私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

クラウス・テンシュテットの稀有な音源

2011-05-31 17:36:53 | 交響曲

 今日紹介するCDはクラウス・テンシュテット(Klaus Tennstedt/1926~1998)の稀有な音源である。テンシュテットという指揮者を筆者が初めて耳にしたのは彼がベルリン・フィルを振ったシュマーンの交響曲第3番「ライン」のレコードが「EMI」から発売された1980年代前半の頃である。彼は旧東独のライプチッヒ近郊のメルゼブルグ(Merseburg)の出身で指揮者としてのデビューもメルゼブルクのすぐ北に位置しライプチッヒからもほど近いハレ市(Halle)の劇場オーケストラからと言われている。彼の旧東独時代に指揮した音源は少なく写真のCDの最初に収録されている彼が1962年から音楽監督を務めた「メクレンブルク・シュターツカペレ」との「ベートーヴェン/交響曲第1番」は当時の彼を知る上でも貴重な音源と言えるだろう。これは記録によれば1968年8月18日・19日両日に州都シュヴェーリン(Schwerin)の「Staastheater」におけるスタジオ録音によるもので演奏の質も高く立派なものである。その上音質もステレオで大変良好である。
 後半は1972年より音楽監督を務めた旧西独バルト海に面した街キール(Kiel)を本拠地とする「キール・フィルハーモニー管弦楽団」とのベートーヴェン/「交響曲第5番」と「エグモント序曲」が収録されている。こちらは1980年3月20日「キール城」に於けるコンサート・ライヴである。演奏終了後の聴衆の拍手はカットされているのがちょと惜しいがライヴならではの迫力は充分に伝わってくる。いずれもオーケストラの知名度はマイナーながらその演奏水準の高さはさすがにドイツのオケといったところか。
(写真/独Weitblick盤ーSSS0056-2/ステレオ)


お気に入り、カラヤンの「LPジャケット」から 

2011-05-30 14:53:55 | LPジャケット

 カラヤンはチャイコフスキーの「悲愴」と並びブラームスの「交響曲第1番」も数多くの録音を遺しコンサートでも幾度となくプログラムにとりあげている。因みに最後の来日公演(1988年)のフィナーレを飾ったのもブラームスの「第1番」だった。演奏も彼のベルリン・フィルとの3つのスタジオ録音(1963年・1977年・1987年)の中でこの写真、最初の1963年のものがベストと思っている。これはカラヤンが「ベルリン・フィル」との最初の「ブラームス交響曲全集録音(1963年~64年/ベルリン、イエス・キリスト教会)」から分売で写真のLPはオリジナル国内盤SLGM1291に続き再発売されたSMG2065でオリジナル盤とは異なるカラヤンの写真が使用されている。筆者はこのジャケット写真を特に気に入っている。溌剌と指揮するカラヤンの姿に流動感があり印象的である。
 

カール・ベーム/ベルリン・フィルの「エロイカ」(1961年録音)

2011-05-29 15:22:41 | 交響曲

 カール・ベームのベートーヴェン/交響曲第3番「エロイカ」の正規スタジオ録音には今回取り上げる1961年12月録音「ベルリン・フィル盤」と1972年9月録音の「ウィーン・フィル盤」がある。どちらも「ドイツ・グラモフォン盤」でそれぞれのオーケストラの持ち味を出した演奏だが筆者は前者の「ベルリン・フィル盤」を好んでよく聴いている。この演奏は野性味を感じさせる闊達なベームの演奏スタイルに惹きつけられてしまう。また機敏なテンポの運びも一種の緊張感を感じさせ成功している。とりわけベームのベートーヴェン交響曲録音の中でも特に素晴らしい1枚ではないかと思っている。
 写真は今から約半世紀近く前にリリースされたそのベルリン・フィル盤(1961年録音)の国内初出盤(SLGMー1106)である。現在は勿論CD化もされその音質の良さは半世紀前の録音を全く感じさせない。ジャケットの1963年「ベルリン・ドイツ・オペラ」でのベーム初来日の際の直筆サインも懐かしい。

近代フランス音楽のスペシャリスト ー モニク・アースが弾くラヴェルの協奏曲

2011-05-28 23:27:11 | 協奏曲

 「近代フランス音楽」のスペシャリストで知られたモニク・アース(Monique Haas/1909~1987)が「ドイツ・グラモフォン」に遺したラヴェルの二つのピアノ協奏曲ー「ト長調」と「左手のための協奏曲ニ長調」が収録された写真のLPを紹介したい。(DG138 988/ステレオ)指揮は同じくフランスの名匠ポール・パレー(Paul Paray/1886~1979)管弦楽は「フランス国立放送管弦楽団」で1965年4月、パリの「Maison de la Radio」におけるスタジオ録音である。指揮者のポール・パレーは戦後アメリカに渡り「デトロイト交響楽団」の音楽監督を長年務めた人で彼のレコードは主に「米マーキュリー」レーベルに多く残されておりこの「ドイツ・グラモフォン盤」は珍しい1枚でもある。またこのコンビによる録音もおそらくこれが唯一のものと思われる。
 ピアニストのアースによるラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」の録音はこれ以外にもモノラルで1948年にハンス・シュミット=イッセルシュテットの録音もあったはずだが筆者は未聴である。また「左手」の協奏曲はこのパレーとの録音が唯一のものでいずれもステレオ録音で聴けることも幸いである。
 

 
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俊英、ヴァシリー・ペトレンコの「マンフレッド交響曲」

2011-05-27 23:45:15 | 交響曲

 ロシアの俊英指揮者、ヴァシリー・ペトレンコ(Vasily Petrenko)が今年1月の「N響定期」に初登場しチャイコフスキーの「マンフレッド交響曲」ほかを振り注目を浴びたこともまだ記憶に新しいところである。彼は30歳の若さで2006年9月シーズより英国の「ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニック」の首席指揮者に就任した。以後「NAXOS」レーベルに同楽団と共にレコーディングを開始、本日紹介する「マンフレッド交響曲」の録音も首席指揮者就任後の2007年6月に行われている。
 チャイコフスキーの「マンフレッド交響曲」については過去にも何回か筆者の愛聴盤を紹介したことがあるかと思うがこの「ペトレンコ盤」も久しぶりの好演である。この大作交響曲をこの若さにして手中にした彼の見事な棒さばきが聴きものだ。演奏のスケール感とそのメリハリがきいたサウンドは演奏時間約60分を要するこの大作に聴き手を退屈させることなく引き込んでしまうであろう。「廉価盤」ながら重量感ある聴きごたえある1枚である。尚、余白に収録されている交響的バラード「ヴォエヴォーダ」作品78は録音も少なく貴重である。

スクロヴァチェフスキ/ベルリン・ドイツ響 - ショスタコーヴィチ「交響曲第10番」(ライヴ盤)

2011-05-26 18:44:09 | 交響曲

 ポーランド出身の名指揮者スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(Stanislaw Skrowaczewski)も今年88歳を迎える現在現役で活躍している最高齢の指揮者のひとりであろう。彼がザールブリュッケン放送交響楽団(現在、ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団)と入れたブルックナーの交響曲の名盤や2003年の初来日公演等を思い出す。今回は彼が「ベルリン・ドイツ交響楽団」に2003年に客演した時のライヴ盤、ショスタコーヴィチの「交響曲第10番ホ短調作品93」を取り上げてみたい。(写真/独Weitblick-SSS0076-2)
 このCDは2008年にリリースされたが原盤を使用し国内盤としても日本語解説付きで発売されている。録音は2003年5月4日「ベルリン・フィルハーモニー」に於けるライヴ収録である。彼のショスタコーヴィッチの演奏も定評がありこの「第10番」もイギリスの「ハレ管弦楽団」首席指揮者時代の1990年に同楽団と録音したCDもあるがこの「ベルリン・ドイツ響盤」はライヴ演奏ならではの緊張感に彼の鋭角的な感性が全体的にみなぎっている。筆者は現在「カラヤン盤」(DG)と共に愛聴している。


ミケランジェリの美学ー「ドビュッシー/「映像」第1集・第2集ほか

2011-05-25 17:43:43 | 器楽曲

 本日紹介するLP盤は今やイタリアの「伝説のピアニスト」と言って過言ではない名匠アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(Arturo Benedetti Michelangeli/1920~1995)が1971年に「ドイツ・グラモフォン」に初録音したドビュッシーの「映像」第1集・第2集、「子供の領分」の国内初出盤である。(1972年発売/MG2324)その後彼は「前奏曲集第1巻」を1975年、「同第2巻」も1988年に同レーベルに録音しこれらは当時大変話題を呼び現在ではCD化もされ彼の音楽美学を集大成した誉れの高い名盤として輝いている。
 このレコードを聴くと彼の圧倒的なピアノ・テクニックとその透明感ある美しい音色にうっとりとさせれてしまう。勿論、彼のレパートリーは広くドビュッシー以外にはショパン、シューマン、ベートーヴェン等々の作品がコンサート・プログラムにも並んでいた。とりわけ筆者は彼が弾くドビュッシーには強く魅力を感じている。今彼の来日公演を振り返ってみると初来日は意外に古く1965年であった。その後何度なく来日しているが彼自身のコンディション等でキャンセルになった公演も度々あった。因みに筆者が一番印象に残った公演は最後の来日となった1992年のチェリビダッケ/ミュンヘン・フィルとの共演(シューマン/ピアノ協奏曲イ短調作品54)である。



メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲ニ短調

2011-05-24 10:27:18 | 協奏曲

(コンサート・ホール盤/SMS-2844ステレオ)
 
 メンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲」と言えば通常1844年に作曲された名曲「ホ短調作品64」を思い浮かべるがもう一つ彼がまだ13歳の少年時代に書き上げた「ニ短調」(1822年)が存在する。この作品は長いことその楽譜が紛失の状態にあり1951年になってから名ヴァイオリニスト、ユーディ・メニューインがロンドンに住むメンデルスゾーンの家系をひく遠い子孫の家で発見したものである。作品の初演も発見者メニューインによって行われている。無論、作品の完成度においては「ホ短調」とは比較するまでもないがメンデルスゾーンらしい旋律の美しさは一聴に値する。ただ知名度からもこの作品の録音の数が「ホ短調」に比べて現在でも極端に少ないのが残念である。
 写真のLPは先日懐かしい「コンサート・ホール盤」を整理していた時に出てきた1枚である。このLPがリリースされた時期も筆者がまだ学生時代の1970年代初頭の頃だったと思うので当時としてはこの「ニ短調」が収録された国内盤のレコードとしては大変珍しいものではなかったかと思う。しかもヴァイオリン独奏が日本の宗 倫匡である。彼はこのレコードが録音された当時から国際的に活躍していたヴァイオリニストの一人で高名なヨーゼフ・シゲティの最後の弟子でもある。現在もロンドンを中心に演奏活働も続けており「水戸室内管弦楽団」や「サイトウ・キネン・オーケストラ」のメンバーでもある。管弦楽ー「モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団」、指揮ーデヴィッド・ジョセフォヴィッツ。
 尚、このLPの第1面にはメンデルスゾーン/「ヴァイオリンとピアノのための二重協奏曲ニ短調」が宗 倫匡のヴァイオリン、ウィリアム・ナポレのピアノ、ロベール・デュナン指揮「コレギウム・アカデミクム・ジュネーヴ合奏団」の演奏で収録されている。



 

恒例! 竜ヶ崎市音楽愛好会「ゲヴァントハウス・特別企画イベント」 - 終了

2011-05-21 21:49:06 | 余暇文化活動

 
 恒例となりました「竜ヶ崎市音楽愛好会・ゲヴァントハウス」から「初夏、特別企画イベント」のお知らせです。
さて今回は巨匠カール・ベームにスポットをあて「巨匠カール・ベームの想い出」と題し特別講演と当時NHKが放送開始50周年を記念して招聘した「1975年・ウィーン・フィル来日公演」ライヴ録音を中心に聴く特別企画イベントです。
 特別講師にはベームと個人的にも親交が深かった元、日本グラモフォン・プロデューサー乙黒正昭氏を招き当時を振り返ってみたいと思います。ぜひ皆様お誘い合わせのうえご来場ください。 (入場無料)

                        記

  日 時  : 2011年 6月 4日(土)  14時 ~ 16時30分 

  場 所  : 竜ヶ崎市ショッピングセンター「リブラ竜ヶ崎」 2F・旧映画館、(駐車場完備) 
          
  講 師  : 乙黒 正昭 氏 (元、日本グラモフォン、プロデューサー)

  講演内容 : 第一部 ベームとカラヤンによる新録音合戦で生まれた「モツレク」・
             「トリスタンとイゾルデ」等の名盤
         
         第二部 「1975年ウィーン・フィル」来日公演ライヴ
              芳醇の極致 - シューベルト「ザ・グレート」ほか
              名コンビのライヴならでは至福の名演の数々・・・

  交 通  : JR常磐線「佐貫駅」乗り換え「関東鉄道・竜ヶ崎線」終点、
          竜ヶ崎駅下車 徒歩約5分

  入 場  : 無  料


                         

  
          
            

  

  

FMエア・チェック コレクションから 「エフゲニー・ネステレンコ」来日公演(1985)

2011-05-19 21:26:37 | FMエア・チェック
 今日はロシアの名バス歌手エフゲニー・ネステレンコの1985年来日公演のFMエア・チェック(オープン・リール)をCD-Rに整理した。おそらくこの時が彼の初来日ではなかったかと思うが6月25日の「新宿文化センター」での公演である。筆者の記録によればこの公演でのアンコール曲も含め全プログラムが「NHKFM」でその年の9月26日に放送されている。
 プログラムはもちろん全てロシアものでグリンカ、ダルゴムィジスキー、リムスキー=コルサコフ、チャイコフスキー、ラフマニノフ、ムソルグスキーそして「ロシア民謡」までのトータル20曲に加えてアンコール(3曲)を熱唱、会場の聴衆を魅了した。とりわけプログラム最後を飾った馴染みのある「ロシア民謡」からの5曲ー「栄えある湖、聖なるバイカル」・「ああ、ナスターシャ」・「ボルガの舟歌」・「ステンカ・ラージン」・「ピーテル街道に沿って」は印象的なものになった。彼の艶やかで厚みの声量が今も忘れることができない。ピアノ伴奏は彼のよきパートナーであるエフゲニー・シェンデローヴィチが務めている。また余談ながら彼はこの公演の2日後には同プログラムを当時開催中の国際博覧会ー「つくば科学万博’85」の会場内にあった「EXPOホール」でも披露している。
(エフゲニー・ネステレンコ)