私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

アバドのロッシーニ「オペラ序曲集」

2010-06-30 23:06:31 | 管弦楽曲
 イタリアの前期ロマン派オペラの筆頭作曲家ロッシーニ(1792~1868)のオペラ作品の全曲を生で聴く機会は少ないが有名な「ウィアリアム・テル」序曲をはじめとして数々のオペラ序曲はよくコンサートで演奏されている。彼の「オペラ序曲」はたとえオペラのストーリーを知らなくてもどれもが大変親しみやすく聴きやすい明快な音楽である。
 今日紹介する写真のクラウディオ・アバドが「ロンドン交響楽団」と1978年に「RCA」に録音したLPは私の愛聴盤でもある。彼はロッシーニこれ以前にも同オーケストラと{ドイツ・グラモフォン」に序曲集を録音している。さらに1989年には「ヨーロッパ室内管弦楽団」とも録音しており彼のロッシーニの「オペラ序曲集」には定評がある。
 今回取り上げる2度目の録音にあたる写真のLP(後にCD化)には「セミラーミデ序曲」・「絹はしご序曲」・「イタリアのトルコ人序曲」・」「イギリスの女王エリザベス序曲(セヴィリアの理髪師序曲)」・「タンクレーディ序曲」・「ウィリアム・テル序曲」の6作品が収録されている。因みに「イギリスの女王エリザベス」序曲は後に有名なオペラ「セヴィリアの理髪師」の序曲にそのまま転用されたため同一の作品である。演奏はさすがオペラ指揮者としての彼の鋭い感性と巧さが如実にうかがえる好演だ。
 

R.シュトラウス、初期管弦楽曲作品から交響的幻想曲「イタリアから」

2010-06-29 00:03:40 | 管弦楽曲
 リヒャルト・シュトラウス(Richard Strauss/1864~1949)の初期管弦楽作品から「交響的幻想曲ーイタリアから」作品16を取り上げてみたい。この作品はR.シュトラウスが当時ハンス・フォン・ビューローの後を継いだマイニンゲンの宮廷オーケストラの指揮者の職を辞し休養を兼ねて1886年イタリア旅行をした際の印象を「交響的幻想曲」としてまとめあげた管弦楽曲作品の初期の傑作である。作品は4つの楽章から構成されており各楽章にはそれぞれ「カンパーニャにて」・「ローマの廃墟にて」・「ソレントの海岸にて」・「ナポリ人の生活」という標題が付けられている。また第4楽章「ナポリ人の生活」の第一主題には有名なナポリ民謡「フニクリ・フニクラ」の旋律が現れる。
 筆者の愛聴盤は写真のLP、R.シュトラウスを得意としていたルドルフ・ケンペ(1910~1976)が晩年にドレスデン国立管弦楽団とレコーディングしたものである。彼は1970年から亡くなる1976年にかけてこのオーケストラとR.シュトラウスの管弦楽曲作品をほとんど録音しておりいずれも名盤として輝いている。彼の作品に対する素朴なアプローチが変に誇張されることなく自然体で聴き手の耳に伝わってくるところがなんとも魅力的である。
 

カラヤン美学の真髄ーR.ワーグナー「パルジファル」

2010-06-27 23:23:42 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 カラヤンの「パルジファル」は実に美しい演奏である。この大曲ーカラヤンの演奏で全曲を通しで聴くと約4時間半、聴き終えた後にひときわ彼の透明感のある美しい演奏に心地良さと共に不思議な魅力を感じてしまう。まさにこれこそが「カラヤン美学」の真髄なのだろう。写真のCD盤は1980年「ザルツブルク・イースター音楽祭」における舞台メンバーーと同一キャストで1979年12月から80年7月にかけてベルリン・フィルハーモニーザールにおいてスタジオ録音されたものである。因みにこの録音がカラヤン初のダジテル・ステレオ録音であった。
 アンフォルタス=ジョセ・ファン・ダム、ティトレル=ヴィクトール・フォン・ハーレム、グルネマンツ=クルト・モル、パルジファル=ペーター・ホフマン、クリングゾル=ジークムント・ニムスゲルン、クンドリ=ドゥニャ・ヴェイソヴィチ等々役者揃いだがそこにカラヤンのこの作品に対する緻密なアプローチが見事に成功しまさにこの「舞台神聖祝典劇」が持つ神秘的な世界を見事に築きあげている。
 

アンセルメの名盤ーファリャの舞踊音楽「三角帽子」

2010-06-26 01:31:46 | 管弦楽曲

 スペインを代表する近代作曲家のひとりマヌエル・デ・ファリャ(Manuel de Falla/1876~1946)の傑作バレエ音楽「三角帽子」全曲盤については以前に私の愛聴盤としてエンリケ・ホルダ指揮/ロンドン交響楽団、メッゾ・ソプラノ=バルバラ・ホーウィットのレコードを紹介したことがあると思う。しかしながらもう1枚としてこの作品の初演者でもあり作曲者ファリャとも交流があった巨匠エルネスト・アンセルメ(Ernest Ansermet/1883~1969)が手兵スイス・ロマンド管弦楽団と録音した名盤も忘れることはできないだろう。写真は「キング・レコード創業65周年特別企画」として今から数十年前に廉価盤CDとして限定発売されたものである。(KICC9235)演奏はさすがにアンセルメの本領が見事に発揮された作曲者ファリャが持つ「民族主義的音楽+印象主義的音楽」の世界を見事にダイナミックに表現した演奏である。
 全曲版にはメッゾ・ソプラノの独唱が加わるがこの録音では当時(1961年)まだ新鋭だったテレサ・ベルガンサが歌っている。特に国内おいてはこの作品の全曲版がコンサートで取り上げられる機会はほとんどないが聴きどころ3つの場面(隣人の踊り・粉屋の踊り・終幕の踊り)をアレンジした組曲版はよく演奏されアンセルメも1968年スイス・ロマンド管弦楽団との来日公演の折にも「組曲版」をプログラムに取り上げていたのが懐かしい。
 尚、このCDにはファリャのもうひとつのバレエ音楽の傑作「恋は魔術師」(メッゾ・ソプラノ/マリナ・デ・ガバレイン)1955年ステレオ録音も合わせて収録されている。
 



バレンボイム/ベルリン・フィルの「シューベルト交響曲全集録音」から

2010-06-23 17:55:34 | 交響曲
 ダニエル・バレンボイム(Daniel Barenboim/1942~ )がベルリン・フィルとCBSに初レコーディングを行ったのは1984年のことだった。まだ彼が「パリ管弦楽団」の音楽監督を務めていた時代である。彼が最初に取り上げたベルリン・フィルとの録音は得意とするベルリオーズの「幻想交響曲」、シューベルトの交響曲であった。
 シューベルトの交響曲は全集録音が進められ2年後の1986年に全曲録音が完成している。写真のLP盤は全集シリーズの第1号を飾った「第2番・第8(第7)番」がカップリングされたものである。(国内盤ーCBSソニー/28AC2108/デジタル・ステレオ録音/1986年発売)因みに現在では「第7番」で整理されている所謂「未完成交響曲」がこのレコードでは「第8番」で表記されている。演奏は特に「第2番」が素晴らしい。以前に紹介したカラヤン/ベルリン・フィルの全集盤(EMI)と共に私の愛聴盤になっている。「第2番」の演奏を例にとればカラヤンはどちらかと言えば第1楽章の序奏から鋭角的なスタンスでベルリン・フィルをドライヴしていくがバレンボイムは全体的にテンポを幾分遅めにとり第1楽章の序奏の部分もカラヤンの演奏に比較すると柔和さを感じさせるところが対照的で興味深い。バレンボイム42歳の時の録音で溌剌とベルリン・フィルをドライヴしていくところもなかなか魅力的な1枚である。


私の好きなカラヤン最円熟期ー1970年代後期の録音から

2010-06-22 22:43:07 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 ヘルベルト・フォン・カラヤンの1970年代後期から80年代前期にかけての録音は彼の最円熟期の名盤ぞろいである。とりわけベルリン・フィルとそれぞれ第2回目の全集録音にあたるベートーヴェンとブラームスの交響曲の録音は典型的なものであろう。
 写真のLP盤は1977年から78年にかけてレコーディングされた「ブラームス交響曲全集」から分売された「第3番」に「悲劇的序曲」がカップリングされた1枚である。これは私が好んでよく聴く彼のブラームスの1枚でもある。この時期のカラヤンはレコード録音にも最も精力的に力を注いでいた。従って演奏も最も充実したものになっておりこのブラームスも例外ではない。その演奏のスケール感、ベルリン・フィルの奥行きのある響きなどどれもが完成度の高いものになっている。またカップリングされた「悲劇的序曲」もカラヤンには確かこの録音を含めて4種類の録音があると思うがこの演奏が一番「劇的」で彼らしい魅力を感じさせる。

作曲家オフチニコフ、指揮者デビュー盤 - チャイコフスキー「二大標題管弦楽曲」

2010-06-21 00:43:36 | 管弦楽曲
 旧ソヴィエト時代の「メロディア・レーベル」には興味深い録音が多い。今日取り上げるLPレコードも筆者が好きな1枚である。写真のLPは1983年に「日本ビクター」から発売された「メロディア原盤」のヴィヤチェスラフ・オフチニコフ(Vyacheslav Ovchinnikov)がモスクワ放送交響楽団を指揮したチャイコフスキーの「幻想的序曲/ロメオとジュリエット」と「幻想曲/フランチェスカ・ダ・リミニ」である。(VIC28100)
 指揮をしているオフチニコフは1936年生まれの代表作として映画音楽「戦争と平和」はじめとする作曲家として有名な人だがこのレコードは彼の指揮者としてのデビューを飾った1枚であった。録音は1980年で今から30年も前のことである。このレコードに針をおろした時の筆者の第一印象はそのド迫力の演奏であった。ロシアのオーケストラの特徴でもある金管群の強烈さと重厚な響きに圧倒された。オーケストラが「放送オーケストラ」ということもありそのアンサンブルの美しさは言うまでもないことだがさらにパワフルな迫力が加わり聴きごたえがある。録音も申し分ない。

「1981年ソヴィエト国際音楽祭」ライヴ盤から

2010-06-19 23:32:14 | 協奏曲
 本日取り上げたいLPレコードは写真の旧ソヴィエト時代にモスクワで開催された「ソヴィエト国際音楽祭1981」からのライヴ盤である。(メロディア/C10-17527-8)このレコードは若きマリス・ヤンソンス(Mariss Jansons/1943~ )とウラディミール・フェドセイエフ(Vladimir Fedoseyev/1932~ )がモスクワ放送交響楽団を指揮したものでヤンソンスはフランス6人組の一人ジョルジュ・オーリック(George Auric/1899~1983)の珍しい作品「序曲(Ouverture)」、一方のフェドセイエフは昨日もふれたイギリスの近代作曲家ウィリアム・ウォルトン(William Walton/1902~1983)の傑作「ヴァイオリン協奏曲」をソリストにグリゴリー・ジースリン(Grigori Zhislin/1945~ )を迎えての演奏が収録されている。
 どちらも大変興味深い演奏であるが特に注目したいのは後者ウォルトンの「ヴァイオリン協奏曲」である。この作品は名ヴァイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツの委嘱を受けて作曲されたもので1939年に完成している。曲想はメラコリックで抒情性に富んだもので聴きやすい。
 このレコードのソリスト、ジースリンは日本では馴染みが薄いが旧レニングラード(現、サンクトペテルブルグ)出身でヴィオラも得意とした人で1967年の「パガニーニ国際コンクール」で見事優勝した経歴を持っている。ライヴ録音だけに聴衆の熱気の中に緊張感ある引き締まった演奏が魅力的に感じる。演奏後の聴衆の拍手もカットされず収録されておりライヴの雰囲気をさらに盛り上げている。

若きプレヴィンのロンドン響との「管弦楽曲小品集」

2010-06-18 22:09:39 | 管弦楽曲
 今日は若きアンドレ・プレヴィンが1970年代前半に英EMIにレコーディングした写真の「ANDRE PREVIN IN CONCERT」(英EMI/ESD7011)と題する「管弦楽小品集」のLPを取り上げてみたいと思う。このLPが発売されたのは今から30年以上も前のことだがベートーヴェン、チャイコフスキーをはじめとする管弦楽曲小品を中心とした名曲が8作品収録されている。これらの選曲のセンスも良いがとりわけここでは二人のイギリスの作曲家、ヴォーン・ウィリアムズ(Vaughan Williams/1872~1958)の「グリーンスリーヴスのよる幻想曲」とウィリアム・ウォルトン(William Walton/1902~1983)の序曲「ポーツマス岬」に注目したい。
 前者は日本でも昔から親しまれている古いイギリス民謡「グリーンスリーヴス」をテーマにした作品でヴォーン・ウィリアムズは歌劇「恋するサー・ジョン」の第4幕の間奏曲にもこの旋律を用いている。プレヴィンの音楽的センスが光る演奏で筆者は1971年4月彼がこのロンドン交響楽団と初来日した際アンコール曲として演奏した同曲が今でも印象に残っている。また後者の序曲「ポーツマス岬」はウォルトン23歳(1925年)の時の作品で翌1926年、「チューリッヒ国際現代音楽祭」で初演されている。タイトルの「ポーツマス岬」はトーマス・ローランドソン(Thomas Rowlandson/1756~1827)の絵画からとられている。作曲者ウォルトンが持つロマンティシズムの中に強烈なリズムが印象的な作品でここでもプレヴィンの鋭い感性が冴え渡った演奏を聴かせている。







カラヤンの英デッカへの初録音ーベートーヴェン/交響曲第7番

2010-06-17 21:54:50 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 戦後のカラヤンのレコード録音はフィルハーモニア管弦楽団と英コロムビアのレコーディング・プロデューサー=ウォルター・レッグ、レコーディング・エンジニア=ダグラス・ラーターを中心に進められていくが1959年に一つのカラヤンのレコード録音のエポック・メーキングを迎えることになる。それはこの年の3月から英デッカのレコーディング・プロデューサ=ジョン・カルショウ、レコーディング・エンジニア=ゴードン・バリーと共にウィーン・フィルとのステレオ録音が開始された。さらに並行してベルリン・フィルとドイツ・グラモフォンとの戦後初録音(R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」)も行っている。
 話を本題に戻し「英デッカ」との最初の録音は写真のLP-ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調作品92であった。(写真は国内盤で当時は「日本ビクター」から発売ーSRA2022)録音はウィーンのソフィエン・ザールで行われている。カラヤンとウィーン・フィルによるジョン・カルショウとゴードン・バリー等とのレコーディングは1965年3月まで続いた。因みにこのコンビによる最終録音はチャイコフスキーのバレエ音楽「白鳥の湖」組曲と「眠りの森の美女」組曲であった。(このコンビでヴェルデイ「アイーダ」全曲録音をはじめとするオペラ全曲盤を含み全部で20点のカラヤン/ウィーン・フィルのレコードがリリースされた。)これらのレコードは現在ではCD化され不滅の名盤としてその輝きは失っていない。