私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

ジェラール・スゼー、「デュパルク歌曲集」 (フィリップス、ステレオ録音)

2015-11-17 13:25:03 | 声楽曲

 久々に取り上げた写真のLPレコードはフランス近代歌曲の名手といわれたジェラール・スゼー(Gérard Souzay/1918~2004)の「デュパルク歌曲集」である。スゼーのデュパルクの歌曲集録音はこれ以前にモノラル録音(伴奏:ジャクリーヌ・ボノー)があるがこちらは伴奏者にダルトン・ボールウィンを迎え1960年前後にステレオ録音されたものである。(写真/フィリップス国内盤SFL-7673 ,1963年リリース)レコードにはデュパルクの代表作ボードレールの詩による「旅へのいざない」を含む12作品が収録されている。スゼーの芸風は派手さはなかったが持ち味の格調高い美声と共に彼の繊細な感性がこの録音からも充分に堪能できると思う。尚、彼は70年代初頭にも同コンビにより「EMI」にステレオ再録音をのこしており彼の「デュパルク」への関心の高さがうかがえる。

 

 

 

 

 

 

 


ホグウッドのモーツァルト「レクイエム」

2013-06-05 20:49:03 | 声楽曲

  モーツァルトの「レクイエム」、今や研究も進み従来の「ジュスマイヤー版」のみならず「バイヤー版」はじめ異なる「版」で演奏、録音されている。 写真のLP、クリストファー・ホグウッド指揮「エンシェント室内管弦楽団」ほかによるr演奏もその当時新しい「モーンダー版」を用いた録音で発売当時(1984年)話題を呼んだ1枚だった。この版では大胆にも「サンクトゥス」・「ベネディクトゥス」が取り除かれているほか様々な工夫が見られ興味深い。つまりジャケットの解説によるとジュスマイヤーの手による箇所はカットしモーツァルト手法による「レクイエム」の再現に拘っている。 (写真/国内盤オワゾリールーL28C1795/1983年録音)

 

 

 


スヴェン=ダヴィッド・サンドストレムのモダンな「メサイア」

2012-12-10 12:41:39 | 声楽曲

 「メサイア」といえばこのクリスマスの時期に世界的に演奏されるヘンデルの作品を思いつくが今日は写真のCD、スウェーデンの現代作曲家スヴェン=ダヴィッド・サンドストレム(1942~ )のモダンな「メサイア」(2009)を紹介したいと思う。作品はヘンデルと同様に3部構成で演奏時間はヘンデルほどではないが約80分を要する大曲である。 しかしサンドストレムの作風はロマン的で美しく大変聴きやすくこの2枚組みCDを時間を忘れ聴き終えてしまう。彼は宗教曲ばかりではなく室内楽をはじめ多種多彩におよぶ作品を数多く手がけている。 このCDの演奏は2009年9月6日ー7日にシュトゥットガルト、リーダーハレのベートーヴェンザールにおけるライヴ録音で指揮は国際的バッハ研究家でも知られるヘルムート・リリング、演奏は「フェスティバル・アンサンブル・シュトゥットガルト」によるもので録音も大変素晴らしいく独唱者(4人※)のアンサンブルも見事である。(独Carus 83,453 /2CD)

※独唱者:ロビン・ヨハンセン(ソプラノ)、ロクサーナ・コンスタンチネスク(アルト)、ティモシー・ファロン(テノール)、マイケル・ナギ(バス)

 

 


ヨッフム、ブルックナー「ミサ曲第2番ホ短調」

2012-10-30 22:45:42 | 声楽曲

 ブルックナーのオーソリティーであったオイゲン・ヨッフムは「ドイツ・グラモフォン」にその主要な宗教曲の大半を録音している。以前に「ミサ曲第1番ニ短調」を紹介したと思うが今回は写真の「第2番ホ短調」を取り上げてみたい。

 この「第2番」は独唱者を伴わず混声合唱と木管と金管の管楽編成をとる。1866年に第1稿を完成したが10年後の1876年に第2稿、さらに1882年に第3稿が出版されている。ヨッフムの演奏も1882年第3稿に基づいている。合唱はバイエルン放送合唱団、管弦楽はバイエルン放送交響楽団である。レコーディングは1971年2月、ミュンヘンのヘルクレスザールで行われている。「第1番」・「第3番」と同様、ヨッフムの指揮は説得力がある。(写真/独グラモフォンー2530 139)

 


ミサ典礼、式次第を収録したヨッフムのモーツアルト「レクイエム」

2012-09-25 23:20:07 | 声楽曲

 今回紹介する写真のCDはモーツアルト生誕200年を翌年に控え1955年12月、ウィーンの「シュテファン大聖堂」において典礼様式でオイゲン・ヨッフム指揮より演奏された貴重なライヴ録音である。 したがって、音楽ミサのほかに儀式の始まりを告げるオルガンの前奏をはじめ大聖堂助任司祭ペナル卿の司式のもとに行われたミサ全体が収録されている。管弦楽はウィーン交響楽団、合唱=ウィーン国立歌劇場合唱団、独唱陣はソプラノ=イルムガルト・ゼーフリート、アルト=ゲルトルーデ・ピッツィンガー、テノール=リヒャルト・ホルム、バス=キム・ボルイの面々である。 1955年の録音なのでモノラルだがこのようにミサ典礼の模様を通して聴くレクイエムも厳かで荘重な気分が味わえる。

 写真のCDは1991年(モーツアルト没後200年)にリリースされたDG国内盤POCG2435でLPレコードとしては1970年ごろ「アルヒーフ・レーベル」からたしか2枚組みで出ていたのを記憶している。

 


ケンペのブラームス「ドイツ・レクイエム」 (1955年録音)

2012-07-28 00:28:16 | 声楽曲

 ルドルフ・ケンペがベルリン・フィルと1955年に録音したブラームス「ドイツ・レクイエム」は陰に隠れた名盤である。当時ケンペはバリトンに若きディートリヒ・フィッシャー=ディースカウを起用し並行してマーラーの歌曲「「なき子をしのぶ歌」を録音、これらは彼のベルリン・フィル録音の第1弾だった。 因みにその後ベルリン・フィルとのレコーディングは1960年まで続いた。

 写真のCDは1993年に「EMI・REFERENCES」シリーズとして再リリースされたものである。モノラル録音で時代を感じさせる音質だが演奏の質は高い。バリトンのディースカウも然ることながらソプラノのエリザベート・グリュンマーの清楚な声にうっとりさせられる。また歴史ある「聖ヘドヴィヒ大聖堂合唱団」(ベルリン)の見事なアンサンブルにも注目したい1枚である。 

 写真ーEMI CLASSICS CDH 7647052 (1955年6月、イエス・キリスト教会、ベルリン モノラル録音)

 

 


シューマン、 オラトリオ「楽園とペリ」 (ライヴ盤)

2012-07-26 22:29:47 | 声楽曲

 ロベルト・シューマンのオラトリオ「楽園とペリ」作品50は国内で生の演奏を聴く機会はほとんどない。 この作品はシューマンが31歳の1841年から台本の着手に取り掛かり2年後の1843年の夏に楽曲は完成されている。 作品は3部構成からなる演奏時間約100分を要する長大なものである。因みに作品の題材はアイルランドの詩人トマース・モアの詩集「ララ・ルーク」の「楽園とペリ」からとっている。

 過去にはジュリーニ、ガーディナー等の名盤が存在したが今回紹介する写真のアルミン・ジョルダン指揮スイス・ロマンド盤は1988年10月、ジュネーヴのヴィクトリア・ホールにおけるライヴ盤である。 初出は「仏エラート」からリリースされていたものと同音源と思われるが写真のCDはスイスの「CASCAVELLE」から再リリースされたものである。(VEL3110/2CD) ジョルダンはこの美しいシューマンのオラトリオを見事にたおやかに振っている。 録音も大変素晴らしい。

 

 

 


バッハ「ミサ曲 ロ短調」ーお気に入りライヴ盤

2012-07-21 13:46:01 | 声楽曲

(FABIAN RECORDS:CD 6115 / 2CD)

 今日はバッハ「ミサ曲 ロ短調BWV 232」の写真のお気に入りライヴ盤を紹介したい。 このCDは「Fabian Records(ファビアン・レコーズ)」というオーストリアのマイナーレーベルからの1枚だがその演奏の素晴らしさに驚いた。演奏はこのCDで初めて知った「ARS ANTIQUA AUSTRIA(アルス・アンティカ・オーストリア)」という古楽器アンサンブルで指揮はRupert Gottfried Friberger(ルペルト・ゴットフリート・フリーベルガー)である。 ジャケットの紹介によればこの人は1951年リンツ生まれの指揮、作曲家、音楽学者でこのCDレーベルの主宰でもある。

 この録音はその活動拠点であるオーストリアの第3の都市リンツ近郊に位置する「シュレーグル聖堂」におけるライヴで2009年5月31の日曜日、つまり「聖霊降臨祭第1日目」に行われたコンサートである。 録音も会場のおごそかな雰囲気をよく捉えている。また演奏後の聴衆の拍手も結構長く収録されている。 尚、当日のコンサートでは「聖霊降臨祭」ということもあってかバッハの幻想曲「来たれ、聖霊、主である神」BWV651を演奏、続けて「ミサ曲」に流れこむという演出がなかなか魅力的である。もちろんこのCDにもカットなしで収録されている。

演奏:Emma Kirkby (ソプラノ)  Maria Erlacher (ソプラノ),Markus Forster (男性アルト),

      Daniel Johannsen(テノール) Andreas  Lebeda(バス) (合唱)バッハ=ヴォーカルアンサンブル・シュレーグル

   

  

      

      

 

 

 

 

 


バルトーク/「カンタータ・プロファーナ」

2012-06-24 22:13:03 | 声楽曲

 今日はバルトークの「カンタータ・プロファーナ」という声楽作品を紹介したい。この作品は1930年、彼が49歳の時に作曲された世俗的カンタータで「魔法にかけられた牡鹿たち」という副題がついている。内容は当時のハンガリーの独裁政権ミクローシュ・ホルティに対する抗議を表現したものと解されている。 テキストはルーマニア、ハンガリーを中心に民間伝承された叙事詩を元に作曲者自身がまとめあげている。副題のとおり魔法にかけられ鹿に変えられた9人の兄弟の物語である。

 全体は3部構成からなり切れ目なく続けて演奏される。三管編成のオーケストラに混声四部の合唱、それにテノールとバス(バリトン)の独唱が加わる。演奏時間は約20分と短い作品だが全体を通じて調性的な旋律が美しい。写真のLPはハンガリーの名指揮者ジョルジ・レヘル(1926~1990)が当時、首席指揮者をつとめていた「ハンガリー放送交響楽団」と1963年に録音したものである。また合唱には「ハンガリー放送合唱団、ふたりの独唱者は当時の「ブダペスト国立歌劇場」の専属歌手、ヨーシェフ・レーティ(テノール)、アンドラーシュ・ファラゴー(バス)があたっている。

 尚、このLPの第1面及び第2面(Band-1)には同じくバルトークの舞踊音楽「中国の不思議な役人」(全曲)がヤーノシュ・フェレンチク指揮ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団、ハンガリー放送合唱団の演奏(1962年録音)が収められている。 因みにハンガリー出身のこの二人の指揮による録音はハンガリー・レーベル、「フンガロトン」に数多く遺されているが「ドイツ・グラモフォン」にはこの1960年代初頭の録音がわずかにあるのみである。(写真/DG国内盤1966年発売SLGM1281/ステレオ)

 

 


スヴェトラーノフ&ソヴィエト国立響ほかによるラフマニノフ/詩曲「鐘」

2012-05-14 19:43:11 | 声楽曲

  ラフマニノフが1913年に書いた詩曲「鐘」作品35はソプラノ、テノール、バリトンの独唱に混声合唱を伴う4楽章構成の云わば合唱交響曲である。歌われるテキストはエドガー・アラン・ポーの詩をロシアの詩人コンスタンティン・バリモントがロシア語に翻訳したものに基づいている。写真のメロディアのLP盤はもう20数年前にまだソヴィエト時代のモスクワのレコード店で求めたもである。(露メロディアーC10-1293-4/ステレオ)

 演奏は独唱陣にソプラノ=ガリーナ・ピサレンコ、テノール=アレクセイ・マスレンニコフ、バリトン=セルゲイ・ヤコヴェンコ、合唱は「ユルロフ合唱団」、エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮のソヴィエト国立交響楽団である。録音は1970年代末頃と思われるが大変優秀である。声楽部、独唱と合唱のハーモニーが非常に美しく捉えられている。国内のコンサートでは取り上げられる機会はめったにないがレコードでこの作品の美しさにはまり込んでしまうと何度も聴いてみたくなる不思議な魅力を持つ作品である。