴いた1枚であった。 このサイケデリック調のジャケット・デザインにも強烈に惹きつけられた。

 


バッハ「ミサ曲 ロ短調」ーお気に入りライヴ盤

2012-07-21 13:46:01 | 声楽曲

(FABIAN RECORDS:CD 6115 / 2CD)

 今日はバッハ「ミサ曲 ロ短調BWV 232」の写真のお気に入りライヴ盤を紹介したい。 このCDは「Fabian Records(ファビアン・レコーズ)」というオーストリアのマイナーレーベルからの1枚だがその演奏の素晴らしさに驚いた。演奏はこのCDで初めて知った「ARS ANTIQUA AUSTRIA(アルス・アンティカ・オーストリア)」という古楽器アンサンブルで指揮はRupert Gottfried Friberger(ルペルト・ゴットフリート・フリーベルガー)である。 ジャケットの紹介によればこの人は1951年リンツ生まれの指揮、作曲家、音楽学者でこのCDレーベルの主宰でもある。

 この録音はその活動拠点であるオーストリアの第3の都市リンツ近郊に位置する「シュレーグル聖堂」におけるライヴで2009年5月31の日曜日、つまり「聖霊降臨祭第1日目」に行われたコンサートである。 録音も会場のおごそかな雰囲気をよく捉えている。また演奏後の聴衆の拍手も結構長く収録されている。 尚、当日のコンサートでは「聖霊降臨祭」ということもあってかバッハの幻想曲「来たれ、聖霊、主である神」BWV651を演奏、続けて「ミサ曲」に流れこむという演出がなかなか魅力的である。もちろんこのCDにもカットなしで収録されている。

演奏:Emma Kirkby (ソプラノ)  Maria Erlacher (ソプラノ),Markus Forster (男性アルト),

      Daniel Johannsen(テノール) Andreas  Lebeda(バス) (合唱)バッハ=ヴォーカルアンサンブル・シュレーグル

   

  

      

      

 

 

 

 

 


クレンペラー&フィルハーモニア 「ベートーヴェン序曲選集」

2012-07-20 20:09:39 | 管弦楽曲

 ベートーヴェンの「序曲」を集めたレコード、CDは現在までにカラヤンをはじめ数々の名指揮者たちの録音がリリースされている。筆者の好きなカラヤン、コンヴィチュニー盤と並んでもうひとつ写真のクレンペラー盤を紹介したい。 このLPは今からかれこれ半世紀近く前に発売されたものだがジャケット・デザインも思い出深い1枚である。(国内盤ー東芝AA-7364/ステレオ)

 録音は1960年ごろと推定されるが発売当時から演奏の誉れも高く定評があった。このレコードにはベートーヴェンが書いた全11曲の「序曲」作品から「コリオラン」・「プロメトイスの創造物」・「エグモント」・「シュテファン王」・「献堂式」の5つが収められている。 いずれもクレンペラーらしくズッシリとし重量感ある演奏だがとりわけ「コリオラン」と「エグモント」は何度聴いても聴き応え充分、その完成度は高い。録音も良好。