私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

フリッツ・ライナー、シカゴ響 R.シュトラウス「家庭交響曲」

2012-08-31 11:52:23 | 交響曲

     (日ビクター・ステレオ・オープン/STC-2102)

 久しぶりにフリッツ・ライナーが指揮するシカゴ交響楽団の「4トラック・ステレオ・オープンテープ」を再生した。これはステレオ最初期1956年11月のセッション録音である。「米RCA」は「英デッカ」と並びステレオ録音を早くから試みこの演奏もLP時代ビクターの「リビング・ステレオ・シリーズ」として親しまれた。1960年代から70年代前半にかけLPと並び「4トラック・2チャンネル・ステレオ・オープン・テープ」が各レコード会社から発売され注目絶賛されていた時代が懐かしい。「オープン・ステレオ・デッキ」全盛時代である。

 ライナーはR.シュトラウスを得意としておりモノラル録音も含め主要作品につては複数の録音を遺しているがこの「家庭交響曲」はこの録音が唯一のものである。オープン・テープは湿気対策等保存のケアに気を使うが保存状態が良ければ音質劣化は皆無に等しい。ステレオ最初期の録音を感じさせないライナーの切れ味がひかる演奏である。

 

 

 


J.クリップス&ロンドン響 「ベートーヴェン交響曲全集」

2012-08-30 19:04:16 | 交響曲

  「ベートーヴェン生誕200年」の1970年頃だったと思う。 「日本コロムビア」の廉価盤「ダイヤモンド1000シリーズ」でもリリースされたヨーゼフ・クリップスの「ロンドン交響楽団」と1960年ステレオ・セッション録音による「ベートーヴェン交響曲全集」が数年前にカナダの「Madacy」レーベルより限定発売でCD化された。(写真/Madacy-TCD2 52320) 写真のとおりキャンディーやチョコレート・ボックスを連想させるオシャレな缶入りのCD5枚組みである。

 どれもがウィーン出身のクリップスらしく気品を備えた演奏だが先の廉価盤での発売当時、国内での評価は今一だったと記憶している。確かに演奏に派手さは感じられないがこのCDで改めて耳にするとこのような「オーソドックス・スタイル」のベートーヴェンも聴き手を心地よくさせる。オーケストラが名門「ロンドン響」というところも多分にあるだろう。現在は昔の名録音が廉価な価格でCD化される時代でクラシック音楽愛好家にとっては大変ありがたいことである。 また最近では2009年にこの録音の原盤「米エヴェレスト」より重量盤LP(10枚組)でも高価ながら発売されている。

 


D.オイストラッフ、ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」

2012-08-29 01:33:14 | 協奏曲

 筆者が学生時代に先ずステレオ・レコードでよく耳にしたヴァイオリニストはダヴィッド・オイストラッフやヤッシャ・ハイフェッツのベートーヴェンの「ヴァイオリン協奏曲」だった。この二人の演奏スタイルは全く対照的で興味深かったがベートーヴェンでは前者のオイストラッフの演奏に惹かれていった。 写真のLPはオイストラッフがステレオ初期(1958年)にアンドレ・クリュイタンス指揮フランス国立放送局管弦楽団と録音したベートーヴェンで現在も不滅の名盤の1枚に数えられている。(国内盤/東芝AA8030/1967年発売)

 ちょうどこのLPが発売された1967年春、オイストラッフは「キリル・コンドラシン&モスクワ・フィル」の初来日公演に同行、ショスターコヴィチ、チャイコフスキー、ブラームスなどの協奏曲を演奏、また東京公演では自らの指揮も披露した。当時の公演の一部も以前に「NHK放送音源」からCD化された。(Altus)これらの演奏からも彼の超ヴィルトゥオーソ性がよくうかがえる。


「斎藤秀雄メモリアル・コンサート、1984」 ライヴ盤

2012-08-27 11:40:24 | 想い出の演奏会

 写真の2枚組LPは1984年9月18日に「東京文化会館」で行われた「斎藤秀雄メモリアル・コンサート」を収録したライヴ盤である。(フォンテック/FONX-5017-18、1985年発売) このコンサートが開催された9月18日は斎藤秀雄(1902~1974)の命日にあたっていた。オーケストラの「桐朋学園斎藤秀雄メモリアル・オーケストラ」は現在の「サイトウ・キネン・オーケストラ」の前身である。 この日の東京文化会館大ホールは超満員の聴衆の熱気が漂っていた。指揮は門下の小澤征爾と秋山和慶、小澤が振ったR.シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」のソロは今井信子(ヴィオラ)と堤 剛(チェロ)である。

 当日は秋山がモーツアルト「ディヴェルティメント 二長調 K.136」、シューマン「交響曲第3番変ホ長調作品97<ライン>」を指揮、小澤が先のR.シュトラウスとバッハ「シャコンヌ」(斎藤秀雄 編曲)を指揮した。 またこのレコードには特典盤として斎藤秀雄が「新日本フィル」の第16回定期(1974年2月18日)で振ったロッシーニ/歌劇「セビリャの理髪師」序曲とJ.シュトラウス「皇帝円舞曲」を収めた17cmLPが付いていた。(写真・下)


R.クーベリック&バイエルン放送響、初来日公演ライブ盤 (1965)

2012-08-26 12:20:28 | 想い出の演奏会

  チェコの巨匠ラファエル・クーベリック(1914~1996)が「バイエルン放送交響楽団」と共に初来日公演を行ったのは1965年の春だった。 一行はこの年の「大阪国際フェスティバル」に参加、その後「北九州」、「名古屋」とまわり最後に「東京」で4日間の公演を行った。筆者も当時会場の「東京文化会館」に足を運んだ思い出がある。

  東京公演の初日、4月21日の公演はブルックナーの大曲「交響曲第8番ハ短調」で始まった。当時の日本ではこのようなブルックナーの大曲が演奏されることはまれで外来オーケストラでも1959年のカラヤン&ウィーン・フィル(「第8番」日本初演)や1962年ハイティンク&アムステルダム・コンセルトヘボウ初来日公演時の「第5番」が思い起こされる程度である。残念ながら当時のこれらのライヴ音源は残されてないが初来日時の「クーベリック/バイエルン放送響」のこのほかの一部のコンサート・ライヴが今から十年ぐらい前に「NHK放送音源」から「CD化」された。写真(上)はその東京公演(4月23日・24日)のライヴを収めた2枚でこのほか「大阪公演」の4月12日・13日公演の一部もCD化(Altus/ALT008)されている。(Altus-ALT009・010、写真上/東京公演)

 因みに東京公演(東京文化会館)のプログラムを列記する次のようになる。

  4月21日 (水)  ブルックナー   交響曲第8番ハ短調 

  4月22日 (木)  ベートーヴェン  交響曲第6番ヘ長調 作品68「田園」 

              バルトーク 「管弦楽のための協奏曲」

  4月23日 (金)  モーツアルト   交響曲第35番ニ長調「ハフナー」(*)

               ヒンデミット    「ウェーバーの主題による交響的変容」(*)

               フランク      「交響曲短調」(*)

  4月24日 (土)  シューベルト   交響曲第8番(現、第7番)ロ短調「未完成」(*)

           ワーグナー   楽劇「トリスタンとイゾルデ」から前奏曲と愛の死(*)

           ドヴォルザーク 交響曲第9番ホ短調 作品95 「新世界から」(*)

  (*印=CD化、このほかに4/23のアンコール曲、ワーグナー/歌劇「ローエングリーン」第3幕への前奏曲もCD化)

 尚、大阪公演のCD化はワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲と4/13のバルトーク「管弦楽のための協奏曲」・アンコール曲、ドヴォルザーク「スラヴ舞曲作品72-2、-7」 (以上 大阪フェスティバル・ホール)

   

     (クーベリックのサインを表紙にした1965年東京公演プログラム)             

                 

 

 


タマーシュ・ヴァーシャリのショパン「ピアノ協奏曲第2番」

2012-08-24 16:34:14 | 協奏曲

 現在は指揮者としても活躍中のハンガリー出身のタマーシュ・ヴァーシャリも今年79歳。写真のLPは若きヴァーシャリが弾くショパンの「ピアノ協奏曲第2番ヘ短調」ほかを収録した懐かしい1枚である。 指揮はヤーノシュ・クルカ、管弦楽はベルリン・フィルで1963年の録音である。このレコードの第二面の余白には同時に録音したショパンの「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ変ホ長調」と「夜想曲嬰ハ短調(遺作)」も収められている。(ドイツ・グラモフォン国内盤、SLGM1231/1964年初出)

 ヴァーシャリはショパンを大変得意としておりショパンのピアノ作品の大半を「ドイツ・グラモフォン」に録音、「第1番ホ短調」も1965年にベルリン・フィルとセムコフの指揮で録音している。これらのレコードは若きヴァーシャリの代表盤で先ごろ国内盤では「第1番」・「第2番」のカップリングでCD化された。(ユニバーサル・クラシック)


ベーム、「バイロイト音楽祭、1963」-ベートーヴェン「交響曲第9番」ライヴ盤

2012-08-23 21:50:38 | 交響曲

 「バイロイト音楽祭」においては通常R.ワーグナー以外の作品は演奏されないが例外的にベートーヴェンの「交響曲第9番」が不定期に演奏されることがる。記憶にまだ新しいところでは2001年に「バイロイト音楽祭150年」・「新バイロイト様式50年」を記念しクリスティアン・ティーレマンが振っている。(写真・下/プログラム)また戦後、音楽祭再開の年1951年、フルトヴェングラーによる演奏は記念碑的演奏として後世に伝えられ「第9」の超名演としても知られるところである。

 今日紹介する巨匠カール・ベームが指揮台に立った1963年の「第9番」は「バイロイト音楽祭」演奏史上1954年のフルトヴェングラー(2度目)以来通算6回を数えるものだった。先のティレーマンはベーム以来の38年ぶりの演奏ということになる。写真(上)のLPレコードは今から30年近く前にイタリアのマイナー・レーベルのひとつ「メロドラム(MELODRAM)」からリリースされたそのベーム指揮の「第9」のコンサート・ライヴ盤<2LP/MEL650(2)>である。当時の放送音源から起こされたものと推測されるがモノラルながら音質は大変良好である。音楽祭開幕のファンファーレも収録されている。演奏は1951年の「フルトヴェングラー盤」の緊張感が漂う演奏とは対照的でベームらしいゆったり感ある演奏が興味深い。独唱陣はソプラノ=グンドゥラ・ヤノヴィッツ、メゾ・ソプラノ=グレース・バンブリー、テノール=ジェス・トーマス、バリトン=ジョージ・ロンドンといった面々である。この中ではやはりソプラノのヤノヴィッツの美声がひかる。管弦楽=バイロイト祝祭管弦楽団、合唱=同、合唱団。 LPには記載はないが1963年7月23日のライヴ録音である。ただ2枚組LPで「第2楽章」が二面にまたがるという珍しいカッティングに驚いた。演奏終了後、沸き起こる聴衆の怒涛の拍手はタップリと収録してある。 尚、レコード第4面にはこの「第9」でも歌っている名バスバリトン、ジョージ・ロンドンの1953年・56年・59年のバイロイトでの歌唱を集めている。

 このLPを再生しながら思い出したがベームはこの年秋、「ベルリン・ドイツ・オペラ」と来日、「日生劇場」(1963年11月7日)でも「第9」を振っている。この時のライヴも過去にCD化されたことがあり懐かしい。

(2001年バイロイト音楽祭/ティーレマン「第9」プログラム)

 

 

 


オッテルローの名盤、ベルリン・フィルとのベルリオーズ「幻想交響曲」

2012-08-22 19:41:43 | 交響曲

  昨日に続き過去に取り上げなかったベルリオーズ「幻想交響曲」の名盤から今日は「ウィレム・ヴァン・オッテルロー&ベルリン・フィル盤」にスポットを当ててみたい。オランダの名匠オッテルロー(1907~1978)は1966年から70年代前半にかけて「読売日響」に度々客演、オールド・クラシック・ファンには馴染み深い指揮者だった。 彼はベルリオーズの「幻想交響曲」も得意としおりこのベルリン・フィルと1951年に録音した「フィリップス盤」は彼の名盤として誉れが高い。(写真/英フィリップスーABL3019) オーソドックス・スタイルでアクもない端正な演奏でフランスのオーケストラではなく「ベルリン・フィル」というところも興味深い。 彼はその後、「ハーグ・フィル」とステレオで、さらに1971年から亡くなる78年まで常任指揮者を務めた「シドニー響」ともレコーディングしている。

 

 


ジャン=クロード・カサドシュ&フランス国立リール管の「幻想交響曲」

2012-08-21 19:39:03 | 交響曲

 これまでにベルリオーズの「幻想交響曲」については数々の名盤を紹介済みではあるが今日取り上げたいジャン=クロード・カサドシュ指揮「フランス国立リール管弦楽団」による演奏もなかなか魅力的な1枚である。 

 指揮のジャン=クロード・カサドシュは1935年パリ生まれ今年77歳を迎える名指揮者だが録音が「仏harmonia mundi」等のマイナー・レーベルから出ておりそのほとんどが現在廃盤ということもあり日本では知名度が今ひとつの感がある。因みに彼の師はピエール・デルヴォーやピエール・ブーレーズである。写真(上)のCDは彼が「リール国立管」首席指揮者時代、1980年7月のスタジオ録音である。全体的にスロー・テンポで進める「幻想」だが(演奏時間55分強)因みに第1楽章の主題提示部の反復は実行しているが「第4楽章<断頭台への行進>」の反復は省略している。(harmonia mundi ,France HMP 390072)

 このコンビは今からちょうど30年前の1982年に初来日しており筆者も会場の「東京文化会館」に足を運んだ思い出がある。(1982年12月3日)このときのメイン・プロはムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編曲)だった。ベルリオーズの「幻想交響曲」も翌12月4日のメイン・プロに組まれていた。写真(下)は当時の来日公演プログラム。

 


カラヤン&BPO サン=サンース「交響曲第3番<オルガン付き>」

2012-08-19 12:37:17 | ヘルベルト・フォン・カラヤン

 カラヤン&ベルリン・フィルのサン=サンース「交響曲第3番ハ短調作品78<オルガン付き>」、カラヤンのサン=サンース作品唯一の録音である。 1981年9月、「フィルハーモニー」におけるデジタル録音だがオルガン・パートはパリの「ノートル=ダム聖堂」のオルガンを使用して別テイクとの合成であった。 オルガンはフランスの名オルガニスト、この「ノートル=ダム聖堂」のオルガニストを務めたピエール・コシュローがあたっている。(写真=独グラモフォン・オリジナルLP、2532 045)

 テンポをゆったりとりカラヤンらしく入念に磨き上げた聴き手をウットリとさせてしまう美しい演奏だが筆者が調べた範囲では実際のコンサートではプログラムに取り上げなかったようだ。 ジャケット・カバーはグラフィック・デザイナー、オルガー・マチスのデザイン。