私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

マリア・カラスのプッチーニ/歌劇「トゥーランドット」 唯一の全曲録音盤

2015-04-03 17:54:24 | オペラ

 マリア・カラスのプッチーニ歌劇「トゥーランドット」、唯一の全曲盤である。写真のLPは1960年代発売の国内盤「エンジェル・グレート・オペラ」レコーディング・シリーズ第1巻だった。(東芝AB 9351-C 3LP) 1957年7月、ミラノ・スカラ座におけるセッション録音(モノラル)なので音には時代を感じるがまさにカラス絶頂期の美声に圧倒される。またリュウを歌うシュワルツコップとも唯一の貴重な録音となった。王子カラフを歌うエウジェニオ・フェルナンディも好演である。指揮はトゥリオ・セラフィン、バックはミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団。

 


ヴェルディ:歌劇「トロヴァトーレ」 - 歴史的名盤

2014-09-19 09:54:30 | オペラ

 1962年7月録音のミラノ・スカラ座における当時のベスト・メンバーをそろえたヴェルディ中期の傑作「トロヴァトーレの歴史的名盤である。(写真ー国内盤独グラモフォン60MG0098-100/ステレオ)主なキャストはルーナ伯爵=エットーレ・バスティアニーニ(バリトン)、レオノーラ=アントニエッタ・ステッラ(ソプラノ)、アズチェーナ=フィオレンツァ・コッソット(メゾ・ソプラノ)、マンリーコ=カルロ・ベルゴンツィ(テノール)といった具合である。指揮はトゥリオ・セラフィン、ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団、ライヴではないが録音も素晴らしい。思い起こし手元の1963年「NHKイタリア歌劇団公演」のプログラム(写真・右下)をめくってみるとダブル・キャストになっているがレオノーラはステッラ、ルーナ伯爵にはバスティアニーニの名前が載っていた。

                                                      

 

 


ヴェルディ 歌劇「ファルスタッフ」 (1960年グラインドボーン音楽祭ライヴ盤)

2013-10-17 18:35:40 | オペラ

 今年2013年はヴェルディの生誕200年の年である。今日紹介する歌劇「ファルスタッフ」は作曲者80歳を前にして書きあげた最後のオペラ、喜劇作品として人気がある。またこの「グラインドボーン音楽祭」でもこれまでに数多く上演されている。ところで「グラインドボーン音楽祭」とはロンドンの南およそ80kmに位置するイースト・サセックス州ルイス(Lewes)近郊で毎年夏に開催される「オペラ音楽祭」である。写真はこの音楽祭からのライヴ音源をCD制作するために設立された「グラインドボーン(Glyndebourne)レーベル」よりリリースされた歌劇「ファルスタッフ」、1960年のライヴ盤である。(ブックレット2CD GFOCD 012-60) 1955年より始まったこのカール・エーベルト演出の「ファルスタッフ」は非常に好評だったようである。指揮はヴィットリオ・グイ、管弦楽はロイヤル・フィル、ファルスタッフは当時当たり役のジェレイント・エヴァンス(バリトン)、アリーチェ役には名ソプラノのイルヴァ・リガブーエまたフォード役には千両役者のセスト・ブルスカンティーニ(バリトン)と役者揃いである。一聴に値するCDである。モノラル録音だが音質は大変素晴らしい。

 


「1996年グラインドボーン音楽祭」ーベルク:「ルル」

2012-09-02 23:07:16 | オペラ

 「現代の伝説の名ライヴ」と語り継がれる1996年「グラインドボーン音楽祭」におけるベルク歌劇「ルル」、主役のルルを演じたクリスティーネ・シェーファーも今や世界的ソプラノ歌手となった。この時の模様は当時NHK BS放送でオン・エアされ筆者も録画、音声は「DAT」で録音した。グレアム・ヴィック演出、アンドリュー・ディヴィス指揮による上演はチェルハ補筆全3幕完成版であった。ヴィック演出による劇中の「無声映画」も印象的だった。

 映像はその後8年経過した2004年に「ワーナー・ミュージック」よりDVD化された。この年の「レコード・アカデミー賞特別部門ビデオ・ディスク」に輝いている。秋の夜長にじっくりとベルクのオペラに耳を傾けてみるのも悪くない。

 


ベーム&ドレスデン国立歌劇場管ほか モーツアルト/歌劇「後宮からの逃走」全曲

2012-07-16 12:23:53 | オペラ

 写真のLPは巨匠カール・ベームが「ドレスデン国立歌劇場管弦楽団」ほかと1973年9月、ルカ教会(ドレスデン)で当時東独の「ドイッチェ・シャルプラッテン」の協力のもとで録音したモーツアルト/歌劇「後宮からの逃走」K.384全曲盤である。(DG国内盤3LP-MG8161-63/1977年発売) またLP第6面には同時に録音された普段はめったに上演されることがない歌劇「劇場支配人」K.486の全曲も収録されている。

 歌劇「後宮からの逃走」はドイツ語によるジングシュピール(歌芝居)で「トルコ風」の旋律が流れるのも特徴的である。歌手陣もソプラノのアーリン・オジェーをはじめとする当時のベスト・メンバーを揃えているところも魅力的だ。ただ台詞の部分は舞台俳優が担当しているところがレコードならではのユニークなところである。 このほか、ベームには1980年4月上演の歌手陣が異なる「バイエルン国立歌劇場」におけるライヴ映像がDVD化されているので聴き比べも興味深い。

 カップリングされた1幕ものの「劇場支配人」は序曲は単独でよくコンサートで取り上げられるが全曲を耳にする機会はほとんどない。ベームのこの全曲盤はその観点からも貴重である。こちらは台詞は割愛されている。

 


プーランク「人間の声」

2012-05-02 16:06:28 | オペラ

 プーランク(Francis Poulenc/1899~1963)がジャン・コクトーの台本に基づき書き上げた1幕のモノドラマ、「人間の声(La Voix Humaine)の名盤といえばパリ、オペラ・コミークで世界初演(1958年)の直後、同じ顔ぶれでレコーディングされたジョルジュ・プレートル指揮によるレコード(伊RICORDI→EMI)が思い浮かぶ。しかし今回はドイツ語で演じられた2003年ブレゲンツ音楽祭におけるライヴ盤を取り上げてみたい。(写真)

 このCDは2005年に「VMS Musical Treasures」(Austria)からリリースされたものでORF(オーストリア放送)との共同制作盤である。(VMS 144)演奏はソプラノ=バーバラ・フリーベル(Barbara Friebel)、クリストフ・エベルレ(Chrisitoph Eberle)指揮フォラールベルク交響楽団によるもので普段はほとんど耳にしないメンバーによるところも興味深い。ソプラノのバーバラ・フリーベルは筆者の記憶では確か2006年の「シュトゥットガルト」の歌劇場来日公演で同行メンバーに入っていた歌手ではないかと思う。また管弦楽の「フォラールベルク響」はオーストリア最西端の州「フォラールベルク」に1984年に設立された新しいオーケストラである。

 筆者も以前にこの「ブレゲンツ音楽祭」にも訪れたことがあるがこのライヴ録音が行われた「コルンマルクト劇場」が懐かしく思い浮かぶ。尚このCDにはもうひとつエベルレ指揮フォラールベルク響ほかの演奏でヤナーチェクの歌曲集「消えた男の日記」も同音楽祭におけるライヴで収録されている。こちらもドイツ語による歌唱が興味深い。

 

 

 

 

 


グリンカ/歌劇「イワン・スサーニン」ーハイライト盤

2012-01-12 19:03:58 | オペラ

 今日は懐かしい10インチLPレコードからグリンカのオペラ代表作「イワン・スサーニン」を取り上げてみたいと思う。(写真)グリンカ(Mikhail Ivanovich Glinka/1804~1857)は「ロシア国民音楽の祖」と呼ばれている人である。しかし日本ではまだコンサートのアンコールなどでよく演奏される歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲が馴染み深いところだろうか・・・
 この「イワン・スサーニン」というオペラは先の「ルスランとリュドミラ」より前、1836年の作品で彼の「ロシア国民歌劇」として最初の成功作でもあった。題材は1612年「ロマノフ王朝」成立期の内乱に乗じて侵攻したポーランド軍を農夫スサーニンが巧みに欺き雪深い森の中に導いたが気づかれ殺されてしまう彼の英雄的物語である。1836年ペテルブルグ初演時は4幕とエピローグを持つ「イワン・スサーニン」のタイトルで上演されたが帝政賛美のために時の皇帝ニコライ1世が題名を「皇帝に捧げた命」と改題させた。因みに題名がオリジナルの「イワン・スサーニン」に戻ったのは1939年のことである。
 現在このオペラ全曲の国内盤はなく最近では英カプリッチョ(CAPRICCO)盤(イワン・マリノフ指揮ソフィア国立歌劇場盤)出たくらいである。写真のLPはワシリー・ネボルシン(1898~1958)指揮ボリショイ劇場管弦楽団・合唱団他によるハイライト盤でおそらく1950年前後の録音と思われる。(新世界レコード/PH-30)モノラル録音のため時代を感じさせるが各幕の一番の聴きどころを一つづつピックアップしてうまくまとめてある。終幕の合唱とモスクワのロシア正教会の鐘が高らかに鳴り響くところは圧巻である。

サージェントの- ギルバート&サリヴァンのオペレッタ「ラッディゴァ(Ruddigore)」

2011-09-24 18:21:16 | オペラ

 イギリスの作曲家アーサー・サリヴァン(Arthur Sullivan/1842~1900)は日本では馴染みが薄いが本国では「コミック・オペラ」の分野で人気が高かった人である。彼は劇作家ウィリアム・S・ギルバート(William Schwenck Gilbert/1836~1911)とコンビを組み数々の「コミック・オペラ」の傑作を生み出した。本日紹介するオペレッタもその一つで「ラッディゴァ(Ruddigore)」またの題名を「魔女の呪い(The Witch's Curse)」とも呼ばれている。
 タイトルの「Ruddigore」とはこの作品に登場する「デスパード・マーゲイトロイド卿(Sir Despard Murgatroyd)」のことでレコードの解説によれば元は”Ruddygore”と綴っていた。別名の「魔女の呪い」から想像するとなにか無気味さも感じさせるが話の内容は気楽に聴ける全ニ幕ものの「ドタバタ喜劇」である。因みに初演は1877年ロンドンの「サヴォイ劇場」で行われている。写真のLPレコードはジャケット・デザインに惹かれて30年以上も昔にロンドンで求めたものである。(英EMI/SXDW3029/2LPステレオ)演奏はサー・マルコム・サージェント指揮プロ・アルテ管弦楽団・グラインドボーン音楽祭合唱団他によるスタジオ・セッションで1960年代初頭録音と思われる。歌手陣にはエリザベート・ハーウッド(ソプラノ)の名前が見られる。この全曲録音では台詞の部分は省略してある。現在ではおそらくサージェントが遺したレア盤の1枚に入るであろう。


マリオ・デル・モナコの歌劇「道化師」

2011-09-23 19:17:07 | オペラ

 マスカーニと並びイタリア・ヴェリズモ・オペラの確立者レオンカヴァッロの代表作「道化師(I Pagliacci)」のカニオは世紀の名テノール、マリオ・デル・モナコ(Mario Del Monaco/1915~1982)の当たり役のひとつだった。彼のドラマチックで迫力ある美声は世界のオペラ・ファンを魅了した。オールド・オペラ・ファンの方なら1961年「第3回NHK招聘イタリア歌劇団」公演を思い起こされることだろう。彼がこの時演じた「道化師」は現在はDVD化もされ視聴が可能である。
 さて写真のCDはこの「東京公演」の2年前、1959年にローマ、聖チェチリーア音楽院でレコーディングされたもので今や「歴史的名盤」となっている。ここでもモナコの迫力ある美声が断トツに輝き圧倒される。筆者は以前に紹介済みの「カラヤン/ミラノ・スカラ座・ベルゴンツィ盤(1965年録音/DG盤)と共に愛聴している。また一緒にカップリングされた1960年録音マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」のトゥリッドウも言うまでもなく素晴らしい。因みに主役の村娘サントゥッツァを演じたジュリエッタ・シミオナートもこの1961年の公演で同役で出演、その輝かしい歌唱も今では語り草になっている。(写真/「道化師」ーモリナーリ=ブラデッリ指揮 ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団・合唱団ほか、「カヴァレリア・ルスティカーナ」ーセラフィン指揮 ローマ聖チェチリーア音楽院管弦楽団・合唱団ほか 2CD/DECCA 421 807-2 ステレオ)

ロリン・マゼール/ビゼー歌劇「カルメン」 - 1966年「ウィーン国立歌劇場」ライヴ盤

2011-09-09 10:17:58 | オペラ

 2008年に「独オルフェオ」レーベルから世界初リリースされたロリン・マゼールの「ウィーン国立歌劇場管弦楽団」とのビゼー/歌劇「カルメン」ライヴ盤も筆者にとっては興味深かかった。(写真/独オルフェオ2CD-C7330821/モノラル)このライヴは1966年2月19日に「ウィーン国立歌劇場」で公演されたもので「オーストリア放送協会(ORF)」の音源によるものだが1960年代半ば過ぎの録音にしてモノラルなのがちょっと残念だが音質は良好である。当時指揮者のマゼールは38歳、その前年に「ベルリン・ドイツ・オペラ」の音楽総監督の地位に就いている。
 マゼールの「カルメン」と言えばその「ベルリン・オペラ時代」の1970年に「ベルリン・ドイツ・オペラ管」とアンナ・モッフォほか役者揃いの名盤(ステレオ録音)を思い浮かぶがこのウィーンでの「ライヴ盤カルメン」もクリスタ・ルートヴィッヒ(カルメン)、ジェームズ・キング(ドン・ホセ)をはじめとする豪華キャストをそろえている。またライヴ録音ならではの会場の熱気、興奮、緊張感が伝わってくる。若きマゼールの棒も素晴らしい。
 ところでビゼーの歌劇「カルメン」は当初、台詞が入るいわゆる「オペラ・コミーク様式」で書かれていたが1875年パリの「オペラ・コミーク」で初演が不評だったのでビゼーと親交が深かったエルネスト・ギロー(Ernest Guiraud)が台詞の部分を「レチタティーヴォ」にして通常の「オペラ」スタイルに改訂した。因みにこのライヴ盤では「レチタティーヴォ」で上演されているが1970年のスタジオ録音では1964年にカッセルの「アルコーア」から出版された台詞を復活させたオリジナルの「オペラ・コミーク様式」に近いスタイルで行われている。