私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

オイゲン・ヨッフムの名盤 - ブルックナー「ミサ曲第1番ニ短調」

2011-09-30 20:22:54 | 声楽曲

 ブルックナー解釈の権威と言われたオイゲン・ヨッフム(Eugen Jochum/1902~1987)は主要な宗教曲ジャンルもほとんどレコーディングしている。とりわけ本日取り上げるブルックナーが40歳の時に書いた「ミサ曲第1番ニ短調」(1864年)は彼の声楽曲作品の傑作として知られている。この作品は当初この年、時の「オーストリア皇帝=フランツ・ヨーゼフI世」の誕生日(8月18日)に演奏される予定だったが完成が間に合わず3ヶ月遅れの11月20日「リンツ大聖堂」でブルックナー自身の指揮で初演され大変好評であったと伝えれている。事実この宗教曲は和声が非常に美しい。
 写真のLPレコードはヨッフムが1972年にミュンヘンのヘルクレス・ザールでバイエルン放送交響楽団・合唱団と独唱陣にはエディット・マティス(ソプラノ)、マルガ・シムル(アルト)、ヴィエスワフ・オフマン(テノール)、カール・リーダーブッシュ(バス)といったメンバーで録音した名盤である。(ドイツ・グラモフォンー2530 314)因みにこのレコードでは1876年改訂版(第2稿)で演奏である。


「英ユニコーン」の唯一の国内制作盤(?) -「フルトヴェングラー/ベルリン・フィル戦時中録音」から

2011-09-29 15:33:14 | 歴史的コンサート・ライヴ

 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィルの「第ニ次世界大戦時」のコンサート・ライヴ録音の数々は1960年代末に「英ユニコーン・レコード」から輸入盤で限定発売されたが写真(上)のLPレコードはおそらく「英ユニコーン・レコード・レーベル」の唯一の国内盤制作LPでなかったかと思う。このレコードも1969年に予約制で発売されたが筆者も何とか入手できた。(UNIC106)収録曲は「ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調作品67」と「ピアノ協奏曲第4番ト長調作品58」(ピアノ/コンラード・ハンセン)で前者が1943年6月27日・30日、後者が1943年10月30日・31日のライヴ音源と言われているものである。「ユニコーン盤」の使用マスターテープの音源は明らかではないがこれらのオリジナル音源は戦後旧ソ連側に渡っていたもので1990年代初頭になって初めて「ロシア・メロディア・レーべル」から限定盤としてLP化(後にCD化)され当時日本でも入手可能となった。
 今改めて両盤を比較してみるとやはり「オリジナル・マスター音源」からの「メロディア盤」(写真下)が音質面ではるかに優ることは述べるまでもない。

(1990年代初頭、「メロディア・レーベル」から限定輸入されたベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番/M10 46067)


FMエア・チェック - ノイマン/N響のスメタナ「わが祖国」 (1978年)

2011-09-28 17:22:28 | FMエア・チェック
(ヴァーツラフ・ノイマン)
 ヴァーツラフ・ノイマン(1920~1995)が日本のオーケストラに初めて客演したのは1978年12月の「NHK交響楽団」定期演奏会であった。筆者もノイマンがN響定期に初登場とのことで{A}・{B}・{C}3つのチクルス初日の公演全て会場の「NHKホール」に足を運んだ。3つのチクルスは彼の祖国チェコの作曲家中心のプログラムが組まれていたが中でも{B}チクルスはスメタナの連作交響詩「わが祖国」全曲が演奏されるということで大きな期待に胸が膨らんだ。その演奏は期待通りの名演であったことは言うまでもない。
 ところで当時はまだ現在のように「N響定期公演」を「NHKFM」で会場から直接生中継されることはなかったがこの初日の演奏(1978年12月13日)もFMでは翌年1月10日に放送されている。今回は「CD-R」に整理するため改めて保存のオープン・テープを再生しながら当時の「フィルハーモニー」(写真下)と共にあの時の感動を脳裏に蘇えらせた次第である。
(N響「フィルハーモニー」1978年12月)
 

FMエア・チェックーバレンボイム/ベルリン・フィル、「ブルックナー交響曲第6番」

2011-09-27 18:43:48 | FMエア・チェック

 ダニエル・バレンボイム(Daniel Barenboim)はブルックナーの交響曲全集録音をシカゴ交響楽団(1972年~81年)並びにベルリン・フィル(1990年~97年)と行っており現在では「ブルックナー指揮者」としての高い評価を得ている。今日紹介する彼が1978年2月4日の「フィルハーモニー」における「ベルリン・フィル」との「第6番イ長調」のコンサート・ライヴも「ブルックナー解釈者」としての一面を充分に頷ける演奏であった。
 「第6番」はブルックナーの交響曲の中では一番地味な作品ということもあり現在もコンサートでプログラムに取り上げられる機会が少ないが彼の交響曲の中で唯一ブルックナー自身による改訂がされなかった作品でもある。今回久しぶりに「FMエア・チェック・テープ」を再生しじっくりと聞き込んでみるとこの地味な交響曲のツボを巧みに響かせいるところに魅力を感じた。特に「第2楽章アダージョ」が美しく素晴らしい。当時、バレンボイムがまだ36歳の若さである。因みにこの「コンサート・ライヴ」は1979年1月15日、「NHKFMー海外の音楽」の時間に放送された。
 

FMエア・チェックー「1971年ウィーン芸術週間」~クーベリックのシューベルト

2011-09-26 18:12:03 | FMエア・チェック

          (ラファエル・クーベリック)
 チェコを代表する名指揮者だったラファエル・クーベリック(Rafael Kubelik/1914~1996)も筆者が中学生の頃から「ウィーン・フィル」とのドヴォルザーク「交響曲第9番ホ短調<新世界から>」(最もその時代はまだ「第5番」と表記したレコードもまだ多かった)などのレコードで慣れ親しんできた指揮者のひとりである。その彼がシューベルトの交響曲を録音したレコードは意外にも数少ない。そのような事情からしても彼が1971年の「ウィーン芸術週間」での「バイエルン放送交響楽団」との「交響曲第3番ニ長調D.200」と「第6番ハ長調D.589」の「ウィーン・コンツェルトハウス」におけるライヴ音源は今考えれば貴重なものと思われる。筆者の記録によればこのコンサートの模様は1971年11月21日の「NHKFM-海外の音楽」で放送されている。「第3番」が6月4日の「開幕コンサート」、「第6番」が6月20日の「閉幕コンサート」のライヴである。
 クーベリックは1961年から1979年まで実に約18年間に渡りこの「バイエルン放送響」の首席指揮者を務め同楽団とは1965年と1975年の2度来日しており因みに’65年の公演ではシューベルトの「未完成」をプログラムにとりあげこのNHK放送音源は以前に「Altus」からCD化もされている。
 
 
 

フルトヴェングラー/ウィーン・フィルの「田園」 (1952年11月スタジオ録音)

2011-09-25 18:25:39 | 交響曲

 フルトヴェングラーの数あるベートーヴェン「田園」の録音に関して言えば筆者は「ウィーン・フィル」との1952年11月24日ー25日/ウィーン・ムジークフェラインザール、スタジオ録音の「EMI盤」に愛着を感じてしまう。(写真/独EMI ELECTROLA LP-1C 027-00807 M)この演奏では「第1楽章」を極端にテンポを遅くとっているのが印象的だが現在彼が遺した同曲のレコード(CD)の中でも録音状態、演奏共に一番バランスがとれた美しい演奏ではないか思う。とりわけ「第2楽章」が秀逸である。ライヴ盤と比較すれば確かに「フルトヴェングラー的」なスリリングな演奏ではないが逆にこれほどじっくりと構えて臨んだ堂々としたスケール感ある「田園」に興味がそそる。とかくフルトヴェングラーのベートーヴェンの交響曲は「第3番」・「第5番」・「第7番」・「第9番」のライヴ演奏に関心が集中しがちだが時にはこの「田園」のようなスタジオ録音に耳を傾けることも悪くない。

サージェントの- ギルバート&サリヴァンのオペレッタ「ラッディゴァ(Ruddigore)」

2011-09-24 18:21:16 | オペラ

 イギリスの作曲家アーサー・サリヴァン(Arthur Sullivan/1842~1900)は日本では馴染みが薄いが本国では「コミック・オペラ」の分野で人気が高かった人である。彼は劇作家ウィリアム・S・ギルバート(William Schwenck Gilbert/1836~1911)とコンビを組み数々の「コミック・オペラ」の傑作を生み出した。本日紹介するオペレッタもその一つで「ラッディゴァ(Ruddigore)」またの題名を「魔女の呪い(The Witch's Curse)」とも呼ばれている。
 タイトルの「Ruddigore」とはこの作品に登場する「デスパード・マーゲイトロイド卿(Sir Despard Murgatroyd)」のことでレコードの解説によれば元は”Ruddygore”と綴っていた。別名の「魔女の呪い」から想像するとなにか無気味さも感じさせるが話の内容は気楽に聴ける全ニ幕ものの「ドタバタ喜劇」である。因みに初演は1877年ロンドンの「サヴォイ劇場」で行われている。写真のLPレコードはジャケット・デザインに惹かれて30年以上も昔にロンドンで求めたものである。(英EMI/SXDW3029/2LPステレオ)演奏はサー・マルコム・サージェント指揮プロ・アルテ管弦楽団・グラインドボーン音楽祭合唱団他によるスタジオ・セッションで1960年代初頭録音と思われる。歌手陣にはエリザベート・ハーウッド(ソプラノ)の名前が見られる。この全曲録音では台詞の部分は省略してある。現在ではおそらくサージェントが遺したレア盤の1枚に入るであろう。


マリオ・デル・モナコの歌劇「道化師」

2011-09-23 19:17:07 | オペラ

 マスカーニと並びイタリア・ヴェリズモ・オペラの確立者レオンカヴァッロの代表作「道化師(I Pagliacci)」のカニオは世紀の名テノール、マリオ・デル・モナコ(Mario Del Monaco/1915~1982)の当たり役のひとつだった。彼のドラマチックで迫力ある美声は世界のオペラ・ファンを魅了した。オールド・オペラ・ファンの方なら1961年「第3回NHK招聘イタリア歌劇団」公演を思い起こされることだろう。彼がこの時演じた「道化師」は現在はDVD化もされ視聴が可能である。
 さて写真のCDはこの「東京公演」の2年前、1959年にローマ、聖チェチリーア音楽院でレコーディングされたもので今や「歴史的名盤」となっている。ここでもモナコの迫力ある美声が断トツに輝き圧倒される。筆者は以前に紹介済みの「カラヤン/ミラノ・スカラ座・ベルゴンツィ盤(1965年録音/DG盤)と共に愛聴している。また一緒にカップリングされた1960年録音マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」のトゥリッドウも言うまでもなく素晴らしい。因みに主役の村娘サントゥッツァを演じたジュリエッタ・シミオナートもこの1961年の公演で同役で出演、その輝かしい歌唱も今では語り草になっている。(写真/「道化師」ーモリナーリ=ブラデッリ指揮 ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団・合唱団ほか、「カヴァレリア・ルスティカーナ」ーセラフィン指揮 ローマ聖チェチリーア音楽院管弦楽団・合唱団ほか 2CD/DECCA 421 807-2 ステレオ)

「メロス弦楽四重奏団」 ー ベートーヴェン「弦楽四重奏曲全集」(旧盤)から

2011-09-22 13:51:27 | 室内楽曲
(独Intercord INT820 532)
 今日は「メロス弦楽四重奏団」が結成間もない1960年代末から70年代初頭にかけて録音した最初の「ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集録音」から筆者が好きな「ラズモフスキー・セット(第1番~第3番)」を取り上げてみたい。写真はその1993年に「独インターコード」から「CLASSICAL Creations」シリーズとして再リリースされた廉価盤CDである。筆者は同時に全9枚(全曲)を全て買い求めた。
 ところでこの「四重奏団」は1965年にヴィルヘルム・メルヒャー(第1ヴァイオリン)をリーダーとしてゲルハルト・フォス(第2ヴァイオリン/1993年よりイダ・ビーラー)、ヘルマン・フォス(ヴィオラ)、ペーター・ブック(チェロ)のメンバーで結成され2005年の解散まで実に40年に渡り世界的に活働を続けたドイツの名四重奏団である。筆者も来日公演には足を運び彼等の名演に陶酔した思い出もある。ベートーヴェンをはじめとしてシューベルト、ブラームス等々を大変得意としとりわけベートーヴェンの「弦楽四重奏曲」は1983年から86年にかけても「ドイツ・グラモフォン」にデジタル録音による全集録音も完成させている。しかしこの旧盤の「全集録音」も筆者には捨てがたくなかでもこの「ラズモフスキー・セット」はジャケット・デザインのごとき深みのある味わいを聴かせている。
(独Intercord INT820.533)

ネーメ・ヤルヴィ&バンベルク交響楽団ー「マルティヌー交響曲全集」

2011-09-21 14:48:10 | 交響曲

 エストニアの首都タリン出身の名指揮者ネーメ・ヤルヴィはエドゥアルド・トゥービン、ヴィルヘルム・ステンハンマルをはじめとするあまり馴染みのない作曲家の交響曲全曲録音を早くからとりそれらの完成度も高く評価され筆者も「BISレーベル(スウェーデン)」レーベルのLPをよく買い求めものだ。今回取り上げる「バンベルク交響楽団」との「マルティヌー交響曲全集」(1988年録音)もヴァーツラフ・ノイマン/チェコ・フィルの全集盤に並ぶ名盤である。オリジナル盤は先の「BISレーベル」からリリースされていたが2008年に「BRILLIANT CLASSICS」がライセンスを得て廉価盤として再リリースされた。オーケストラが「バンベルク響」ということも興味深いがマルティヌーが持つ抒情的旋律も実に美しい。写真ーBRILLIANT CLASSICS 8950(3CDセット)