私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

カラヤン/ベルリン・フィル9回の来日公演を振り返って(2)

2009-04-30 18:49:38 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 カラヤン/ベルリン・フィルの続く第3回目の来日公演は「EXPO’70」開催記念音楽催事として1970年5月8日会場大阪フェスティヴァル・ホールを皮切りに大阪公演6、東京公演6の計12公演が行われた。東京公演は東京文化会館と最終日5月22日の申し込み制特別公演のみ日比谷公会堂だった。ちょうどこの年ー1970年はベートーヴェン生誕200年記念に当たり大阪公演のプログラムは5月14日の最終日を除きベートヴェン交響曲ツィクルスであった。写真は初日5月8日公演模様を伝える懐かしい新聞記事である。5月16日からの東京公演はブラームス、チャイコフスキー、シューマン、R.シュトラウス、ベルリオーズ等々カラヤン十八番の多彩なプログラムが組まれたが中でも5月17日オネゲル交響曲第3番「典礼風」、20日シューマン交響曲第4番、R.シュトラウス交響詩「ツァラトゥストラかく語りき」21日ベルリオーズ「幻想交響曲」等は来日公演ではこの時しか聴くことができなかった。また大阪公演最終日5月14日プログラム第2曲目にドイツ前衛音楽の第一人者ウォルフガング・フォルトナー(Wolfgang Fortner/1907~1987)の管弦楽曲「マルギナーリエン(よき犬に捧ぐ)」という1969年作曲作品が演奏されている。おそらく日本初演ではないかと思われる。この1970年来日公演の放送は残念ながらされなかったので私のエア・チェックテープ・コレクションもない。
 続く第4回目の来日公演は1973年6月にオープンされた渋谷・NHKホール落成記念としてNHK招聘でその年の10月下旬から11月初旬かけて行われた。
会場は東京がNHKホール、大阪はフェスティバル・ホールである。10月25日から11月1日(10月30日は休演)までの全7公演は全てNHKFM放送で関東甲信越管内はステレオ生中継(それ以外の地区はモノラル)でオン・エアされた。映像でも筆者が会場に足を運んだ第2日目のブルックナー交響曲第7番他と翌3日目のドヴォルジャーク交響曲第8番他はテレビでも放映された。また11月2日のフェステバル・ホール公演のベートーヴェン交響曲第6番・第5番の模様は関西地区限定でFMでステレオ生放送された筈である。
 この来日公演のプログラム構成も多彩で10月26日のブルックナー交響曲第7番や東京公演の最終日11月1日のシェーンベルク「清められた夜」など注目すべき作品が並んでいた。筆者も極力いい音で録ろうと必死でオープン・テープデッキとニラメッコの日々が会場に足を運んだ10月26日を除き続いたが満足できる音質で録れたテープは少なかった。個人的には再放送を期待したがこの時の録音・映像VTRも全てカラヤン側に返納されたのでNHKにも保存テープは存在しないとのことである。ただ10月27日公演のドレス・リハーサル模様のVTRが保存されており昨年限定期限つきで発売されたNHKクラシカル「カラヤン生誕100年記念BOX」のDVDに収録されている。余談ながらこの東京公演のチケット購入方法は所定の応募はがきによる抽選だった。今思えばよく当選したなと思っている。
                                次回に続く
 



カラヤン/ベルリン・フィル9回の来日公演を振り返って(1)

2009-04-29 08:30:04 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908~1989)は単身来日(1954)、ウィーン・フィル(1959)との来日を含めると全部で11回の来日を果たしたが今回は手兵ベルリン・フィルとの来日に焦点を絞り私のエア・チェック、ライヴCD・映像コレクションを整理しながら振り返ってみたいと思う。
 先ず最初の来日は1957年11月のことだった。当時小学校低学年の筆者にはリアル・タイムでの記憶はもちろんない。当時の記録資料等から得たものばかりあるが以下にまとめてみたい。公演は11月3日の内幸町にあった旧NHKホールでの招待制の公開演奏会から始まり11月22日の東京体育館でのNHK交響楽団との合同演奏会まで全国で15回の公演記録が残っている。このうち11月3日の公開演奏会(音声ステレオ)の模様は先頃DVD化され得典映像として名古屋市公会堂におけるアンコール曲バッハ管弦楽組曲第3番から「アリア」(モノラル)と当時のニュース映像(音声なし)がリリースされた。また昨年カラヤン生誕100年記念BOXの中に11月4日、日比谷公会堂ブラームス交響曲第2番ニ長調(モノラル)と11月6日、日比谷公会堂ベートーヴェン交響曲第3番変ホ長調「英雄」の録音(音源はエア・チェックテープ)が初CD化で加わった。この当時の録画記録手法はキネスコープ・レコーデイング略してキネコと呼ばれる方法で16ミリ・フィルムに記録され交響曲第5番は冒頭に欠落があるため静止画像になっている。但し音声は映像に同調させステレオ同時録音音声に置き換えられている。当時の記録としては大変貴重なものである。
 続く2回目の来日はそっれから9年後の1966年4月のことであった。この時私は高校2年生になっていた。初めて生のカラヤンの演奏会に足を運んだカラヤン・ファンの私にとって記念すべき年だった。東京会場は1961年に落成した上野の東京文化会館で行われた。この時は4月12日東京公演を皮切りに5月3日の東京最終公演まで全18回全国地方公演が展開された。カラヤンが地方公演を実施した最後の公演にもなったのがこの1966年の公演だった。東京公演のベートーヴェン交響曲全曲公演の模様は当時NHKFM放送で生中継(東京管内はステレオ)されたがまだFM放送が実験放送の段階で受信機の普及がいまいちだった。筆者もオープン・モノラルテレコで録音した記憶があるがそのテープは紛失してしまった。テレビ放映もされかなりの数の映像がNHKに保存されていると期待したが残念ながら初日4月12日の序曲「コリオラン」のみの映像しか残っておらず昨年発売された前述の記念BOXの中の収められている。これまた大変貴重な映像記録だ。音源も映像も来日当時の1年間の期限付きの放送権だったとのことで当時のVTR等は全てカラヤン側に返納されため「コリオラン」以外の記録はNHKにも保存されていない。誠に残念なことである。なぜ「コリオラン」序曲だけが残ったわけは年の「1966年音楽ハイライト」で放送のため別に編集されていたとのことだ。(NHKクラシカル/カラヤン生誕100年記念BOX解説から)
                            次回に続く

日本版「ホフナング音楽祭」~山本直純歴史的パロディコンサート

2009-04-28 15:17:12 | 冗談音楽
 2、3日目前にイギリスの「ホフナング音楽祭ー冗談音楽」ライヴ盤を紹介したが今日はその日本版ホフナングの世界ー「山本直純歴史的パロディコンサート」ライヴ盤(写真)を紹介したいと思う。山本直純氏(1932~2002)はクラシック音楽界でちょっと異色的存在だった。ご承知の様にラジオ、テレビ、映画音楽作曲等々でマルチ的な活躍し、民放番組「オーケストラがやってきた」彼が指揮、司会進行役を務めた大変人気を呼んだ長寿番組だった。そして私も会場に何回か足を運んだ1967年から約5年に渡り毎年夏に開催された日本フィルとの「山本直純ウィット・コンサート」は腹を抱えて笑ったものだった。会場の東京文化会館はいつも超満員だった。まさに日本版の「ホフナングの世界」である。
 この2CDセットは1967年~1969年の「ウィット・コンサート」ライヴ録音でもう2度と生では聴けない貴重盤である。そこでもう少し詳しく内容を紹介してみたい。DISC1には山本直純、冗談音楽の代表作交響曲第45番「宿命」と語りに噺家古今亭志ん朝師(1938~2001)を迎えプロコフィエフ音楽物語「ピーターと狼」(以上1967年7月25日収録)、DISC2はピアノ狂騒曲「ヘンペラー」(1968年7月18日収録)、ヴァイオリン狂騒曲「迷混」(1969年8月9日収録)が収められている。
 第45番とはベートーヴェンの9つの交響曲の番号を1+2+3...9と足していく計45となるところからきている。それに序曲「コリオラン」「エグモント」「レオノーレ第3番」に「東京オリンピック・ファンファーレ」や「鉄道唱歌」、童謡「春の小川」や朝鮮民謡「アリラン」等々数えきれないほどの名曲の断片を巧みにアレンジした大曲だ。また志ん朝師のウィットに富んだ江戸前のいなせな語り「ピーターと狼」も味わい深いものがある。DISC2のピアノ狂騒曲「ヘンペラー」は想像がつくようにベートーヴェンの第5番の協奏曲「皇帝」をベースに置きモーツアルト、シューマン、リスト、ラフマニノフ等々のピアノ協奏曲やガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」、アメリカ国歌、イギリス国歌、フランス国歌等々これまた数え切れないほどの名曲断片が次から次へと現れる。実に面白い。最後のヴァイオリン狂騒曲「迷混」はメンデルゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調をベースにしてモーツアルト「トルコ行進曲」や民謡、童謡、ブラームス、ベートーヴェン、チャイコフスキー等々のヴァイオリン協奏曲の断片等々名曲小品等々が巧みにアレンジされ現れる。尚ヴァイオリン独奏は当時の日本フィルのコンサート・マスター、ルイ・グレーラー氏が務めている。
 実に時間を忘れて「ウィット・コンサート」の世界に巻き込まれてしまう興味がつきないCDである。未聴の方は一聴の価値あり。



「マリン・オルソップの芸術」 - 4CD セットから

2009-04-27 16:39:29 | 女流指揮者
 近年、マリン・オルソップ、シモーヌ・ヤング、アヌ・タリ、そして日本の西本智実といったクラシック音楽界も女流指揮者の活躍がめざましい。そんな中で今日はアメリカのマリン・オルソップ(Marin Alsop/1956~ )にスポットを当ててみたいと思う。彼女はニューヨーク、マンハッタンの生まれ、ジュリアード音楽院で学び1989年のタングルウッド音楽祭で「クーゼヴィツキー賞」を受賞しレナード・バーンスタイン、小澤征爾に師事した経歴を持つ。1993年から2005年までデンバーに本拠を置くコロラド交響楽団の音楽監督を務めた。この間に英国のロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団の首席客演指揮者やボーンマス交響楽団の首席指揮者などヨーロッパでも活躍。2007年からは米国、ボルティモア交響楽団の音楽監督も務めている。
 レコーデイングも積極的でNAXOSレーベルから多数のCDをリリースしている。ロンドン・フィルとのブラームス交響曲全集録音は女性指揮者による世界初の録音(NAXOS)として注目を浴びた。写真は彼女が得意とするバーンスタイン、バーバー、チャイコフスキーの作品を集めた4枚セットのCDBox(NAXOS)で聴き応えのあるものばかりである。中でも2000年9月にライヴ収録されたコロラド交響楽団とのチャイコフスキーの交響曲第4番ヘ短調は私好みの演奏の一つで終楽章のコーダ、畳み掛けるような迫力に圧倒させられる。
 参考までにこのCDBoxの内容は下記のとおり

  ●レナード・バーンスタイン:交響組曲「波止場」(映画音楽)
                チチェスター詩篇から
          ミュージカル「オン・ザ・タウン」ー3つのダンス・エピソード
                         (ボーンマス交響楽団)
  ●チャイコフスキー:幻想的序曲「ロメオとジュリエット」
            交響曲第4番ヘ短調作品36 (ライヴ)
                         (コロラド交響楽団)
  ●バーバー :序曲「悪口学校」
         交響曲第1番ホ短調作品9
         管弦楽のためのエッセイ作品12
         交響曲第2番作品19
  ●      チェロ協奏曲作品22 (Vc)ウェンディ・ワーナー
         バレエ組曲:「メディア」作品23
         「弦楽のためのアダージョ」作品11
            (ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団)

             
      
  

カラヤン、最後のオペラ・レコーディング=ヴェルディ「仮面舞踏会」

2009-04-26 09:13:43 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 カラヤンは1989年「ザルツブルク祝祭音楽祭」オペラ演目にヴェルディの「仮面舞踏会」を取り上げることになっていた。いつものようにそのレコディングも予定どおり上演前のその年の1月から2月にかけてウィーン楽友協会大ホールにおいて無事完了し後は音楽祭の舞台実演の運びを待つだけだった。しかしそれは実現しなかった。彼は初上演を前にしてアニフの自宅で急逝してしまったからだ。私は当時彼の訃報を出張先メルボルンの地元新聞で読み愕然としたのを思い出す。真反対の南半球のオーストラリアでもさすが帝王カラヤンの訃報記事は大きく扱っていた。音楽祭の方は急遽ゲオルグ・ショルティが指揮の代役を務めつたと記憶している。
 ヴェルディの「仮面舞踏会」は18世紀末、スウェーデン国王グスターヴォ3世暗殺事件を題材にしたオペラであるがナポリ,サン・カルロ歌劇場上演の際クレームがつき上演拒否されたため舞台をアメリカに移し登場人物も架空な人名に置き換えら時期も17世紀末に設定し直したがこのカラヤン盤は女占い師ウルリーカを除きオリジナル版の役名に戻し時代も18世紀末、場所もスゥエーデン、ストックホルム王宮、郊外、王立オペラ劇場内部に設定しいわゆる慣用版とは異なる。
 歌手陣もグスターヴォ3世役にプラシド・ドミンゴ(テノール)、アンカーストレーム伯爵にレオ・ヌッチ(バリトン)をはじめとして往年の名歌手を揃えている。また小姓オスカルに当時売り出し中の韓国の名ソプラノ、スミ・ジョーを起用したことも注目される。カラヤンによる舞台上演ができなかったことは惜しまれるがこの録音が遺ったことで彼のオペラ芸術の魅力が結集されたものであることはまちがいない。(管弦楽はウィーン・フィル)
 

クラシック音楽ーパロディー化の世界「ホフナング音楽祭」ライヴ盤

2009-04-25 18:49:21 | 冗談音楽
 今日紹介するレコードはクラシック音楽をパロディー化して楽しむという意図で誕生した「ホフナング音楽祭」のライヴ盤である。「ホフナング音楽祭」と言う名称はこの催しを企画したベルリン生まれのイギリスの若手漫画家ジェラード・ホフナング(1925~1959)の名前からつけられた。記念すべき第1回のコンサートは1956年11月13日、ロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールで超満員の聴衆を集めて大成功を飾ったと伝えられている。まさに「クラシック冗談音楽」への幕開けとなった。その後第2回目の音楽祭が2年後の1958年11月に開催され大好評のため翌59年1月にも追加公演が行われたほどだった。しかし主催者のホフナングがその年の9月に35歳の若さで急逝してしまう。
 このコンサートを楽しみにしていたロンドンのファンは大ショックを受けた。そこでホフナングの親友だったマルカム・アーノルドと言う人が中心となり1961年11月28日に第3回目の「ホフナング音楽祭」が「ホフナング追悼演奏会」として開催された。この写真のレコードは第2回目1958年11月とこの第3回目1961年の演奏会ライヴの抜粋盤である。今から約40年余り前に発売されたものであるがオリジナル・ステレオ録音で音質も良好である。収録内容も多彩でベートーヴェンの「レオノーレ」序曲第3番をパロディー化して第4番やいんちきオペラ「ホフナング物語」等々ウィットに富んだ彼の奇抜なアイディアを充分に堪能できる1枚である。

エーリヒ・ラインスドルフ/ベルリン放送響来日公演ライヴ

2009-04-24 23:30:27 | FMエア・チェック
 エーリヒ・ラインスドルフ(Erich Leinsdorf/1912~1993)と言えばその昔モーツアルトの交響曲全集を最初に手がけた指揮者としてすぐ思い浮かべる。私が所有するレコード・CDの中では彼が指揮したものそれほど多くは見当たらないがコルンゴルトの歌劇「死の都」作品12(1975年6月録音ミュンヘン放送管弦楽団他)はルネ・コロ、キャロル・ネブレット、ヘルマン・プライなど往年の名歌手を揃えた名盤の一つであろう。それから今日話題にする1980年6月にベルリン放送交響楽団(現、ベルリン・ドイツ交響楽団)との来日公演ライヴ、ベートーヴェン交響曲第6番ヘ長調「田園」は私が特に気に入っている演奏である。(1980年6月9日/東京・厚生年金会館大ホール)この模様はFM東京/TDKオリジナル・コンサートの時間にオン・エアされた。写真のオープン・テープを今、当時を思い出しながら聴いている。
 決して派手な演奏ではないが聴けば聴くほど味が出てくる「田園」だ。第1楽章冒頭を聴くと不思議にヨーロッパの片田舎の田園風景が目に浮かぶ。実に素朴なところが何とも言いがたい。同時に彼のライヴ・テープはこれが私の唯一のコレクションなので大切に保存していきたい。

デジェ・ラーンキのモーツアルト・ピアノ・ソナタ連続演奏会

2009-04-23 18:47:50 | FMエア・チェック
 今日久しぶりに段ボール箱の中を整理したら「デジェ・ランーキ/モーツアルト・ピアノ・ソナタ連続演奏会」題した未整理のFMエア・チェック・オープン・テープが2本出てきた。(写真)演奏会日時を記した詳細記録が見当たらないないので早速再生してみることにした。おそらく私の記憶が間違いなければ今から約30年位前の1978年前後のブダペストにおけるライヴの記録と思われる。
 デジェ・ラーンキ(1951~ )はこの当時売り出し中のハンガリーの若手ピアニストであった。収録曲目はピアノ・ソナタ第2番ヘ長調K.280、第4番変ホ長調K.282、第5番ト長調K.283、第6番ニ長調K.284、第8番イ短調K.310、第9番ニ長調K.311、第12番ヘ長調K.332、第13番変ロ長調K.333、第15番ハ長調K.545、ピアノ・ソナタ ヘ長調K.547aの全10曲である。今改めて聴いてみると骨太のモーツアルトで彼のピアノ・テクニックの素晴らしさも再認識させられた。実にそつなくモーツアルトのソナタを自分のものにしてしまっている見事な弾きぶりだ。聴衆の熱い拍手からも充分に感じとれる。若きラーンキの貴重な記録であると共に忘れていた私のエア・チェック・コレクションがまた一つ増えた。


カラヤンのハイドン:オラトリオ「四季」

2009-04-22 17:45:21 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 先頃、ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィル他によるハイドンのオラトリオ「四季」全曲が国内盤としてしかも廉価盤として初CD化された。(写真)カラヤン・ファンの私には嬉しい限りである。これまで全曲盤のCD化がされなかったのが不思議なくらいである。
 今年はフランツ・ヨゼフ・ハイドン(Franz Joseph Haydn/1732~1809)の没後200年という記念すべき年に当たるため国内コンサートでもハイドンの作品が取り上げられる機会も多いと思われる。筆者も早速2月の新日本フィル定期でフランス・ブリュッヘンの指揮でもう一つの傑作「天地創造」を聴いた。
 さて、カラヤンのこの作品へのスタンスであるがベルリン・フィルという近代最高のオーケストラの技量を彼の豊かな感性で引き出し楽曲の対位法的流れを巧みに表現していくあたりが素晴らしい。独唱陣も往年のカラヤン組ーソプラノ、グンドゥラ・ヤノヴィッツ、テノール、ヴェルナー・ホルヴェーク、バス、ワルター・ベリーの名歌手が揃い文句なし。録音は1972年11月にベルリン、ダーレム、イエス・キリスト教会での録音セッションである。ただこの作品をカラヤンがコンサートで取り上げた記録はほとんどないと思われる。因みに私の手元の資料ではこの録音が行われた1972/73シーズンにおける72年11月25、26日のベルリン・フィルハーモニー定期公演の記録があるのみである。


スヴェトラーノフ/国立ソヴィエト交響楽団1978年来日公演

2009-04-21 18:16:58 | 想い出の演奏会
 来日のたびに何回となくエフゲニー・スヴェトラーノフ(Evgeny Svetlanov/1926~2002)指揮・国立ソヴィエト交響楽団(現、ロシア国立交響楽団)の公演に足を運んだ私だがその中でも1978年10月公演は「第2回ロシア=ソヴィエト音楽祭・東京1978」として開催され強く印象に残った演奏会だった。この公演はまた「モスクワ放送合唱団」も来日しショスタコーヴィッチのオラトリオ「森の歌」など普段生で聴く機会が少ない作品に接することができた。
 私が実際生で聴いたコンサートは10月21日、渋谷、NHKホールでの公演でプログラムはチャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」とショスタコーヴィッチ:オラトリオ「森の歌」作品81である。特に前者のチャイコフスキーの「悲愴」はスヴェトラーノフの同曲演奏の中で私には一番インパクトの強い演奏だった。テンポを遅めにとり重量感のあるずっしりとした「悲愴」だった。この公演の模様は後にNHKーFMでオン・エアされたのでテープにとり公演の雰囲気を自宅でも味あうことができた。因みに演奏時間も第1楽章約21分第2楽章約9分第3楽章約9分第4楽章約14分(演奏後の拍手を除く)でネットで計約53分を要している。彼が遺した同曲録音の他の数種の演奏時間は約46分(1990年東京)から1993年モスクワ録音の約51分に集中しているので演奏スタイルとしては93年モスクワ録音に近い。この78年の演奏では特に第4楽章の神がかり的ともいえる少し長い「間」のとり方が素晴らしい。
 写真は当時の「来日公演」のチラシ。