私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

「デキシーランド・ジャズ」スタイルで聴く「童謡」・「日本民謡」

2011-06-07 16:33:20 | ジャズ

 「デキシーランド・ジャズ」は今から100年以上も前にアメリカ南部ニューオリンズで生まれた最も古いジャズ音楽である。今日紹介するイギリスの「ケニー・ボールと彼のジャズメン(Kenny Ball And His Jazzmen)」は1960年代、70年代にかけてイギリスを代表する「デキシーランド・ジャズ」の分野で活躍したグループの一つとして知られている。彼等はイギリスの「パイ・レコード(PYE RECORDS)」に多くの録音をしている。また1964年には初来日し日本の「デキシー・ファン」を魅了したことも「オールド・ファン」ならご存知のことと思う。
 さてこのグループの魅力は特に世界の古い民謡やヒット曲を「デキシー・スタイル」に編曲し演奏してしまうところにあると思う。そして彼等の名前を一躍有名にしたのが1960年代初頭に発売されたロシア民謡の「モスコーの夜は更けて」であろう。筆者をライブラリーをチェックしたところさすがにそのオリジナル盤は見当たらなかったが1970年代に再リリースされたシングルEP盤がでてきたのでそのジャケットも合わせて紹介しておきたい。(PYE RECORDS-UP-413-Y/国内盤モノラル)
 ところで今日の本題はその彼等がその後にステレオで録音した写真(上)のLPレコード、「Kenny Ball/NOSTALGIA OF JAPAN」である。(国内盤/XS-82-Y/ステレオ)収録内容はそのタイトルからも想像がつくように日本の「童謡」や「民謡」を中心に「デキシー」に編曲したものである。彼等からしてみれば遠い極東に位置する日本の童謡や民謡を「デキシーランド・スタイル」に編曲することは大変難しいことだったと思うが実に巧く編曲されており何の違和感すら感じさせないところが素晴らしい。さらにこのLPの第2面の最後に「坂本 九」ー世界の大ヒット曲「上を向いて歩こう」がデキシー調で収録されている。実はこの曲の世界大ヒットのきっかけを作ったのも彼等が最初にこの曲をイギリスでデキシーにアレンジして録音したものがアメリカに渡りシアトルの放送局で流されたものが原点だったと言われている。これも大変興味深い話で彼等の日本との縁の深さを改めて感じた次第である。
(坂本 九「上を向いて歩こう」東芝音楽工業オリジナル盤JPー5083/モノラル)

「ビル・エヴァンス・トリオ」ー東京ライヴ 1973

2011-02-01 20:14:51 | ジャズ

 今日はなぜか久しぶりにジャズのレコードが聴きたくなり写真の「ビル・エヴァンス・トリオ/東京ライヴ1973」のレコードを取り出し針を下ろしてみた。このLPはタイトルの通りアメリカのジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンス(Bill Evans/1929~1980)率いるジャズ・トリオの1973年来日公演ライヴ盤である。(米Fantasy/OJC345)
 ビル・エヴァンスのピアノはフランスの印象主義作曲家ドビュッシーやラヴェルの音楽を彷彿させるところが節々に感じる。また彼のそんな芸風は後のチック・コリアやキース・ジャレットらにも多大な影響を与えている。このLPは1974年にリリースされた東京・郵便貯金ホール(当時)におけるライヴ録音でエヴァンスの優美なピアノ・タッチ、エディ・ゴメスのベース、マーティー・モレルのドラムが見事に調和した見事な「エヴァンス・サウンド」聴けるエレガントなライヴ・アルバムだ。「モーニング・グローリー」から最後に収録された「グリーン・ドルフィン・ストリート」までの全9曲は会場を埋め尽くした聴衆の酔いも充分に伝わってくる。1980年に長年の飲酒・薬物依存の影響で健康は蝕まれ51歳の若さでこの世を去ったエヴァンスだったが彼が遺した数々のアルバムは今後も不滅の名盤として輝き続けることだろう。