私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

ボスコフスキーのJ.シュトラウス2世/オペレッタ「こうもり」

2009-12-31 18:01:50 | オペラ
 2009年もまもなく幕を下ろす。ウィーンでは大晦日(ジルヴェスター)から新年にかけてヨハン・シュトラウス2世のオペレッタ「こうもり」が上演されるのが恒例になっている。筆者も過去に何回かウィーンの「フォルクスオパー」で同作品を鑑賞したことがあるが本場で聴くとまた格別である。そういうわけで今年のフィナーレはオペレッタ「こうもり」で飾りたいと思う。
 確か今年の正月にカラヤン/ウィーン・フィルほかによる同曲の名盤を紹介したと思うが今日はウィリー・ボスコフスキー(Willi Boskovsky/1909~1991)がウィーン交響楽団ほかで1971年にレコーディングした写真のLP(EMI/EAC47213-14)を取り上げてみたい。このレコードは彼の記念すべき初のオペレッタ全曲録音でもあった。ボスコフスキーと言えばクレメンス・クラウスの後を引き継ぎ1955年より79年までの実に四半世紀にわたりウィーン・フィルのジルヴェスター、ニューイヤー・コンサートをヴァイオリンを弾きながら指揮し一世を風靡した人だが彼のシュトラウス一家のワルツをはじめとする作品には定評があた。この「こうもり」も彼らしい古き良き時代のウィーンの香りがただよわせる録音である。その魅力はまずニコライ・ゲッタ(テノール/アイゼンシュタイン)、アンネリーゼ・ローテンベルガー(ソプラノ/その妻)を歌う歌手陣にあると思う。特に彼女のチャーミングな美声には魅了される。またロシアの若い貴族を歌うメゾ・ソプラノのブリギッテ・ファスベンダーも見事である。そして公証人役、ファルケ博士を歌う名バリトン、ディートリッヒ・フィッシャー=ディスカウも脇を固めており申し分ない。今日はこれからこのレコードに針をおろし来るべき新しい年ー2010年を迎えたいと思う。それでは皆様「良いお年を!」

カラヤン/ベルリン・フィル、ワシントンDC ライヴ・ステレオ盤(イタリア・メモリーズ)

2009-12-30 03:02:33 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 1955年2月末から4月1日までの約1ヶ月余りのベルリン・フィル、アメリカ演奏旅行は当初ウィルヘルム・フルトヴェングラーが指揮することになっていた。しかしその前年のフルトヴェングラーの急逝により急遽ヘルベルト・フォン・カラヤンがその任にあたることになった。そのコンサート・ツアーの初日がワシントンDC公演(1955年2月27日)であった。この模様を伝えるライヴ録音が当初1979年、「イタリア・チェトラ」よりモノラル音源でレコード化された。国内盤は当時キング・レコードよりモーツアルト交響曲第35番・R.シュトラウス「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」(SLF5003/モノラル)、ブラームス交響曲第1番(SLF5004/モノラル)の2枚に分けてリリースされている。昨年カラヤン生誕100年記念を機に「イタリア・メモリーズ」からその一部モーツアルトとブラームスがステレオ音源で初CD化された。(写真MR2040/41,2CD)
 このCDは「カラヤン1950年代のライヴ名演集」ということでこの他にCD1には1953年9月8日ベルリン、ティタニア・パラストにおけるベルリン・フィルとのベートーヴェン交響曲第3番(このライヴ録音はドイッチェランド・ラジオ音源の正規盤が昨年「Audite」レーベルからもリリースされた。)や1957年ザルツブルク祝祭音楽祭におけるオペラ「フィデリオ」公演からベートーヴェン「フィデリオ」序曲と「レオノーレ第3番」が収録されている。こちらはウィーン・フィルの演奏でいずれもモノラルである。(1957年7月27日)
 今回このCD2に収録されたステレオ音源によるモーツアルトとブラームスを聴いてみたが確かに「ステレオ感」を感じるとることができるが残念ながら音像のバランスが不安定な箇所が多々あり筆者個人的には満足がいく音質とは言い難い。確かに半世紀以上前の録音ということもあり致し方ないかも知れない。その点では先にリリースされた「チェトラ盤」のモノラル音源の方が聴きやすかった。
 若きカラヤンの息吹をうかがえる溌剌とした演奏には違いないのだが・・・

カラヤンのメンデルスゾーン交響曲第2番「讃歌」

2009-12-29 09:03:42 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 カラヤンのメンデルスゾーンの交響曲については以前にも第3番イ短調「スコットランド」についてふれたことがあるが今日は第2番変ロ長調「讃歌」作品52を取り上げてみたいと思う。この作品は国内のコンサートではプログラムに載る機会は滅多にないが声楽を伴う演奏時間約70分前後を要する大作である。メンデルスゾーンらしい大変美しい作品であるがカラヤンもおそらくこの「交響曲全集」のための録音のみで実際のコンサートではプログラムに取り上げたことはなかったと思う。
 作品はメンデルスゾーンが1840年に印刷技術発明400年を記念しての祭典のために作曲したもので純粋な管弦楽のみで演奏される「シンフォニア」の部分と2人のソプラノ、テノールの独唱に合唱が加わる2部構成で書かれている。初演は1840年、バッハゆかりのライプチヒの「聖トマス教会」で行われ当時の評判はよかったと伝えられるがその後は忘れさられた作品でもあった。声楽部分のテキストは旧約聖書のドイツ語訳によるものである。
 カラヤンとベルリン・フィル他によるこの録音は先にも述べたように「交響曲全集」のための一環のもので「第2番」は1972年~73年にかけてベルリン、イエス・キリスト教会で行われ全集録音の最後を飾った。独唱陣にはエディット・マチスとリーゼロッテ・レープマンのソプラノ、テノールにヴェルナー・ホルヴェーク、合唱には「ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団」を起用している。演奏は「カラヤン美学」そのものをいく大変見事で美しいものである。第2部の声楽部のアンサンブルの美しさはこの上なく素晴らしく一聴に値する名演だと思う。



”バーンスタイン イン ロシア” (1959)

2009-12-28 01:27:05 | 歴史的コンサート・ライヴ
 ニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督に就任して2年目の若きレナード・バーンスタイン(Leonard Bernstein/1918~1990)が1959年8月に初のロシア公演を行った際のライヴがかつてCD化されたことがある。今から約10数年前のことだがスゥエーデンの「Jimmy Classic」というレーベルである。(写真/OM03-131)収録内容はベートーヴェン「エグモント」序曲作品84、ブラームス交響曲第1番ハ短調作品68(以上 1959年8月28日レニングラード・フィルハーモニー大ホール収録)、ラヴェル「ラ・ヴァルス」(1959年8月24日モスクワ音楽院大ホール収録)の3曲である。音源は当時のロシア国営レコード会社「Melodiya」からの復刻で時代からして録音は当然モノラルだが音質はそれほど悪くない。演奏は若いエネルギッシュなバーンスタインの迫力ある演奏が聴ける貴重なものだ。
 たとえばブラームス第1番の演奏だが彼が晩年にウィーン・フィルと録音した(ドイツ・グラモフオン盤)演奏スタイルとは一味違う。因みにこのロシア・ライヴでは第1楽章提示部の繰り返しは実行していない。またラヴェルの「ラ・ヴァルス」も彼らしいリズム感あふれる快演である。

FMエア・チェックオープン・テープ・コレクションから「1979年ザルツブルク音楽祭」

2009-12-27 11:56:18 | FMエア・チェック
 今年も残すところ後4日余りになってしまった。なんと1年が経過するのが早いことか・・・。そこでと言うわけでもないが急に思いつき聴きたくなったのがレナード・バーンスタイン(Leonard Berstein/1918~1990)が1979年8月22日、「ザルツブルク祝祭音楽祭」でウィーン・フィルを指揮したベートーヴェン交響曲第9番のFMエア・チェック・オープン・テープである。このコンサートは当時注目を集めた「オーケストラ・コンサート」のひとつであった。彼はこのコンサートの後9月に同メンバーとウィーン国立歌劇場で同曲をライヴ収録している。これは彼のウィーン・フィルとの「ベートーヴェン交響曲全集」の最終を飾る録音であった。ライヴ録音といっても会場の聴衆のノイズがレコードからはほとんど聴き取れないのでおそらく聴衆が入らないゲネプロ風の収録ではないかと推測される。
 話を本題に戻しこのザルツブルクでの演奏だがなんと素晴らしく凄い演奏であることか - ライヴ演奏なので些細なことを除けば筆者は先にあげたレコード録音の同曲演奏の上をいくバーンスタインらしさがでた堂々とした迫力ある名演ではないかと思う。特に第4楽章の各ソリスト、ギネス・ジョーンズ(ソプラノ)、ハンナ・シュヴァルツ(アルト)、ルネ・コロ(テノール)、クルト・モル(バス)の歌唱力はもちろんのことバックの「ウィーン国立歌劇場合唱団」も素晴らしいアンサンブルを聴かせている。聴衆に大きな感動を与える真の名演奏にめぐり合える機会はそれほど多くはないと思うがこの演奏はまさに歴史的名ライヴ演奏の一つに数えられるものではないかと思う。
 最後に余談になるが、当初発表された「プログラム・パンフレット」(写真)にはこの「第9」演奏の前に「エグモント」序曲が演奏される予定になっていたが急拠「第9番」1曲のみの演奏に変更された。またこのコンサートの国内での放送は1979年大晦日にNHKFMでオン・エアされている。

ジュリーニ/ベルリン・フィル、ブルックナー交響曲第7番&第8番ライヴ盤 (2)

2009-12-26 09:32:31 | 交響曲
 今日は昨日の続きになるがジュリーニ/ベルリン・フィルによるブルックナー交響曲第8番ハ短調ライヴ盤についてもふれておきたいと思う。(写真/TESTAMENT-JSBT2 8436)この演奏は昨日紹介した第7番の演奏に先立つ約1年前1984年2月11日、ベルリン・フィルハーモニーザールにおけるライヴ録音である。こちらの方は筆者の記憶では国内ではNHKFM放送も含めオン・エアされたことはないと思われる。しかしジュリーニはその後同年5月の「ウィーン芸術週間」でウィーン・フィルとこの「第8番」を取り上げており(1984年5月29日/楽友協会大ホール)この模様はNHKFMでオン・エアされている。(1984年11月28日放送)
 その放送の中で解説された中野博司氏がこのベルリン・フィルとの「第8番」の演奏について現地で生で聴いた感想を「ジュリーニがベルリン・フィルの力を最大限に引き出した演奏」と述べられているが筆者もまさにこのCDを聴いてそのように感じた。時はまさに「カラヤン時代」のベルリン・フィルでありジュリーニがいわゆる草書体風の「カラヤン・スタイル」とはまた一味違った「ブルックナー像」を描き出した名演奏とも言えるのだはないだろうか。演奏のコンセプトはウィーン芸術週間」におけるウィーン・フィルとのライヴ演奏、並行して同楽団とレコーディングされた名盤(DG盤/415124-2)と変わりはない。使用楽譜は「ノヴァークー1890年版)と思われる。


ジュリーニ/ベルリン・フィル、ブルックナー交響曲第7番&第8番ライヴ盤(1) 

2009-12-25 01:56:25 | 交響曲
 今日取り上げるカルロ・マリア・ジュリーニ(1914~2005)/ベルリン・フィルによるブルックナー交響曲第7番・第8番ライヴ盤も先頃の新譜で今回が初出となる。いずれも「TESTAMENT」シリーズからリリースされたものだが今日は第7番ホ長調にスポットをあててみたい。この演奏は1985年3月5日ベルリン・フィルハーモニーザールにおけるコンサート・ライヴを収録したものだが過去にNHKFM放送でオン・エアされた記録がある。(1986年1月14日/NHKFM)筆者もこの時の放送をオープン・テープでエア・チェックして現在でも大切に保存している。
 ジュリーニのベルリン・フィルへの客演は結構な数に登ると思われるが筆者のエア・チェック・ライヴ・コレクションの中ではベルリン・フィルとのものは意外に少なくこの他には1977年1月13日フィルハーモニーザールにおけるシューベルト交響曲第7番(旧第8番)・第8番(旧第7番)ぐらいしか見当たらない。その観点からも貴重なものである。彼はまたブルックナーの同交響曲をウィーン・フィルとほぼ同年代にドイツ・グラモフォンにスタジオ録音しており特に第8番は誉れの高い名盤である。(以前に紹介済み)
 さてこのベルリン・フィルとの第7番のライヴ盤だが1986年録音のウィーン・フィル盤(DG盤・ムージクフェライン・ザール録音セッション)と比較して演奏スタイルに大きな変化はない。また使用楽譜の「版」の明記はないが第2楽章のクライマックスでシンバルが追加されているところから「ノヴァーク版」を基本としていると思われる。ただベルリン・フィルとのライヴ盤の方がトータル演奏時間にして約3分強ほど速い。(ベルリン・フィル盤64分19秒/ウィーン・フィル盤67分57秒)このあたりは「コンサート・ライヴ」録音という環境の違いからであろう。さらにオーケストラの音色の違いは明らかにに感じとれる。ベルリン・フィルの洗練された重厚な響きで聴くブルックナー、ウィーン・フィルのたおやかな響きで聴くブルックナー、どちらもそれぞれの味があり聴き手の好みもあると思う。ただ言えることはライヴ演奏は取り直しがきかないスリリングな魅力があることは確かである。

(次回に続く)



ミュンシュ/パリ管、1967年「お披露目演奏会」ライヴ盤

2009-12-24 02:14:11 | 交響曲
 先頃、「Altus」レーベルからシャルル・ミュンシュ、パリ管弦楽団音楽監督就任「お披露目演奏会ライヴ盤」が初リリースされた。以前からパリ管旗揚げコンサートのライヴ音源が存在するという噂は耳にしていたが突然の発売には驚いた。音源は「ina=Institut National de l'Audiovisuel(フランス国立視聴覚研究所)」に保管されたテープからのCD化ということである。「ina」のホームページを見ると音楽のみならず様々な分野ー政治経済、科学技術、娯楽等々の映像資料などが豊富に閲覧でき結構興味深いものがある。
 さてこのCDだが1967年11月14日にパリの「シャンゼリゼ劇場」で行われた初日のコンサートからドビュッシー交響詩「海」とベルリオーズ「幻想交響曲」の2曲が収録されている。どちらもミュンシュが得意とする作品だがコンサート・ライヴだけあって白熱のスリリングな演奏を聴くことができる。ミュンシュはコンサートにおいてはよくテンポをよく動かす指揮者だったのでこの「幻想」の演奏でもそのあたりが興味深く聴ける。また彼はパリ管とこのコンサートの約1ヶ月前に同曲をEMIにスタジオ録音した名盤(1968年ADFディスク大賞/日本レコード・アカデミー賞)があるがこのライヴ盤はさらにテンポが速い。録音状態はほぼ良好だが「第2楽章」の冒頭部分で音のバランスが崩れるところがあるがこれはマスター・テープに起因するとのことである。それにしてもコンサートから40年余りが経過した現在にミュンシュ/パリ管のライヴ演奏が聴けるということはミュンシュ・ファンにとっては大変ありがたいことである。またドビュッシーの「海」はパリ管とのスタジオ録音は行われなかったためこのライヴはことさら貴重な存在である。

 

カラヤン/ベルリン・フィル - マーラー交響曲第5番

2009-12-23 06:09:10 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 これまでにヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルによるマーラー交響曲については「第4番」・「第6番・「大地の歌」等などオリジナルLPジャケットで紹介してきたが今日は「第5番嬰ハ短調」を取り上げてみたいと思う。
 「第5番」はカラヤンの「マーラー・シリーズ」(第4番~第6番・第9番・大地の歌)の中で最初に録音された(1973年2月)ものである。そしてこの作品のみダーレムのイエス・キリスト教会で収録されている。(他は全てフィルハーモニー録音)国内盤オリジナルLPは2枚組(MG8058~59)でクリスタ・ルートヴィヒ(アルト)が歌う「亡き子をしのぶ歌」がカップリングされていた。写真はCD化された「ドイツ・グラモフォン・オリジナル・シリーズ」(DG447 450-2)でジャケット・デザインはオリジナルLPと同様のオルガー・マチスの「虹」のデザインが使用されているが私的にはデザインが斜めにアレンジされているのがあまり感心できない。だが演奏はカラヤンのよどみなく流れ出る実に美しいものである。彼の「耽美的」な解釈は他の演奏にも共通して言えることだが私はいつもその世界に酔いしれてしまう。そこが彼の指揮者としての大きな魅力であることは今され言うまでもないことなのだが・・・

ハイティンク/コンセルトヘボウのブルックナー交響曲第0番

2009-12-22 05:45:07 | 交響曲
 私が好んでよく聴く作曲家の一人ブルックナーは第1番~第9番までの交響曲作品のほかに番号なしの所謂、「習作的」作品と言われる「ヘ短調交響曲」と彼自身が「試作」と呼んだ「第0番ニ短調」の交響曲を遺している。今日紹介する写真のLPレコードはオランダの巨匠ベルナルト・ハイティンク(Bernard Haitink/1929~ )がまだ37歳の1966年にアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団と録音した国内盤初出の「第0番」のレコードであった。(フィリップスーSFX7660)もちろん国内盤では当時これが唯一の同曲のレコードでもあった。
 この作品の作曲年代は前作の「ヘ短調」とほぼ同時期と推定(1863年から64年頃)されている。しかし習作の「ヘ短調」と並び作曲者の生前には演奏されることはなく全曲の初演は1924年にクロスターノイブルクにおいて行われている。作品は全4楽章から成るがまだ本格的な「ブルックナー様式」をとるものではないにしても随所に後の作品(交響曲第3番や第6番等)にもそのなごりがうかがえる。指揮者ハイティンクは若い時代からブルックナーやマーラーの交響曲に傾倒し芸術監督を務めていた「コセルトへボウ管弦楽団」と全集録音(1966年~1971年)を完成している。特にこの「第0番」を含んだ全集盤は現在でも数は少なく貴重なものでその資料的価値も高い。