私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

ストラヴィンスキー 舞踊音楽「春の祭典」 (ピアノ版)

2014-04-03 12:05:34 | 器楽曲

 ストラヴィンスキー舞踊音楽「春の祭典」、ピアノ版演奏は通常2台4手ピアノによるものが一般的と思うが昨年リリースされた写真のCD,ジョルジュ・ブルーデルマッハーの演奏は演奏者自身編曲によるピアノ独奏版である。(仏Arts et SpectacleーASCD130501) フランスの個性派ピアニストとして知られるブルーデルマッハーは記憶に新しいところでは東日本大震災直後2011年4月に来日、この「春の祭典」を披露し聴衆を熱狂させた。因みにこのCD録音はそのおよそ2年後、2013年2月1日、パリ近郊の町セルジー・ポントワーズの「コンセルヴァトワール」でライヴ録音されたものである。彼の持ち味である即興的、個性的な響きに惹きつけられてしまう。またこのCDには同日演奏されたフランスの名ジャズ・ドラマー、ジョルジュ・パチンスキによる「祭典から戦いへ」もライヴ収録されておりパチンスキとの共演も聴きものである。こちらは30分あまりのジャズ即興演奏が楽しめる。

 

 

 

 


ダヴィッド・カドゥシュ - シューマン「ピアノ・ソナタ第3番ヘ短調」ほか

2013-10-27 13:40:16 | 器楽曲

 フランスの新進ピアニスト、ダヴィッド・カドゥシュの2009年12月にパリで行われたコンサート・ライヴ盤である。(仏Art Act-AR 003)彼は1985年ニース生まれの28歳、その優れたピアノ・テクニック、鋭い感性でこのシューマンのスケール感あるシューマンの「ソナタ第3番」を聴かせている。このソナタは初版の際「管弦楽を伴なわない協奏曲」(1836年)と云われたが後に「スケルツォ」を加えて「第3番」のソナタとなった。(改訂1853年)このCDにはフランス国立高等音楽院の学生メンバーで構成された「アルデオ弦楽四重奏団」と共演したシューマンの「ピアノ五重奏曲変ホ長調」(ライヴ)も収録されておりこちらも素晴らしい。今後の益々の活躍も期待したい。

 

 


「VOX」時代のブレンデルのレコードから

2013-01-04 15:20:22 | 器楽曲

 若きアルフレッド・ブレンデルの「米VOX」時代のレコードについてはモーツアルトやベートーヴェンのピアノ協奏曲を中心にこれまでに紹介済みだがまだ取り上げてないLPから写真の1枚をピックアップしてみた。 1969年発売の「日本コロムビア」の廉価盤、「ダイヤモンド1000シリーズ」のベートーヴェン三大ピアノ・ソナタ集ー「第8番ハ短調<悲愴>作品13」、「第14番嬰ハ短調<月光>作品27-2」、「第23番ヘ短調<熱情>作品57」を収めたものである。(写真/MS-1052-VX)

 ブレンデルは1960年代初頭に「米VOX」にステレオで最初のベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集録音を完成しておりこれはその中からのもの同シリーズではこのほか「第17番<テンペスト>」、「第21番<ワルトシュタイン>」、「第26番<告別>」(MS-1053-VX)、最後の3つのソナタ「第30番」・「第31番」・「第32番」(MS-1054ーVX)も発売された。現在では若きブレンデルを知る懐かしい1枚となっている。彼が日本で幅広く知られるようになったのはその後「フィリップス」と契約し2回目の全集録音に取り掛かった頃からではないだろうか。初来日もこの時代、1971年10月だった。筆者も来日初日、日比谷公会堂でのコンサートを聴いた。プログラムもオール・ベートーヴェンプロで最後に披露した壮大な「第29番変ロ長調作品106<ハンマークラヴィーア>」が印象的だった。

 


アルゲリッチのショパン/「ピアノ・ソナタ第2番」

2012-11-01 23:05:17 | 器楽曲

 アルゲリッチのショパン「ピアノ・ソナタ」については以前に1967年録音の「第3番ロ短調」を紹介したがこれは彼女の「ドイツ・グラモフォン」へのショパン・アルバム第1集だった。 今回は1974年録音のその「第2集」となるLP、「第2番変ロ短調<葬送>」ほかを収めたアルバムを取り上げてみたい。(写真/独グラモフォン 2530 530)

 彼女はこの「第2番」でもさらにスケール感あるダイナミックな演奏を聴かせている。いつも思うことだが彼女のテクニックな面はもちろんのこと聴き手を魅了させてしまう彼女独特の「カリスマ性」を感じてしまうのは私だけではないだろう。LP第2面に「アンダンテ・スピアナートと華麗なるポロネーズ作品22」・「スケルツォ第2番変ロ短調作品31」との組み合わせである。現在では先の「ソナタ第3番」も加えられCD化されている。

 


グールド、「ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ集」

2012-10-18 11:44:05 | 器楽曲

 グレン・グールドはベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集録音は果たさなかったが幸いにして「第4番」・「第11番」・「第19番」~「第22番」・「第24番~第29番」の計12曲を除く残りの20作品を1956年から79年にかけて録音した。写真のCDはそれらをまとめたもので最後の「30番」~「第32番」は1956年のモノラル録音である。(SONY CLASSICAL/88725412862) 国内盤はLPで1982年12月限定盤で確か「第12番」と「第13番」を除く18曲を「グールド追悼メモリアル盤」として当時の「CBS・ソニー」から最初にリリースされたと思う。

 これらの演奏を聴くと特に緩徐楽章を極端に遅く弾く彼の個性を改めて強烈に感じる。録音されなかった大曲の「第29番<ハンマークラヴィア」等どのようなアプローチを持って弾いたのか私個人として興味深かった人である。


ピアニスト時代のエッシェンバッハ - モーツアルト~「ピアノ・ソナタ」

2012-06-12 16:26:41 | 器楽曲

 クリストフ・エッシェンバッハのピアノが聴いてみたくなり久しぶりに「ドイツ・グラモフォン」のLPに針を下ろした。 彼はモーツアルトのピアノ・ソナタ全集録音を1960年代半ばから70年にかけ完成し現在でも彼のピアニスト時代の代表盤のひとつとなっている。

 写真(上)のLPは「ソナタ第12番ヘ長調K.332」・「第13番変ロ長調K.333」に「アンダンテK.616」・「キラキラ星変奏曲K.265」が収録されたDG国内盤(MG2110/国内初出盤はSLGM1288/1965年発売)、ジャケットに録音1964年7月とあるのでおそらく彼のDGデビュー盤ではないかと思う。彼のモーツアルトは派手な見えを切る演奏スタイルではないが作品に対する素直なアプローチ魅力的だ。 また相前後して求めた1967年5月録音の「ソナタ第10番ハ長調K.330」・「第11番イ長調K.331<トルコ行進曲つき」ほかを収録したLP(写真・下/DG国内盤SLGM1424)もまたピアニストとして若きエッシェンバッハの魅力が楽しめる。

 

 


「グスタフ・シュマール」の芸術

2012-03-20 12:14:25 | 器楽曲

 

今日紹介するLPも昨日に続き旧東独の「エテルナ」レーベルからの1枚でる。グスタフ・シュマール(Gustav Schmahl/1929~2003)はかつて旧東独を中心に活躍したヴァイオリンの名手であった。彼の録音はこの「エテルナ」に名盤が遺されているがこの写真のレーガー、ヒンデンミット、ストラヴィンスキーの作品を収録したアルバムも彼の魅力が充分にうかがい知ることができる。

 収録された作品はレーガー「前奏曲とフーガ イ短調」(1902/無伴奏)、ヒンデミット「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ作品31-1」(1924)、ストラヴィンスキー「ヴァイオリンとピアノのための協奏的二重奏曲」(1932)の3曲で普段はレコード、CDでしか耳にすることがない作品である。このLPもそんな興味もあり大昔にドイツで求めたものである。またストラヴィンスキーの「二重奏曲」でピアノを弾いているのはシュマールと同年代の東独出身の名ピアニスト「ギュンター・コーツ(Gunter Kootz/1929~  )である。このレコードでも二人の息の合った演奏が聴きものである。録音年代の記載がないので正確な録音年月は不明だがステレオ録音ということから推察すると1960年代後半ごろと思われる。録音も大変良好である。 (写真/ETERNA-825936 ステレオ)

 

 

 

 

 


グールドのベートーヴェン - ピアノ・ソナタ第30番~第32番

2012-02-11 02:32:06 | 器楽曲

 今日はまたグレン・グールドが遺したベートーヴェン「ピアノ・ソナタ」の録音から最後の3つのソナター「第30番」・「第31番」・「第32番」が聴きたくなった。この録音はデビュー盤バッハの「ゴルトベルク変奏曲」(1955年録音)に続く1956年6月のモノラル録音で彼の初のベートーヴェン録音でもあった。(写真)「ゴルトベルク変奏曲」のようにステレオ再録音はしなかったものの実に彼らしいユニークな解釈のベートーヴェンである。その後彼は断続的にベートーヴェンのソナタ録音を行ったが全集録音には至らなかった。最も彼自身にその意思もなかったようである。
 しかしこのベートーヴェンの後期最後の3つのソナタ録音は独自の自在なテンポ設定といい従来のベートーヴェン演奏の常道から外れた演奏スタイルが注目され彼の名声をより高めたアルバムだったことを思い起こす1枚だった。賛否両論ある彼のベートーヴェンだが私は特に最後の「第32番」が好きである。

ルプー ブラームス小品集

2012-01-02 19:18:09 | 器楽曲

 ルーマニア出身の名ピアニスト(1945年生まれ)ラドゥ・ルプー(Radu Lupu)もたびたびの来日で馴染み深いひとりである。彼の録音は英デッカレーベルを中心に数多くリリースされている。今回取り上げる「ブラームス小品集」(写真)の録音は1970年代デッカ録音初期のものである。このCDアルバムには「2つのラプソディ」作品79、「3つの間奏曲」作品117、「6つのピアノ小品」作品118、「4つのピアノ小品」作品119が収められている。なかでも「ラプソディ第1番」と「3つの間奏曲」は彼の「デッカ」デビュー録音ではなかったかと思う。このアルバムを聴きながら当時彼は「千人にひとりのリリシスト」と呼ばれていたことを思い起こした。彼の上品で透明感あるピアノが叙情性豊かにブラームスの魅力を引き出している。録音も秀逸。
 

 
 

グルードのシベリウス「3つのソナチネ」、「キュッリッキ」

2011-12-28 19:43:51 | 器楽曲

 写真のグレン・グールドが弾くシベリウスのピアノ作品集、「3つのソナチネ」と「3つの抒情的小品ーキュッリッキ」を収録したアルバムは彼のレパートリーとしても珍しい1枚だった。録音はグールドが44、5歳の1976年、77年にトロントで行われている。この国内盤LPレコードの初出は確か1978年だったと思う。
 シベリウスと云えば日本では交響曲やヴァイオリン協奏曲などの管弦楽作品がまだメジャーでまして器楽曲になるとほとんどマイナーなジャンルに入ってしまう。私もこのグールドのアルバムでシベリウスのピアノ曲に初めて接したひとりだった。とりわけ「キュッリッキ」ではグールドがシベリウスの抒情の世界を巧みに表現していることが感じとれる。因みにタイトルの「キュッリッキ」とはフィンランドの伝承叙事詩「カレワラ」で「レンミンカイネン」が略奪して妻にした女性の名前である。