私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

「今年、一番印象深かったコンサート」

2010-12-31 12:31:04 | コンサート雑感
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 2010年もうあとわずかで暮れようとしている。いつも思うことだが年をとるにつれて1年経つのが早く感じる。まさに「光陰矢の如し」である。
 さて今年も生のコンサートによく足を運んだが中でも筆者が一番印象的だったコンサートはやはり9月15日、パリの「サル・プレイエル(Salle Pleyel)」で聴いたパーヴォ・ヤルヴィ指揮、パリ管弦楽団によるシベリウスの「クレルヴォ交響曲」である。このコンサートについてはすでに9月20日のブログで紹介ずみだが今一度ふれてみたい。当日は「パリ管弦楽団」2010年ー11年シーズン開幕の初日に当たり会場の「サル・プレイエル」も華やかな賑わいを見せていた。(写真/サル・プレイエルー2010年9月15日、筆者撮影)しかもこのシーズンよりパリ管の音楽監督に就任したエストニアの首都タリン出身の指揮者パヴォ・ヤルヴィの披露公演ということで注目を集めたコンサートでもあった。プログラム前半がポール・デュカの舞踊音楽「ラ・ペリ」、後半がこのシベリウスの大曲「クレルヴォ交響曲」と聴きごたえ充分であった。特にシベリウスの演奏は筆者が期待したとおり素晴らしいものでソリストの二人の歌手ソイレ・イソコスキ(ソプラノ)、ユハ・ウーシタロ(バリトン)の美声もさることながらヤルヴィがレコーディングでも起用した母国「エストニア国立男声合唱団」の素晴らしいアンサンブルも見事だった。今でもその印象が筆者の頭に焼き付いている。
 実際、生の演奏会で心に残る素晴らしいものに出会える機会はそう多くはないが来年もこのような素晴らしいコンサートに出会えることを期待して新しい年を迎えたい。
 


11月「新日本フィル定期」-メッツマッハーのマーラー/交響曲第6番を聴く

2010-11-07 06:46:08 | コンサート雑感
 昨日(11/06)、インゴ・メッツマッハー(Ingo Metzmacher)が客演した「新日本フィル」の11月定期(トリフォニー・シリーズ)を聴いた。メッツマッハーはドイツ、ハノーファー出身、今年53歳の現在注目される指揮者のひとりであるが今回が「新日本フィル」の舞台に初登場とのことである。プログラムは今年生誕150年の記念の年を迎えたマーラーの交響曲第6番イ短調「悲劇的」が演奏された。
 筆者もどんな演奏になるのか期待を持って会場に足を運んだ。今回は当日が週末の土曜日に当たるためか14時開演のマチネーでのコンサートで個人的にもありがたかった。さて肝心な演奏であるが結論から述べると期待した通り筆者個人的には大変満足感のある素晴らしいものだった。先ず楽器配置であるが第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンを左右対称に置き、チェロ、コントラバスを舞台下手側に配置するスタイルであった。通常の配置よりもこの方がこの作品にはより効果的と考えたのであろう。また第2楽章から衝撃的な終楽章まで楽章間の間を置かず一気に演奏してしまうスタイルも興味深かった。筆者もこれまでにカラヤン、メータをはじめとして数々の世界の名指揮者によるこの作品の生演奏を耳にしてきたがこの演奏スタイルは初めてで驚いた次第である。第2楽章から第4楽章(終楽章)までを一気に演奏することで聴き手側も緊張感が持続され演奏に一心に集中できたことも利点だったかも知れない。また最近の演奏傾向では第2楽章「スケルツォ」、第3楽章「アンダンテ・モデラート」の順序を「マーラー協会」の最近の見解のように「第2楽章」、「第3楽章」を入れ替え「アンダンテースケルツォ」で演奏する指揮者も目立ちはじめたが彼は従来の順序で演奏していた。筆者もこの方がどちらかと言えばこの作品の全体の安定感をもたらし好感が持てると思う。また演奏終了後の一息置いた聴衆の盛大な拍手も余韻を盛り上げ素晴らしかった。
 来年2011年は「マーラー没後100年」に当たり「マーラー・イヤー」が続くことになる。
 

パーヴォ・ヤルヴィ、パリ管音楽監督就任初日公演を聴く

2010-09-20 02:11:43 | コンサート雑感
 一昨日、約2週間のフランス旅行から帰国した。今回は音楽鑑賞を目的ではなく「レール・パス」を利用した「鉄道周遊」を中心とした旅で北は「ノルマンディ」、「ブルターニュ」、南はグルノーブルを中心として「ローヌ・アルプ」の各地方をブラり途中下車の旅を楽しんだ。音楽では9月15日(木)パリの「サル・プレイエル(Salle Pleyel)」で「パリ管弦楽団」の2010/11年シーズンの初日のコンサートを鑑賞することができた。
 この公演は今シーズンよりこのオーケストラの音楽監督に就任した1962年エストニア、タリン生まれのパーヴォ・ヤルヴィ(父はネーメ・ヤルヴィ)が指揮する初日の記念すべきコンサートであった。プログラムの前半は近代フランスの作曲家ポール・デュカ(Paul Dukas/1865~1935)のペルシャの神話に出てくる仙女ペリを題材にした1幕ものの舞踊音楽「ラ・ペリ」、後半は彼が得意とするシベリウス「クレルヴォ交響曲作品7」である。
 筆者がもちろん注目したのはメインのシベリウスで彼はこの作品をすでに「ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団」首席客演指揮者時代の1997年に「ヴァージン・クラシックス」にレコーディングもしている。今回の演奏でもバックの男声合唱団にはレコーディングと同様母国の「エストニア国立男声合唱団」を起用していた。そのハーモニーの素晴らしさは言うまでもない。独唱陣にはソプラノにソイレ・イソコスキ(Soile Isokoski),バリトンにユハ・ウーシタロ(Juha Uusitalo)の現在世界的に活躍中の名歌手二人の美声に会場を埋め尽くした聴衆は酔っていた。当日はテレビ・カメラも入りその模様は収録されていたので後日日本での放も期待したい。
 会場の「サル・プレイル」も内部が改装され一段と雰囲気が明るくなった感じを受けた。筆者も演奏終了後の満足感と共にホテルへの帰途のパリの夜風が心地良かった。
(写真は当日のコンサート・プログラム)

「PMFオーケストラ」東京公演2009を聴く

2009-07-30 01:01:34 | コンサート雑感
 筆者は毎年この時期になると「PMFパシフィック・ミュージック・フェスティバル」の一環として開催される「PMFオーケストラ」東京公演に足を運んでいる。このフェスティバルも1990年に今は亡きレナード・バーンスタインの提唱で始まり今年、2009年は20回記念の節目を迎えた。会場の赤坂・サントリー・ホールも満員の聴衆で埋めつくした。
 記念すべき今年の東京公演の指揮を務めたのは1990年の第1回開催から2000年までPMFの芸術監督を務めたマイケル・ティルソン・トーマスであった。筆者は2000年の公演で彼が指揮するマーラーの大曲交響曲第3番ニ短調の演奏を同会場で聴いたが今回もメインのプログラムはマーラーで交響曲第5番嬰ハ短調を取り上げていた。この作品は5楽章で構成された交響曲だが第1楽章が「葬送行進曲」で続く第2楽章と密接なつながりを持たせている関係からも楽章間の間を置かず続けて演奏することがあるがティルソン・トーマスもそのように演奏していた。また第4楽章「アダージェット」と第5楽章「ロンド」も間をおかず振り全体としての緊張感が高まった名演となった。指揮者ティルソン・トーマスも以前にも増して一段と風格が備わっていた。演奏終了後の興奮した満員の聴衆からの怒涛のような拍手がそれをものがったていた。指揮者ティルソントーマスの満足げな笑顔が印象的だった。久しぶりに私も充分に満喫できた演奏会だった。
 (写真は20回を記念する「PMFパシフィック・フェスティバル」の公式プログラム)

ダニエル・ハーディング/新日本フィル#442定期公演を聴く

2009-03-07 22:31:54 | コンサート雑感
 昨晩(3/6)、ダニエル・ハーディング指揮・新日本フィルハーモニー交響楽団第442回定期公演を聴きに行った。ハーデイングについては昨日のブログで紹介したが期待の新鋭指揮者である。会場は新日本フィルのホーム・グラウンド「すみだトリフォニー大ホール」、プログラムはドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、ラヴェル「ラ・ヴァルス」、ベルリオーズ「幻想交響曲」とオール・フランスものであった。やはり私が注目したのは後半の「幻想交響曲」である。     今回まず驚いたことはハーディングのユニークな楽器配置で4台のハープを指揮台前の両脇に2台ずつ置いたことだ。(通常は2台のハープ舞台下手側に配置するのが一般的)私は今までに何回となく「幻想」の実演を聴いているが今回のような配置は初めてである。この作品においてハープが活躍するのは第2楽章「舞踏会」の華やかな場面のみなのでソロ的演奏を強調したかったのであろうか。とにかく興味深かった。ハーディングは割とテンポを速めにとる指揮者だがこの幻想交響曲ではじっくりとしたスタンスで曲を推し進めていたように感じた。第1楽章の提示部の反復、第4楽章「断頭台への行進」も前半の反復も楽譜どおり実行していた。またちょっと退屈になりがちな第3楽章「野の風景」も緊張感あふれる引き締まった演奏で時間を忘れて引き込まれていった。さすがに世界が注目を引く実力の持主ーハーディングを改めて実感できたコンサートであった。