ブルックナー解釈の権威と言われたオイゲン・ヨッフム(Eugen Jochum/1902~1987)は主要な宗教曲ジャンルもほとんどレコーディングしている。とりわけ本日取り上げるブルックナーが40歳の時に書いた「ミサ曲第1番ニ短調」(1864年)は彼の声楽曲作品の傑作として知られている。この作品は当初この年、時の「オーストリア皇帝=フランツ・ヨーゼフI世」の誕生日(8月18日)に演奏される予定だったが完成が間に合わず3ヶ月遅れの11月20日「リンツ大聖堂」でブルックナー自身の指揮で初演され大変好評であったと伝えれている。事実この宗教曲は和声が非常に美しい。
写真のLPレコードはヨッフムが1972年にミュンヘンのヘルクレス・ザールでバイエルン放送交響楽団・合唱団と独唱陣にはエディット・マティス(ソプラノ)、マルガ・シムル(アルト)、ヴィエスワフ・オフマン(テノール)、カール・リーダーブッシュ(バス)といったメンバーで録音した名盤である。(ドイツ・グラモフォンー2530 314)因みにこのレコードでは1876年改訂版(第2稿)で演奏である。