サー・マルコム・サージェントの懐かしいレコードからもう1枚。 ロイヤル・フィルとのベートーヴェン交響曲第3番「エロイカ」である。写真のLPは1960年代初頭にリリースされた「HMV Concert Classics」シリーズで私のコレクションはモノラル盤だがオリジナルはステレオ録音と思われる。(写真/英EMI XLP 20040)やはり今針をおろすと時代を感じさせる音だが演奏はサージェントらしく風格がある。さらに「第2楽章」が二面にまたがることも当時のLPでは珍しいことではなかった。
サー・マルコム・サージェントの懐かしいレコードからもう1枚。 ロイヤル・フィルとのベートーヴェン交響曲第3番「エロイカ」である。写真のLPは1960年代初頭にリリースされた「HMV Concert Classics」シリーズで私のコレクションはモノラル盤だがオリジナルはステレオ録音と思われる。(写真/英EMI XLP 20040)やはり今針をおろすと時代を感じさせる音だが演奏はサージェントらしく風格がある。さらに「第2楽章」が二面にまたがることも当時のLPでは珍しいことではなかった。
このオペラ・バレエ曲を集めた小品集も同・間奏曲集と並びカラヤンの巧さが光る1枚だ。写真のLP(独グラモフォン-2530 200)は1970年12月-71年1月にかけベルリンのイエス・キリスト教会で録音されたものである。同ジャンルのアルバムではこれ以前に「フィルハーモニア管弦楽団」と2度(1954年モノラル・1960年ステレオ、英EMI)レコーディングしているがこのベルリン・フィルとのDG盤ではチャイコフスキー「エフゲニ・オネーギン」やヴェルディ「オテロ」など収録作品の入れ替えもある。バレエ・シューズをジャケット一面に並べたデザインもユニークだった。
懐かしい米URANIA盤から1枚、名匠ハンス・スワロフスキー(Hans Swarowsky/1899-1975)のチャイコフスキー交響曲第1番ト短調「冬の日の幻想」を取り上げてみたい。(写真/米URANIA-US 58008)レコードのオーケストラ表記は「Vienna Philharmusica Symphony」となっているがおそらくウィーン国立歌劇場管弦楽団(ウィーン・フィル)ではないかと思われる。録音年代も不詳だがステレオ録音なので1960年前後と推定される。演奏もスワロフスキーらしくじっくりと落ち着いたテンポでおし進めていくところに好感がもてる。特にアダージョの第2楽章が美しく印象的だ。この演奏を聴きながら彼が晩年(1973年)にNHK交響楽団定期に客演した時のことを思いだした。ジャケット・デザインも時代を感じさせ気に入っている。
「ハンガリーの名指揮者イシュトヴァーン・ケルテス、テル・アヴィヴの海で遊泳中溺死」という衝撃的ニュースが流れたのはもう40年余りも昔、1973年4月のことである。43歳の若さだった。写真のLPは彼が遺したウィーン・フィルとのシューベルトの交響曲全集録音から「第5番変ロ長調D.485」・「第8番(現第7番)ロ短調D.759」を収めた1枚である。彼は1963年には「第8番」と「第9番<ザ・グレート>」を録音、その後この「第5番」を含む残りを晩年の1970年代初頭にかけ一気に録音し全集を完成している。録音も秀逸でウィーン・フィルのたおやかな弦の響きが美しい。(写真/国内盤LPロンドン、SLC8122)
写真のLPはベルナルト・ハイティンクがアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団芸術監督時代の1974年-79年に完成したチャイコフスキー交響曲全集録音からの分売、「第5番ホ短調」である。(蘭フィリップス 6500 922)因みにこの「第5番」はその皮切りとなった1974年の録音だった。個人的には「マンフレッド交響曲」を含む彼の全集録音の中でも一番気に入っている演奏である。もっとも彼にはこの全集録音以前にも同楽団と「第4番ヘ短調」(1969年)、「第6番ロ短調<悲愴>」(1970年)の録音があった。
ハンガリー、ブダペスト出身の名女流ピアニスト、アニー・フィッシャー(Annie Fischer/1914~1995)がNHK交響楽団に客演した際のNHKホールにおけるライヴ盤である。彼女は1980年以来たびたび来日名演を披露し多くの聴衆を魅了した。写真のCD、「N響ライヴ・シリーズ」には彼女が得意としたモーツアルト、ベートーヴェン、シューマンの協奏曲貴重音源が収められている。それぞれ指揮者は異なるが録音年代順にモーツアルト/ピアノ協奏曲第22番変ホ長調K.482(フェルディナント・ライトナー指揮1983年)、シューマン/ピアノ協奏曲イ短調作品54(クリストフ・ペリック指揮1985年)、ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番ハ短調作品37(ミルティアデス・カリーディス指揮1987年)となる。また同曲にはそれぞれ1950年代にスタジオ録音した名盤 - オットー・クレンペラーとのシューマン、ウォルフガング・サヴァリッシュとのモーツアルト(以上フィルハーモニア管弦楽団、EMI)、フェレンツ・フリッチャイ、バイエルン国立歌劇場管弦楽団とのベートーヴェン(DG)が存在する。(写真/キングインターナショナル 2CD、KKC2088/9 2014年初CD化)
2010年に「EMI MASTRES」シリーズとして再リリースされたサー・ジョン・バルビローリが遺した「イギリス弦楽作品集」の名盤CDである。(英EMI/6 31788 2)CDには彼が得意とするエルガー、ヴォーン・ウィリアムズの作品に加え亡くなる半月前の1970年7月に「ハレ管弦楽団」とレコーディングされたディーリアスのイギリス狂詩曲「ブリッグの定期市」が収録されている。リマスター・サウンドの素晴らしさもさることながら各作品が持つ抒情的旋律の美しさに陶酔してしまう。
収録作品・演奏・録音年代
1.エルガー
「序奏とアレグロ」 Sinfonia of London (1962年7月)
「エレジー」・「ため息」 New Philharmonia Orchestra (1966年7月)
2.ヴォーン・ウィリアムズ
「タリスの主題による幻想曲」・「グリーンスリーヴズ」による幻想曲 Sinfonia of London (1962年5月)
3.ディーリアス
イギリス狂詩曲「ブリッグの定期市」 Hallé Orchestra (1970年7月)
ルーマニア出身の名指揮者ジョネル・ペルレア(Jonel Perlea/1900-1970)は日本では馴染みが薄いがミュンヘンとライプツィヒで研鑽を積み母国の「ブカレスト歌劇場」音楽監督をはじめとして戦後はアメリカに帰化、「メトロポリタン歌劇場」、ミラノの「スカラ座」等々でオペラ指揮者として活躍した。1950年代、オペラを中心にレコード録音も数多く残している。今日紹介する写真のLPは「バンベルク交響楽団」を振ったリムスキー=コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」である。(独PANTHEON -XP3020) ジャケット解説に録音データの記載がないので録音年代は不詳だが1950年代のものと推定される。モノラル録音なので音の広がりはないが音質は良好で彼のオーケストラ指揮者としての力量が充分に伝わる貴重な1枚だ。彼は1957年に心臓発作で倒れその後は左手だけで指揮をしたといわれている。
先日取り上げたブルックナーの「第8番」と同様ギュンター・ヴァントのケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団首席指揮者時代のシューベルト交響曲第7番(旧第8番)<未完成>の録音である。CDに記載された録音データによると1958年3月5日ということなので当時ヴァントは46歳だった。音質は大変良好でステレオ音源ということも大変興味深かった。この遅めのテンポをとる若きヴァントの演奏スタイルも晩年の「北ドイツ放送響」との演奏と比較してもさほど大きな相違はなく名演だ。写真のCDは2006年「UNIVERSAL MUSIC FRANCE」-「Accord(アコール)」レーベルよりリリースされた。(仏Accord-476 8959) なおCDにはこの他にだいぶ以前にLP(米OMEGA-OSL 12写真・下)で紹介したことがあるアタウルフォ・アルヘンタ指揮セント・ソリ管弦楽団のシューベルト「交響曲第8番(旧第9番)<ザ・グレート>1958年録音」がおさめられている。オリジナルは「Le Club Français du Disque」音源だが残念なことに第2楽章(中間部)に一瞬音がフェード・アウトしてしまう編集ミスがあるようだ。
筆者がまだ小学生の1950年代、レコードはまだSPレコード(78回転盤)が中心で再生装置といえば「電気式蓄音機」(電蓄)だった。その後、レコードがSPからLP移行時に体裁の良い当時としてはハイカラ・モデルのモノラル再生専用ハイファイ・プレーヤー登場、そして1960年代に入りようやく「ステレオ装置」が一般に普及し始めた。今日紹介するLPレコードはちょうどその頃、映画用35mmマグネチック・サウンド・フィルムを使用し高音質ステレオ録音されたサー・マルコム・サージェント指揮ロンドン交響楽団によるレスピーギの「ローマ三部作」から交響詩「ローマの松」・「ローマの噴水」がカップリングされたリマスター盤でレコードの重さは200gある。(写真/EVEREST SDBR3051 1959年録音)もう半世紀以上も前の録音だがリマスターされたサウンドは新鮮そのものでアナログ・レコードファンにはたまらない。レスピーギの音の描写を見事に再現している。実はこの音源、遡ること1970年代初頭、「日本コロムビア」のクラシック廉価盤ー懐かしい「ダイヤモンド1000シリーズ」でユージン・グーセンス指揮の「ローマの祭」(1960年録音)を加えてリリースされたことがある。しかし当時ほとんど話題に上がらなかった。因みにサージェント(Malcolm Sargent/1895~1967)は1950年ー60年代英国を代表する指揮者のひとり、「プロムス」の常連指揮者としても有名。1954年9月初来日し東京交響楽団、関西交響楽団を振る。写真(下左)は初来日公演プログラムの表紙。当時は紙の質も悪くタイプ印刷だった。写真(下右)はプログラム裏表紙に掲載されたサージェントのレコード広告、これも時代を感じさせる。