今日は久しぶりに懐かしい10インチLP盤(25cmLP)からスロヴァキア出身の名ピアニスト、ルドルフ・フィルクスニー(Rudolf Firkusny/1912~1994)のベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番変ホ長調<皇帝>」を取り上げてみたい。
写真はフィルクスニーがウィリアム・スタインバーグ&ピッツバーグ交響楽団と1957年10月、「米キャピトル」にステレオでレコーディングしたその国内盤10インチ・ステレオ盤(東芝/5SC5010)である。 筆者の記憶では1965,6年の発売だったと思う。因みに当時の25cm盤価格はモノラル盤が1,000円、ステレオ盤が1,300円だった。名匠アルトゥール・シュナベールに師事したフィルクスニーはヨーロッパで演奏活動後をアメリカに渡りアメリカ主要オーケストラと共演、人気を博した。 スタインバーグとピッツバーグ響とは当時このほかブラームス「ピアノ協奏曲第1番」などの録音を遺している。このベートーヴェンの演奏も決して派手さはないが自然体の中にも重厚でスケール感ある演奏が魅力的だった。
彼はその後、同曲を「コンサート・ホール」にルドルフ・ケンペ&ベルリン・フィルと再録音(1964年)、さらに「英デッカ」にもユリ・シーガル&ニュー・フィルハーモニア管弦楽団と1973年に3回目の録音を行っている。 これらの録音歴からも彼はこの作品を得意としていたことが頷ける。